彼らの開放
side 017番(雨音雪)
私達『羽根付き』は、この『隷従の首輪』によって、どんな命令でも遂行させられる。私達の意思など関係無しに。どんなに屈辱的でも、残虐であろうとも、私たちに拒否権などは存在しない。いっそのこと精神までもを操ってくれればいいのにと何度願ったことだろう。それなら、私たちは屈辱に震えなくて済む。恐怖や怒りに震えなくて済むのにと。
今奴隷商人から与えられた命令も、私達にはとても辛い事の一つだった。私たちは全員、元日本人なのだ。人殺し等したことがあるはずも無い。ましてや、同じ転生者であろうこの少年を殺すなんて、やりたくない・・・。
でも、私の体は言うことを聞いてはくれない。やせ細って骨と皮だけになったこの体は、今にも彼の首を締め上げようと迫っていた。
「・・・駄目・・・止めて。」
自分の手で、こんな子供を殺す?そんな事をしたら、私が崩れさってしまう気がした。私が私である意味、私を構成する全てが砕け散ってしまう気がした。
「止まって・・・。」
でも、私の願いが通じるハズも無く、私たちは彼を殺すために手を伸ばして・・・
「首輪の【ルール】の改変開始。」
その言葉が響くと同時に、彼以外の全ての人間の動きが止まった。
「『絶対服従』の【ルール】を破棄。『破壊無効』の【ルール】を破棄。」
そして、私の首輪から緑色の優しい光が溢れ出た。
「え・・・?何、これ・・・?」
「どうして・・・・・・?」
「動ける・・・。」
周りの人たちも戸惑っていた。何故なら、私達を動かしていた、不思議な力が消え去ったから。
「もう、大丈夫ですよ・・・。」
そう言って少年は私に近づき・・・
「はい。」
いとも簡単に、破壊不可能の筈の『隷従の首輪』を引きちぎったのだった・・・・・・。