表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/31

異世界の実態

side 翼


「悪いが、今はその問いに答えている時間は無いんだ。」


「うお!」


 突然近くで響いた声に驚いて飛び退くと、そこには俺が居た。


「な・・・あ、あんた神か・・・!」


「そうだけど、今は時間が無い。それと、僕の事は<<グノー>>とでも呼んでくれ。」


「え、そ、そうか、分かった。よろしくグノー。」


 だが、俺の握手は空を切った。


「御免、今は本当に時間が無いんだ。僕はこの世界の生物に危害を加えることが出来ないからね。その代わり、君に彼らを救って欲しいんだ。」


 その顔は、本気で焦っているようだ。それに、この台詞からすると、『生物に危害を加える』用事らしい。なら、俺もグノーの指示に従ったほうがいいだろう。


「分かった。俺は何をすればいい?」


「先ず、この草原を抜けるんだ。あっちに真っ直ぐ走れば、数分で道に出る。君にはそこで、この世界の現実を知って貰いたい。そこでどうするのかは君に任せる。」


「・・・分かった。」


 質問したいことは沢山あるが、先ずは道に出ることだ。グノーが何を見せたいのか。どうせ碌な光景じゃないんだろうが、あいつを助ける為に必要なことなら知っておかなければいけない。


「じゃあ、僕は姿を消すよ。心配しなくても君の事を見ているから、安心してくれ。」


 そう言うと、一瞬でグノーは消え去った。先程まで誰かがいたという痕跡や気配すら存在しない。


(コレが神様の力か・・・)


 関心ばかりしてはいられない。そろそろ行かなければ。


「じゃあ、走りますか!」




(体が軽い・・・まるで羽みたいだ!)


 何かの漫画で聞いたような台詞だが、本当に羽のように軽かった。


 俺は、所謂オタクという人種だった。太ってはいないが、典型的な痩せ型。運動も、どちらかと言えば苦手な部類だった。


 その俺が、オリンピック選手並みのスピードで走っているなんて、一体どんな冗談だ。それに、これは全速力じゃない。まだまだ余裕がある。息も全く切れないし、どうなってるんだ?


『言っただろ?身体能力を強化しておくってさ。』


 と、脳に直接響くようなグノーの声。


(成程。それでこんなに早いのか)


『うん、それと、君に与える能力、ちゃんと考えておいてよ。』


(分かった)


 と、そんな会話をしていたら、道に出た。


「ここが道か・・・?今どき舗装もされてないのかよ。」


 そう、この道は、ただ草木を取り除いて人が通れるようにしただけの、唯の『道』だった。少なくとも、現代日本では有り得ない光景だった。


『これがこの世界での普通だよ。舗装されている道路なんて、王都くらいしかないからね。この世界は、中世ファンタジーだよ。』


(ファンタジー?つまり、魔法や超能力の世界か?)


『その通り。・・・・・・おっと、無駄話はここまでだ。どうやら、来たみたいだよ。」


(どれどれ?)


 強化された視力でグノーが示す方向を見る。ざっと数十人の集団がこちらに近づいてくるようだが、どんな集団なのかまでは遠すぎて分からない。


 そして・・・それが確認出来る程に近くまで来た時・・・俺の頭は怒りで沸騰しそうだった。





「おおおお!首輪なしの『野良羽根付き(のらはねつき)』だぜ!?運がいいな俺たち!」


 その集団のリーダーらしき男が叫ぶ。


「結構整った顔してるし、男専門の貴族になら、高く売れそうだな!」


 その集団は、山賊のような集団と、それに引き連れられた、黒髪の集団だった。黒髪の集団には、全員例外なく黒い『首輪』が付いている。彼らは全員服を着ておらず、体中に酷い痣があったり、酷い場合は腕や足が無い人も存在した。


 コレがどういう集団なのか把握した。つまり、これは・・・奴隷商人なのだ・・・。


『そう、彼らは奴隷商人だ。そして、彼らが扱う商品は、『羽根付き』と呼ばれる、『黒い髪と瞳を持つ』人間。・・・彼ら『羽根付き』の前世はね・・・全員、僕の世界からこの世界の神が誘拐していった、日本人なんだ。』


「ぜ、全員・・・?」


 突然独り言を言い出した俺に何人かが怪訝な表情を見せたが・・・


「ははっ恐怖で可笑しくなったか?」


 という一言で、全員笑い出した。しかし、俺にはあんな奴らに構ってる暇は無い。


「全員日本人だと・・・?何でだよ!?」


『分からない・・・。ヤツが何を企んでいるのか、僕にはさっぱりだ。何故僕の子供たちを誘拐するのか、何故、地球の日本人の魂しか狙わないのか・・・全く分からないんだ・・・。』


 その声は、強い苛立ちを滲ませていた。当然だろう。ざっと見ただけで、奴隷の数は30人程。これが商売として成り立つのだから、何百、下手をすれば何千、何万という人数を誘拐されているということになるのだから。


『あの黒い首輪はね、付けた者を魔法で操る道具だよ。アレは、この世界の神が作って、人間に作り方を教えたものなんだ。』


 話を聞けば聞くだけ、俺の怒りは上がっていく。


(こんな世界にあいつは攫われたのか・・・?記憶を残したまま・・・?)


 地球でも酷い目に会って、自殺するほど追い詰められた彼女に、更に追い打ちをかけようというのか・・・!


『・・・どうする?』


(決まってる・・・)


 俺のやるべきことは決まっている。


「助けるさ。今度こそ、あいつを助けてやるよ!!このクソッタレな世界の神様とやらをぶっ殺して、全ての『羽根付き』を救い出す!」


 大きく息を吸い込んで、全力で叫ぶ!


「俺は、この世界をぶっ壊す!!!」

話の進め方がかなり強引・・・?時間があれば編集しておきます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ