殺し合い
「ねぇねぇ、僕と殺し合いしようよ。君とならきっと素敵な事になると思うよ」
そいつは会話の内容と合っていない声で俺に提案してきた。
「考えるだけでゾクゾクするなぁ。君もそう思わない?」
そいつの顔は恍惚としている。
もちろん俺の答えは決まっている。
「断る。面倒なだけだ」
「ちぇっ、つれないなぁ」
そいつはいつもの様につまらない顔をした。
そこで俺は提案した。
「俺を殺したいんなら、今殺しても構わんぞ」
「それじゃあ、意味がないんだよ」
そいつは少し寂しそうな顔をした。
もう一つ俺は提案をした。
「お前を俺が殺すのは?」
「あはは。今日の君は変だね」
そいつは少し笑うと、ため息をついた。
「また来るよ。その時には君の心境が変わっていると嬉しいな」
そいつは去っていった。
きっと二度と奴は来ないだろうな。
そう思ったとき、俺は少し寂しい気がした。