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小団円

とりあえず郁と紫遥を郁のベッドに運んで寝かせ、俺も一息つく。


「ん…」

「気付いたか、郁」

「有士…ごめん、迷惑かけちゃって…」

「今更始まった事じゃない。気にするな」

「うん…でも、一つだけ聞かせて」

「何だ?」

「有士は、今の私のことが好きなの?それとも、記憶を失う前の私が好きなの?」


馬鹿な質問だ…。


「さっきも言ったろ?どっちも郁に変わりない。どっちの郁も、俺は好きだからな」


ちゅ、と郁のほっぺにキスをする。


「…ありがと」


頬を赤らめて、顔を半分布団に隠してしまった。

うあー、うあー、うあー!かわいい仕草だなあもぉ!!


「…何か凄いタイミングで、目ぇ覚ましちゃったみたいね…」

「うお、紫遥!?」

「あーあー見せつけちゃって。その半分の愛情でも私に向けてくれても良かったじゃない?」

「…」

「…」

「冗談よ、冗談。有士にその気がないことぐらい知ってるから」


…何か引っ掛かる言い方だな。


「紫遥、さっきはごめん…」

「謝るくらいなら始めっからやんなきゃいいのよ。全くもう…郁がそんなんだったら、有士のこと任せられないじゃん」

「は?」

「実は、この屋敷にメイドとしてきた理由には、あと2つあるんだよね」

「何?」

「一人暮らしで寂しかった。だから、家族の暖かさに触れていたいってのが一つ」

「もう一つは?」

「…まだちょいと有士のことあきらめきれてないから、チャンスをうかがって奪っちゃおうかな、ってゆーこと♪」


待て。

話が変な方向に行きそうだぞ。


「そ、それはだめだよ~!有士は、私の婚約者なんだからー!」

「婚約者って事は、まだ結婚してないって事でしょ?ならまだ逆転ホームランがあるかもしれないじゃん?」

「結婚してるも同然なの!」

「はいはい、そうですか」

「だいたい、メイドなら立場の違いってモンがあるでしょ!そんな図々しく言わないでよね!」

「あら、メイドだからこそできることもあるわよ。た・と・え・ば、夜のご奉仕と・か♪」

「それなら私で十分だもん!身体だっていつでも来いだもん!!」

「関係ナッシ~ング」

「あら、夜のご奉仕なら私もできますよ?」

「っていつからいたぁー!?」

「一度戻ってお茶をお持ちしましたら、何やら騒がしいご様子でしたので出るタイミングを計っていたのですが…なんとまあ絶妙なタイミングで入れたのでしょう。自分をほめたいですね」


沙紀さん…ホント強者だ。


「勝手にほめてていいよー!」

「それよりも、なーんで沙紀さんがご奉仕する必要があるんですかー?」

「あら、だって今は有士様がご主人様ですし…結構有士様のこと気に入ってるものですから…」

「年上は賞典除外!黙っててください!今は郁と話してるんですから!」

「…(ぷちっ)」


あ。


やばそう。


「紫遥さん…?」

「何ですかっ」

「ちょっと向こうでお話、いいかしら…?」

「後にしてください!さっきから行ってるとおり、今は郁と…」

「問答無用っ!!」


がしいっ!!


紫遥の首筋をつかみ、そのままずるずると引きずっていく。


「では、郁様有士様、失礼します」


笑顔が壊れてますよ、沙紀さん。


…とは言えなかった。


ばたん。


「…いやぁ、モテる男は辛いな…」

「それって洒落になってないって事、わかって言ってるでしょ?」

「男としては一度は言ってみたい台詞だ」

「あ、そ…」


半ば呆れたように郁はそう答えた。


「ちなみに、年上も嫌いじゃないぞ。もちろん年下もだ」

「節操なし」

「言うな。一番好きなのはお前だ」

「えへ…」


照れた。


うむ。


遠くから、紫遥の叫び声と沙紀さんの高笑いが聞こえる。


「何だか…これから騒がしくなりそうだな」

「うん…」


これからの生活に一抹の不安を感じる。


「ま、なるようにしかならんだろ」



大団円とはまいりません。

ひとまず、第一部はここで終了となります。


更新ペース遅れます。

が、物語としての完結まではまだまだ先となります。


彼らの行く先を、一緒に見守っていただければと思います。


ここまでご覧いただき、ありがとございました。


また、お会いできることを願って…。

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