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彼女が見た、記憶に残らぬ最後の景色・郁

「ふぅ…」


昼食が終わって紫遥は帰り、有は沙紀さんに自室へと案内されていった。

二人についていってもよかったけど、これからはいつでも、すぐに会えるからそんなに焦る必要はない。


私服の楽な格好に着替えて、ベッドに寝そべる。

前よりも有の近くにいられる事が嬉しくて、枕をぎゅっとした。


嬉しいけど、突然すぎて少し不安もある。

有、大丈夫かな…。


あ、枕も布団もふかふかで気持ちい~…。

ふぁ~、何か眠くなってきちゃった。


晩ご飯準備する時間になったら沙紀さんが呼びに来てくれるから、それまで昼寝でもしよう…。


----------------------------------------



今日のお兄ちゃん、少しワガママ。

いつもの時間にゆーくんと約束してるのに、見たいテレビがあるって言って一緒に行ってくれない。

 遊びに行くときは、一人で行くと危ないと言われていて、いつもお兄ちゃんが一緒だった。お父さんがいれば連れて行ってもらえるけど今はいないし、お母さんもどこかに出掛けてていない。


 めいどさんたちはいそがしいみたい。


 …怒られるかもしれないけど、お兄ちゃんを待ってるなんてガマンできないから、先に一人で遊びに行っちゃおうかな。


 それに私が1人で行ったら、『偉いなっ』て、きっとゆーくんほめてくれる。


 …もしかしたら「そんなのふつうだな」とか言うかもしれないけど…。


 …よし、行こう!


 いつもと同じ道を、車に気をつけて歩いていく。


 でも、ここは車があんまり通らないから、そんなに気を使って歩く事もないぞとお兄ちゃんは言ってた。でも、この道は歩道がないから気をつける事に越した事はない。

 

実際、家を出てから車が一台も通ってない。

 

だから、好きな歌を歌いながら歩いていこう、楽しいし。


 まだあんまり上手じゃないし、歌詞もたまに間違う事があるけど、いつかゆーくんに聞いてほしいなぁ。


 そういえばゆーくん、今日出された宿題ちゃんとやるのかなぁ。


 明日は出席番号順でゆーくんに当たるから、ちゃんと言っておいてあげないとまた先生に怒られちゃう。


 いつもいつも怒られてるのに、宿題やってきてないのに、どうしてテストでいい点が取れちゃうのかなぁ。カンニングしてるようなこともないし、テスト中の残り半分くらいはいつも寝てるし…ふしぎ。


 あ、この信号渡ればもうすぐ会える。


 今は赤だから、青になってからじゃないとだめだもんね。


 少しして、パッと前の信号が青に変わり、横断歩道を渡る。



 そしたら、凄いスピードで急に車が私の横に来た。




 あれ…?私、信号間違ってないよね…?



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