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手作りケーキはママの味!✧シュートと俺のXmasケーキ物語✧  作者: 星野 満


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7/12

✧みっちゃんとシュートの涙

✧ ✧ ✧ ✧



「ユウさん、こめんなさい。私、お菓子作りってしたことないの!」


「はい?」


 翌日、俺が保育園からシュートを迎えにいった帰り、いつものようにコンビニのイートイン・コーナーに立ち寄った途端、みっちゃんが足早に開口一番、俺に言った。


「昨日シュート君の星型ケーキの件、お兄ちゃんから聞きました。申し訳ないけど私、これまで料理ってほとんどしたことなくって……」


「え、そうなの?」


 俺はわが耳を疑った。


「でもみっちゃん、いつもコンビニの唐揚げやコロッケとか作ってるよね?」


「あ、唐揚げとかは工場で軽く揚げたものを、冷凍で店に届くから溶かすだけだもん、誰でもできるの」


「あ、そうなの。へええ……」


 

 ──コンビニってそうだったのか。


 まったく知らなんだ。



「ほんとに、ほんとにごめんなさい」

 

 みっちゃんは俺に両手を合わせて目を(つぶ)って謝った。


 みっちゃんのこんな辛そうな姿を俺、初めて見た気がする。

 

 たちまちヤバイなあと俺は慌てた──。


「やだな、みっちゃんが謝る必要ないよ。俺が勝手にみっちゃんなら作れると思い込んだのが悪いんだから。本当に済まなかったね……」

 

 と否定しつつも俺の声は若干トーンダウン気味だ。


 

 このコンビニで常にテキパキと、何でも対応していたみっちゃんだから、ケーキ作りもお茶の子さいさいだと、勝手に思い込んでいた。


 『みっつは猛者女だ!結婚したら旦那は尻に敷かれる』

 

 とケンちゃんはいったけど、目の前のみっちゃんは酷く儚げに見えて、俺は何故か胸がキュンとなった。



 しかし、弱ったな──。

 

 正直、俺は手作りケーキの当てが外れて困惑していた。


「⋯⋯⋯⋯」


 ふと、俺とみっちゃんの会話を聞いていたシュートが、俺の手を離して(うつむ)きだした。

 

 シュートの様子がおかしい、とみっちゃんは気がつき息子の前にしゃがみこんだ。


 みっちゃんはシュートの頭を撫でながら、息子と同目線で話した。


「シュート君、ほんとうにごめんね、私、料理はほとんどお母さん任せだったの。だからお菓子は作れないんだ。クリスマスケーキはとてもじゃないけど無理なのね、どうか許してね〜」


 と非常に申し訳なさそうに、みっちゃんはシュートに謝った。


 流石に俺はいたたまれなくなる。


「いいよ、みっちゃん、君はちっとも悪くない、お願いだから何度も謝らないで!」


「でも……ユウさん、シュート君が手作りのケーキを楽しみにしていたのでしょう」


「うん、まあ。でも大丈夫だよ、なあシュート?」


「みっちゃん……えっえっ⋯⋯ボクこそ……ごめんなさ⋯⋯」

 

 シュートが突然、泣き声で呟いた。



「シュート君?」

「うっ、みっちゃん、ボクのせいだ。ボクがみっちゃんをこまらせた、うう、うっ……」

 

 シュートの眼から大粒の涙が溢れて泣きだした。


「どしたシュート!」

「シュート君、どうしたの?」


「うわああん、ボクがいけないんだ、ひっく、ボクのせいでみっちゃんがパパにおこられた」



──え、何だと?


 

 俺はシュートの言葉にぎょっとした。



「おい、シュート、パパはみっちゃんを怒ってないよ!」

「そうよ、シュート君、私ちっとも怒られてないわよ!」

「だって、だって、みっちゃんが、とてもかなしいかおしてるよお……わあ〜ん!」


 シュートは更に、コンビニ中に轟くようにギャン泣きした。


 コンビニ内に数人いた客たちが、何事が起きたんだと言わんばかりに俺たちをジロジロ注目した。



 ──おいシュート、急にどうした!


 いつもの姑息な()()()じゃないぞ!


 まさかシュートがこんなに泣くなんて!と俺は動揺した。


 そんな親の心知らずか、シュートはお構いなしに小さな手で目をごしごし(こす)って、ひっくひっくと泣きやまなかった。


 

 その間、みっちゃんは何度も怒られてないと、俺を庇って諭してくれる。


「パパは怒ってないよお、シュート君のせいじゃないよお、私は大丈夫だから、ねえ、シュート君は優しい、とってもいい子ね~」

 

 とみっちゃんの眼にもいつしか涙が潤んでいた。

 幼児の優しさに同情してくれたのかもしれない。


 

 きっとみっちゃんは、良いお母さんになれそうだなと俺は思った。


 

 みっちゃんはシュートの小さい体を優しく抱きしめてくれた。






 

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― 新着の感想 ―
あちゃ〜、みっちゃんには無理だったか〜… シュートくんも泣いちゃうし、ユウちゃんピンチ!! これはなんとかできる方法はないのか?ユウちゃんのお母さんに頼るとか?
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