✧最終話✧特別なクリスマスケーキ✧(後編)
※ これにて本当に最終回です。
※ 2025/12/26 修正済
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「ねえ、パパたち、おはなしがながいよ。ボク、クッキーかざりたい~!」
シュートは口を大きくへの字に曲げていた。
どうやら俺たちの話がなかなか終わらないからか、ふくれっ面になっていた。
「ゴメン、シュート、そうだったな、ケーキにクッキーを飾ろう」
「いいの?」
「ああ」
「シュート君、ごめんね」
とみっちゃんも隣に座っているシュートの頭を申し訳なさそうに撫でた。
「わあい、じゃあ、ちいさいクッキーだすね!」
とシュートはパタパタと走っていき、ダイニングキッチンの冷蔵庫からビニール袋を取り出して戻ってきた。
その袋から小さな手でも、隠れるほどのクッキーをお皿にのせていく。
「これだよ、ボクのひとがた星じんクッキー」
──ん? なんだ、ひとがたせいじんくっきーって?
人型星人クッキーってことか?
あ、分かった!
戦隊ロボと人間を合体してるテレビを良く見てるからそれを真似したんか?と俺はひらめいた。
「わあ、かわいい!とっても可愛く顔が描けてるわ!」
シュートの星形クッキーを見て、みっちゃんの子リスみたいな、くりっとした眼が更にくりくりとなった。
「うふ、いいでしょ。ボクいっぱい、れんしうしたんだよ、しっぱいしたのは、ほいくえんで、たべちゃった!」
シュートは、みっちゃんに褒められて満面の笑みだ。
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今日、保育園でシュートの作った星形で小さいクッキー7枚。
こんガリ焼けた茶色や黄色のクッキー。
他に真っ白いアイシングしたクッキーと、なかなか色もバラエティ豊かだ。
星形クッキーにはそれぞれ眼や口があった。
──ふうん、これをシュートがフードペンで書いたのか。
なかなか器用じゃないか。
俺はクッキーなど作ったことがないから感心した。
シュートが、お絵かきボードで星ばかり描いてたのはこのためだったのかもな。
どれもクッキーの顔はにこにこ笑っている。
昔、流行ったニコちゃんマークみたいな顔ばかりだ。
だがよくよく見ると、クッキーの顔もそれぞれ違っている。
目も口も笑ってるのや、眉毛がつって怒って見えるが口髭の笑顔とか、リボンを付けて頬染めている愛らしいのもあった。
──ふふ、おもしろい、もしかして女と男と分けてるのか。
俺は我が息子ながら絵の才能があるかもと、親バカ目線でクッキーとシュートを交互にながめた。
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「みんな見てて? これからひとがた星じんクッキーをケーキにかざります!」
「「は〜い!」」大人たち3人が声を揃えた。
「えっと~、このいちばんおっきい、ひとがた星人クッキーはパパ!」
とシュートは黄色のノーマルなクッキーをケーキに飾った。
「つぎはママの星じんクッキー、ママはおそらのほんもの星になったから、ひとじゃないけど、パパのとなりね!」
と白いアイシングがかかった、ピンク色のリボンを付けたクッキーを、俺のクッキーの隣りに並ばせた。
「うっ」
思わず俺は声をもらした。
──シュート、おお……お前ってやつは、何ていい子なんだ。
俺と雪奈のとなり合わせの星形クッキーが仲良く笑ってるのを見て、俺はまたしても目頭が熱くなってきた。
「そして、おひげがある、ひとがた星人クッキーはケンちゃん、しろいクッキーで、ほっぺがピンク色の人がた星人はみっちゃん!」
「お、俺たちのもあんの?」
「うん、あるよ」
「わあシュート君、ありがとう」
ケンちゃんとみっちゃんも大喜びだ。
「あとは、リナちゃんと、きなちゃんもおくの。さいごにボクの、ひとがた星人クッキーを、まんなかに──よし、できた!」
ようやくクリスマスケーキのデコレーションが完成した。
シュートのつくった人型星人クッキーが7枚。
真ん中がシュート。
その周りを囲むように俺、雪奈、ケンちゃん、みっちゃん。そして保育園のリナちゃんときなちゃんだ。
その星形ケーキをみてるだけで、俺はほっこりした。
ケーキカットの時──真ん中のシュートの星人クッキーを切るのは忍びないから、それを取り除いてケーキを切り分けた。
俺は雪奈と俺のクッキーの切り分けを貰った。
ケンちゃんとみっちゃんも、自分のクッキーを切り分けたのを貰った。
残りはすべてシュートだ。
結局、リサちゃん&きなちゃんの切り分けを、シュートはふたつ貰った。
「パパ、このケーキすっごくおいしいね!」
「ああ、そうだな」
シュートは美味しそうにケーキをもぐもぐと頬張った。
確かにDIYケーキは、有名パティシェのお弟子さん手作りとあって、味もピカイチでうまかった。
あ、みっちゃんが懸命に慣れない手つきで泡立てしてくれたおかげでもあるかな。
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今宵のイブ──。
ケンちゃんはとっておきのワインを何杯も飲んで酔っ払いのサンタクロースになった。
みっちゃんも大好物のローストチキンを美味しそうにたくさん頬張った。
俺も久しぶりに高級白ワインを飲んでほろ酔い気分になった。
ああ、なんて香りのよいワインだろう。
ああ、なんていい夜なんだろうと、
俺は泣いた。
あまりにも幸せで涙もろくなった。
こうして楽しいほっこりしたクリスマス会はお開きになった。
シュートは結局、あんなに2人を送ってクリスマスイルミネーションが観たいといっていたのに、ごちそうを食べ過ぎて眠くなったのか、その場ですやすやと寝てしまった。
俺は2人が帰った後、シュートをそっと抱いてベッドに寝かせた。
シュートはみっちゃんがくれた光る星形のクッションを抱いている。
シュートは今夜のイブ、どんな夢を見るのだろう。
──完──
※ いかがだったでしょうか。今夜はイブ。物語の世界は楽しそうでいいですね。私はひとりクッキーを食べながら投稿して寂しいイブを迎えています。
※ 最後まで読んでくださってありがとうございました。また少しでも読んで面白いと思われた方、星形星人でなく★1つでいいので評価してくださると嬉しいです。
※ 0と1では雲泥の差なのです。★1あると最高のクリスマスプレゼントになります。どうかよろしくお願い致します。




