✧最終話✧特別なクリスマスケーキ✧(前篇)
※ 最終回ですが文字数多いため、前後編にしました。
申し訳ありません。<(_ _)>
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ちょうど、ケンちゃんたちがテーブルについてから直ぐに宅配のパーティ―セットの料理が届いた。
こんがり焼けたローストチキンとマルゲリータピザがメイン。
他にポテトフライとコーン&枝豆サラダ、苺や葡萄などフルーツサラダのセットだ。
俺は父さんからもらった白ワインのシャトー・タルボの瓶をテーブルに置いた。
ワイングラスが3つ。シュート用のサイダーとコップ。
紙の受け皿、箸とナイフとフォーク、ナプキン。
これで食卓のパーディーの準備は整った。
後はお待ちかねのケーキだ。
俺は冷蔵庫から持ってきた四角い箱からケーキを取り出した!
「わあ~!」
「おお?」
俺とシュートは思わず声をあげた。
それは真っ白いクリームに覆われた星形5角形のケーキだった。
それもトッピングなしの何もデコレートしていないケーキだ。
「わあ、パパ、このケーキ、なんにもかざってない!」
「おお、こんなシンプルなケーキあるんだ!」
「へへ、どうだい。これならシュートの星形クッキーが飾れるだろう?」
「うん、ケンちゃん、すごい、すごい!」
シュートは目をきらきらと輝かせた。
「このケーキは手作りなのか?」
「いや、実はコンビニで限定販売してる商品なんだ」
「え、そうなの?」俺は驚いた。
「うん、最近ケーキの原材料のクリームやマーガリンが値上げしてケーキも高騰してんだよ」
「あ、そうだな。ニュースでもよく聞く。今年は物価高いもんな、俺も日々の家計のやりくりけっこうしんどい」
「だろう、だからコンビニのクリスマス商戦の企画で、ケーキをトッピングなしにすれば、値段もリーズナブルに抑えられると開発したんだ。母子家庭の家でもクリスマスくらい、ケーキ食べたいもんな。でも安くても味は一流だぜ、有名なパティシエが監修してくれたんだ」
「へえ……」
──なるほど、これなら家で好きな苺や他のフルーツだけ飾って、クリスマス用のトッパ―とか100円ショップで売ってるし、よく見るテコレーションケーキより安上がりかも。
おまけに自分で好きなようにデコレートできるしな。
俺はなかなかいいアイデアだと感心した。
「ユウちゃん、だけどこの星形ケーキだけは一品物、つまり手作りなんだ」
「どういうこと?」
「俺の親戚がコンビニ本店の企画部長でさ、そのパティシエに今回、特別に頼んで売ってるホールケーキから、シュートの好きな星形ケーキを作ってもらったんだ」
「え、そうなの?」
「ああ、最初は多忙だからと断られたけど、みっつまで一緒に何度も頭下げてくれてさ」
「え、みっちゃんが?」
俺は真向いの席のみっちゃんを見つめた。
それまでみっちゃんは、にこやかにケンちゃんの説明を聞いていたが恥ずかしそうにいった。
「うん、私、そのパティシエさんとは面識が以前からあったの。お兄ちゃんの代わりに本店で挨拶しによくいってて、ケーキの商品企画で、各コンビニ店の要望グループに参加してたから」
「ええ、みっちゃん、そんなことまでしてんの?」
「そんなことまでしてんの?みっちゃん」
シュートがオウム返しのように俺の真似をする。
「ケンちゃん、店長のくせに、いくら妹だってみっちゃんはバイトだろう?」
「面目ない、実は本店行くの、俺、苦手なんだよ」
「いいのよ、私けっこう企画参加するの好きだし」
みっちゃんがケンちゃんをかばった。
「いやいや、それでもみっちゃん、レジも忙しそうだし、もっと時給あげてもらわんと!」
「あげてもらわんと!」とまたシュートが俺の真似をした。
「わかった、わかった。みっつにはボーナスだすよ」
俺に問い詰められたケンちゃんはしぶしぶいった。
──け、なんつうケチな兄貴だ!
俺はケンちゃんのせこさに舌うちした。
「まあ、確かにユウちゃんの言う通りだ。このDIYケーキも売上げ好調で予約完売したしな、それと、ここにある星形ケーキはみっつも一緒に作ったんだぜ」
「え、そうなの、みっちゃん?」
「うん」
みっちゃんは恥ずかしそうに頬を赤く染めた。
「といっても私はちょっとよ。ほとんどパティシエさんのお弟子さんが作ってくれたの。粉を測ったりクリームを泡立てた補助的なことだけはしたけど」
「え~みっちゃん、料理しないっていってなかった?」
俺は切れ長の細い目をまん丸くした。
「うんそうだけど、今回ユウさんにケーキ作り断った後、なんか、私も悲しくなっちゃって。せめてシュート君が望んでいるケーキだけでもなんとかしたいなって。ケーキ作りのお願いも無理にしたから、パティシエのお店の厨房で見学しながらお手伝いさせてもらったの」
「ええ、そこまでしてくれたの?」
「おまけにユウちゃん、みっつは、今後そのパティシェのお菓子教室にも入会したんだぜ、毎月1万5千円もするんだと!」
「お兄ちゃん、余計なこといわなくていいよ!」
「ええ、1万5千円って、みっちゃん……」
「あ、ユウさん、気にしないで。私前々からお菓子作りはしてみたかったの」
みっちゃんは顔を真っ赤になりながら笑う。
お菓子教室の事を知られたくなかったのか、すごい動揺してる。
みっちゃんの両手をばたばた振ってあまりにも不自然だ。
俺はしまいに口があんぐりなった。
──うわあ、なんていい娘なんだよ!
いやいや、みっちゃん、そこまでシュートの為にしなくてもいいのに。
俺はそんな、けなげなみっちゃんに目頭があつくなりかけた。
シュートのケーキの為に、ここまで奔走してくれる子がいるなんて、とてもありがたいし嬉しかった。
真っ赤に頬を染めてるみっちゃんを見てると、どこか心がフワフワしてきた。
あと、俺は高校時代のあの不良先輩とつきあって振られた経験で、茶髪の巻毛の女子は軽系などと偏見もって悪かったなあと、心の中で何度も謝った。
※ 清坂様、誤字脱字報告ありがとうございました。




