✧クリスマスの飾り付けとサンタクロース登場!
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俺はイブのクリスマス会に向けて、ざっとリビングとキッチンと廊下も掃除機をかけた。
その後シュートとクリスマスのリビングの飾りつけをした。
きらきら光る折り紙でモールをつくったり、サンタや雪だるまの絵のフラッグを、部屋の端から端に吊るしてクリスマスの雰囲気を演出する。
玄関内の扉にはクリスマス用のリースを付けた。
赤地に金色の線の入ったリボンと金のベルが可愛い。
また押入れから卓上型のクリスマスツリーを引っ張って出した。
これはシュートが1歳時のクリスマスに、親父たちからプレゼントされたものだった。
高さは40センチくらいだが、LED電球が付いていて部屋の灯りを消すと、きらきら赤青黄色に輝いてクリスマスツリーらしい華やかさになる。
最後、俺はリビングの壁にシュートが書いた星の絵を何枚か飾った。
今の時代は壁に貼っても、汚さないで取り剥がせるシールが売っているから便利だ。
星の絵の他にも保育園で3歳の時シュートが描いた、俺と雪奈とシュートの3人で仲良く笑ってる、クレヨンの絵を一番真ん中に飾った。
この絵は俺のお気に入りの1枚だ。
絵を見てると生前、雪奈と俺とシュートと一緒にいた頃を思い出す。
食卓のテーブルにはいつもの水色のチェック柄でなく、クリスマス用に赤いテーブルクロスを敷いた。
これも雪奈が毎年用意してくれたものだ。
雪奈は誕生日やクリスマスなどの家族行事には、色んな趣向を凝らして俺と赤ん坊のシュートを楽しませてくれたっけ。
この部屋で3人でいた時間は短かったが様々な思い出がつまっている。
この食卓の上にはもうすぐご馳走が届く。
クリスマス用のローストチキンや、大型ピザなどの詰め合わせパーティ―セットだ。
近くのファミレスの宅配で予約した。
もし雪奈が生きてたら宅配など頼まずに、すべてが手作りだったろう。
俺はちょっとだけ切なくなった。
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ようやく俺とシュートはリビングの飾りつけを終えた。
「うん、こんなもんかな」
「うん、こんなもんかな」
俺が一言つぶやくとシュートも真似してつぶやいた。
なかなかクリスマス会らしい明るくて華やかなリビングになったじゃないか。
俺は飾り付けのできばえに満足した。
「シュート、これを被りなさい」
とクリスマス用に買ってきた赤と緑のコーンハットを付けさせて俺も付けた。
「わあ、パパ、ぼうしにあうよ!」
「そうか、シュートも可愛いぞ。飾り付けもがんばったな!」
「うん、たのしかったね」
シュートはとても楽しそうだ。
「そうだな、なかなかいい感じになった。そうだシュート、記念に写真もとっておこう!」
「うん!」
俺は飾り付けの終わった部屋一面、シュートをバックにスマホで写真を何枚か撮った。
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夜になると、ベランダから見える住宅街の夜景が煌びやかに見えた。
ここ数年この田舎街でもクリスマス電飾のイルミネーションをする家が増えてきた。この近辺はマンションが少なくて一戸建ての家が多い。
その為かクリスマスから年始までの住宅街はとても華やかになる。夜、街路を歩くだけで夜のディズニーランドのパレードを彷彿させた。
大袈裟でもなく実際、この街のイルミネーションが美しいと口コミが拡がり、昨年は全国ネットのニュースになったくらいだ。中には遠方からわざわざ観に来る人もいるとか。
今年はあいにくの雨で人もまばらだが、住宅のクリスマスのオーナメントとLED電球に飾られた外景観は、雨に濡れた水たまりに映し出されて鏡となって光彩を放っていた。
雨が降るクリスマスも、これまた幻想的な雰囲気をかもしだしてくれる。
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ピンポーンと勢いよくチャイムがなった。
俺がドアを開けた途端──
「メリークリスマス!」と大声が外の廊下に響き渡る。
目の前にサンタクロースの恰好をしたケンちゃんが現れた。
後ろには、白い冬物のコートを着たみっちゃんも一緒だ。
「メリークリスマス、ユウさん、今夜は私までお招きいただきありがとう」
「いらっしゃい、みっちゃん!待ってたよ。ケンちゃんはサンタクロースかい!」
俺はケンちゃんの出で立ちに呆気にとられた。
「えへへ、さっきまでコンビニの店頭販売でケーキ売ってたからな、けっこうモフモフしてて暖かいぜ!」とケンちゃんは笑った。
両手にはケーキらしき四角い箱のビニール袋を抱えていた。
「わああ、ケンちゃんサンタさんだ!」
俺の後ろからきたシュートは、ケンちゃんサンタをみて大喜びだ。
「あっはは!シュート、どうだ俺のサンタクロース、似合ってるか?」
「うん、にあってる。くろいメガネ、へんてこサンタだけど」
「あはは、へんてこサンタは酷いな。さすがにメガネないと、ド近眼でなんも見えんからな」
「とにかく早く上がってよ!」俺は2人を玄関からリビングに案内した。
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「わああ、すてきなリビング。何て広いの!」
リビングに通されたみっちゃんは驚嘆の声を発した。
「ああ、うちのリビングはけっこう広いよ」
──そうか。みっちゃんはここに来るのは初めてだったか。
ケンちゃんは酒飲みに何度か遊びにきたけど。
「クリスマスの飾り付けも素敵ね。わぁこの絵、シュート君が描いたの?すっごくかわいい!」
とみっちゃんはシュートの絵を見たり、あちこちと部屋の飾りつけを見て喜んでいる。
ケンちゃんも知ったように見回して
「おお、今日はクリスマス一色だな!なかないいじゃん。あ、ユウちゃん、これが例のケーキだ、冷蔵庫入れといて」とケーキの包みを俺に渡した。
「サンキュー」と俺はすぐにケーキを冷蔵庫にしまった。
「ケンちゃん、おかざりすごいでしょ。ボクとパパでさっき、いしょけんめいかざったの」
「ああ、たいしたもんだ」とケンちゃんがシュートの肩をポンポンと軽く叩いた。
「みっちゃん、余り濡れてないけど雨止んでた?」
と俺はコート用にかけるハンガーを渡した。
「ありがとう。うん、ちょうど来るときは止んでたの。ここにくるまでの道、住宅街のクリスマスイルミがめちゃくちゃ綺麗だった!」
「そうだね、今、俺とシュートも窓からクリスマスのイルミを見てたよ」
「パパ、ケンちゃんたち、ボクおくりたい。そのあとで、おうちのイルミみたい!」
「そうだな、雨も止んだというしそうしようか」
「わーい!」
シュートは夜の住宅街のイルミネーションが見れると大喜びだ。
「ユウちゃん、とっておきのワインは?」
「ああ勿論、用意してるさ!」
「ワハハ、それはよろしい」
「さあさあ、もうすぐ宅配のチキンもくるから座ってよ」
「はいよ!」
「みっちゃんは、ボクのとなりね」
「はいはい」
シュートがみっちゃんの手をとって、ぎこちなく椅子に座らせる。
──こいつ、ほんとにみっちゃんが好きなんだな。
俺はシュートのませた仕草を見て苦笑した。
部屋の置時計がぼーんぼーんと7回鳴った。
時刻はちょうど7時だ。
7時からFMラジオでは『クリスマスソング特集』の洋楽が流れ始めた。
さあBGMも準備万端だ。
俺たちのクリスマス会が始まった。
※ 次回が最終回になります。なるべくイブに投稿します。
(*^。^*)




