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2 1の後の時代に、文明誕生

目次

農業の発達

  自然条件に左右される

  大河水の利用

支配の仕組み

  多数の人を動かすには

  文明誕生

大河

  6つの大河

  それぞれの地域の文明

文字

  必要は発明の母

  歴史の始まり

ーーーその1「農業の発達」ーーー


<1>自然条件に左右される農業


「初期農耕」は、「収穫が少なく」人数も少なく、「雨水だけに頼っ」ていた。

これが本格化して「農業」になると、「生産が発達し」「人口が多く」なり「川」の水を利用するようになった。


農業つまり「食料生産」は、いくら発達しても偶然の自然条件に左右される。

現代も同じだ。

科学がものすごく発達しているのに、人類が生きるのに絶対必要な食料がそんな偶然に左右されるというのはたまらないね。


もちろん現代では、まったく関係ない原料から食料を加工するという技術がある。いろいろな添加物を加えたり、化学反応を起こしたりして、まったく別の物質に変えるのだ。

スーパーで売っている食品の原材料名欄を見ると、とんでもなくすさまじい量の原材料名がずらりと並んでいる。

いま、あんぱんが目の前にあるが、なんと?26品目の材料が使われている。中にはタンパク質濃縮なんちゃらとか、何だか怪しい物質が・・・。そういうのを気にしていると食べられなくなってしまうね。


そういう自然条件に左右されて不安定なのを、なるべく安定的な方向に持っていって生活を確立する努力を、人類はしてきた。


<2>川(大河)の水の利用


川も、季節や天候によって流量の大小がある。

上流に雨が少ないと少量だし、上流にゲリラ豪雨があると短時間で一気に下流に流れ下り大増水を引き起こしてしまう。

季節の差が大きい地域だと、春になると雪解け水で水量が増える。

川、とくに大河なら年中涸れることがないから、安心だ。


ただ、川の水を耕地に引いてくるのは、実はかなり難しい。

日本でも江戸時代以前は、人力のバケツリレー(当時は、天秤てんびんざお)で運んでいた村もある。

台地上に村があると水を運ぶだけで疲れ果ててしまい、近隣の平地にある村々には「あの村に嫁をやるな」という暗黙の戒めがあったという話もある。


灌漑かんがい」施設を作るにも、一家族では無理である。簡単なものでも工事には、少なくとも10数人以上の労力が必要だ。

大河ともなると、流域平野は広大なものになる。

大河から水を引っ張るのはとんでもない大工事になり、数百人、いや数千人、数万人の力が必要になる。

それだけの人数を組織立てて指揮するのは、なかなか難しい。

人間は、素直な生き物ではない。それぞれ心の中で考えていることが違うので、行動も一致しないのだ。



ーーーその2「支配の仕組みが生まれた」ーーー


<1>多数の人を動かす必要


数千人の大集団を、規則正しく細かい手順を踏む作業に従事させるには、厳格なルールと、そのルールを守らせる強制力が必要だ。


人間は、ルールに従わないのが普通。ルールは、行動の自由を束縛するからだ。

朝早く起きて学校や職場に行けというルールがあっても、もっと寝たい、あと5分寝させて、と言って抵抗するね。

昼食時刻が正午と決まっていても、おなかがすいた、食べたい、とこっそりおやつを頬張ったりする。


人にルールを守らせるには、ルールに違反したら逮捕して処罰するという強制力が必要だ。

(学校の場合はさぼると成績が下がるし、仕事はさぼると給料が下がるという悲惨な結果が待っているから、ルールを守らざるを得ない。)

その強制力は、具体的には腕力、武力。

自然の動物の世界では、戦闘力が強い者が他者をねじ伏せてボスになる。

人間社会では、武器を持つ者(警察・軍隊)がその武器をちらつかせ「命令に従わなければこの武器でぶっ殺すぞ?」と脅す。犯罪や戦争を抑止よくしする力というものだ。

核抑止かくよくしというのは、全体破壊的威力を持つ核兵器を持つことにより他国がその国を侵略することを未然に防ぐという意味だ。


この強制力が、支配なのだ。

強者や武力を持つ者がトップに立ち、数千人、数万人を組織立てて大河から水を引っ張る灌漑施設を作らせるのだ。

やがてその支配は、一時的なものから恒久的なものになる。人を動かすのに便利だからだ。

支配する者と支配される者が固定化され、階級や身分になる。

支配組織が固まり、「国家」になる。


<2>「文明誕生」


文明に似た言葉に、文化がある。文化と文明、どう違うのか。


文化は、人が作ったもの全てを指す。全てだから、実体がないものも含む。音楽が代表例だ。

そういうものは、録音して実体化できるではないか?と思うだろう。

しかし考えてみると、その音符の羅列である楽譜をリアルの音に起こすのは誰か?人間だ。


プロの演奏家が奏でる音と、一般人が奏でる音は、同じ音階でもニュアンスが違うね?

コンピュータソフトで正確に再現できるというが、その元資料はプロの演奏家の演奏でしょう?

しかも同じプロでも演奏する人によって違うし、同じ人でもその日の体調や気分によって音の奏で方が違ってくるし。

歌も同じで、プロ歌手でも新人時代とベテランになってからとでは同じ歌なのに歌い方が違うし。


けっきょく音楽というのは、絶対的な正確な再現が存在しないのである。その時その時に聞いた音楽が、全てなのだ。

音楽は、一期一会いちごいちえ的な芸術なのだ。


これに対し文明は、人が作り出した全ての物だ。実体のある物。

したがって、物質文明ともいわれる。

建物、インフラ設備、乗り物、料理、服、電気製品、おもちゃなどなど。


文化と文明を比較するときは、文化は人が作ったもの、文明は人が作った物というふうに書くとよく分かる。

この物質を大量に集めて保有する人間、それが支配者だ。

大金持ちという言葉があるが、お金が単なる目安でしかないことから正確には大物持ちといえる。

日本の神話に、オオモノヌシという名前の神様がいる。大物主と書く。この場合の物は精霊を指すらしいが、物には魂がこもるという日本伝統の思想が連想できるね!


ーーーその3「川」(大河)ーーー


古代文明は、大河の流域に成立した。


なぜ大河なのか?というのは、上に書いた通り農業をするのに安定して水を引くことができるからだ。

エジプトの場合は、定期的に増水するのを利用したというが、その場合でも水が耕地全体にうまくいきわたるような補助施設が必要だ。


また他地域と交易をするとき、船を使うとその浮力を利用して大量の品物を運ぶことができる。幅の狭い川では船のすれ違いができず行き来が滞るが、幅広の大河だと4車線道路や鉄道の複々線と同じくすれ違いが盛んにできるのだ。


<1>6つの大河


世界の大河にはどんなものがあるか。

「ナイル川」「ティグリス川」「ユーフラテス川」「インダス川」「黄河」「長江」

この6河川が、古代文明を生み出した大河だ。


あれ、他にも大河があるね?

北米のミシシッピ川、南米のアマゾン川、ヨーロッパのドナウ川、インド東部のガンジス川、東南アジアのメコン川も、流路が長距離だ。

なぜこれらの大河の流域には、古代文明ができなかったのだろう?


いずれも、他地域とくに上記の6大古代文明地域との交流が少なかったからだと思われる。

この時期、アメリカ大陸はユーラシア大陸から分離していたし、東南アジアは高山で他と隔絶されている。(どちらも海からは直接行けるので、海上交通が発達するとすぐに人が進出した)

ヨーロッパの東部は気候が冷涼で、氷河時代が終わった直後はまだかなり寒かっただろう。

ただガンジス川流域の文明は、インダス川流域の文明と時期的には千年ほどしか(千年はじゅうぶん長いが…)違わない。


というのは、こじつけの論理かもしれない。

6大大河の他の大河の流域にも、古代文明があったかもしれない。まだ発掘・発見されていないだけかもしれないのだ。

今現在みんなが知っている歴史というのは、今のところ発見されている遺跡や遺物や歴史史料に基づいているわけで。

じつは、超古代文明があったり、南極大陸に昔文明があったかもしれず、あるいは地底文明があるかもしれず、空中に浮かぶ島に文明があるかもしれず、月の裏側に宇宙人基地があるかもしれず・・・・・

人類は、実は本当の歴史をまだ知らないのかもしれない。ロマンだねー!


<2>6つの大河流域の文明


6つの大河、つまり数か所の地域に文明が起こったことから、それぞれの地域ごとに特色が異なることになる。

多様性のある諸文明の成立だ。


多様性とは、いろいろ、さまざまという意味。

人間でさえ、ひとりひとり、育った環境、キャラ、社会的立場が違う。

地域も、気候や地形、産業など、それぞれに特色が異なる。

このことから、多様性というのはむしろ当然のことだ。

みんな同じというのは、ありえない。


世界史では、この多様性という視点が非常に重要。

しかし日本史も、実は各地域で異なる。政治史(つまり中央の歴史)だけをやっていると、良くない。


ーーーその4「器」ーーー


道具の材質のことだ。

この時代は、「金属器」の時代と一般にいわれる。


しかし見落としてはいけないのは、石器も土器も、依然として使われているということだ。打製石器も、この時代に存在する。

というか現代も、石器や土器を使っている。ナイフや包丁の刃を磨く砥石といしとか、土鍋どなべとか。


日本史でも、竪穴住居は縄文時代の住居である、と学習する。

けど、実は平安時代の庶民の普通の住居は、竪穴住居だったわけで。

このことを初めて知ったときは、目からうろこだった。


ーーーその5「文字」ーーー


<1>必要は発明の母


何か新しい発明があったときは、それは何かの目的に必要だったからということだ。

文字が発明された、その必要な目的とは?


現在存在していること、行われていることを「記録」する必要があったから、だ。記録すると、燃えない限りそれは残る。記録した人が死んでも、残る。

つまり、その必要とは、自分が死んだ後に記録を残したかったからだ。

将来、身近にいえば、子供、孫、子孫のために記録を残したかったのだと思う。

また、記録するには余裕が必要だ。農業生産が安定したからこそ、可能になった。


そのために、最初は絵を描いた。

ただいちいち絵を描くのは面倒くさいし、絵には上手い下手があり描く人によっては事実が正しく伝わらないことがある。

そこで、絵の簡略化、記号化が進められた。

それが、絵文字、そして文字になっていった。


漢字が、その代表例。象形しょうけい文字である。

人という字は人が支え合ってといわれる、まさにそれ。

家という字は、古代中国では、床下で豚を飼っていたことからできた字といわれる。


また、数量を表すことから始まった、全部同じ形の文字(その量の大小や向きで内容を表す)もある。

楔形くさびがた文字は、その例だ。


<2>歴史の始まり


こうした記録が積み重なったものが、歴「史」だ。

史は、文字を意味する語。ふみ、という読み方がある。


今回の話から、歴史時代が始まる。

前回の話は、歴史以前という意味で先史時代といわれる。


歴史学習は、とにかくなるべく前のほうから順々に進めていくのが普通だ。

途中から始めるのは、愚の骨頂だ。

その意味で、「歴史総合」という科目はとても危うい面を持っている。

理想的なのは、日本史・世界史を近代直前まで学習してから、歴史総合を学習することだ。残念ながらリアルのカリキュラムは、そうなっていない。

参考:山川・詳説世界史(世界史探究)P19

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