1 約1万年前~(約9000年前)~の世界
★目次(好みの話題を選べるよ!)
1人類史上重大な変化
氷河時代⇒温暖化
間氷期
氷⇒水
氷の大地⇒土の大地
降雪⇒晴天
狩猟採集の獲得経済⇒農耕牧畜の生産経済
直近の国際経済激変
獲得⇒生産
農耕と農業の違い
農耕と牧畜
旧石器⇒新石器
洞穴⇒集落
2アジアで約9000年前に農耕牧畜開始
アジア
広がり
★文中「 」は、元資料の世界史教科書からの引用部分。
1 人類史上重大な「変化」
ーーーその1「氷期が終わると地球は温暖化した」ーーー
<1>氷河時代は本当に終わったのか?
正確には、終わっていない。
現在は間氷期という、寒冷期の一休み状態の時期なのだ。
つまり氷河時代は続いていて、その低温が少し緩んだ時期に人類が文明を起こし発展している。
そして時が経てば間氷期は終わり、地球は再び寒冷な氷河時代になってしまう。
そうなるともちろん、人類文明は滅亡する。
人類自体は生き残るだろうが、人口が激減し、科学文明は姿を消し、原始時代に戻る。
こういう視点でみると、人類は実は、自然の大いなる意思により偶然生かされているにすぎないということになる。
人類文明は、いつ波で削られなくなってしまうか分からない、砂上の楼閣状態なのだ。
<2>氷が解けて、水になる
気温が上がったためだ。
液体状態に変化すると、人類にとっては使い勝手が格段に広がる。
氷という固体状態だと、動物を狩るときや他の人と戦うときの武器にするか、熱が出たときに頭を冷やすか、暑い時に砕いて食べて身体を冷やすか、ぐらいしかない。
氷の上で風を起こすと、風が冷風になるというのもあるが。
これが水という液体状態になると、使える幅がぐん!と広がる。
氷でもがりがりと噛み砕いて食べることができるが、水だと虫歯が痛い人も歯がなくなった人もごくごく飲める。水分を、手早く摂取できるようになるのだ。
さらに、植物に吸わせることができるようになる。植物は、氷状態だと吸わない。(そもそも低温だと生育しない)液体だと、どんどん吸って成長していく。
草木が繁茂すると、大量の酸素を排出するので肺呼吸の人類や動物は住みやすくなるし、また人類が草木から栄養分を摂取できるようになる。
<3>氷や雪が解けると、土の地面が露わになる
そもそも土がないと、植物は生育しない。
土の中には、無数の細菌が存在する。気温が上がると、それらの細菌がいっせいに活動を始める。
細菌というと病原菌を連想しがちだが、人類や動植物に有益な細菌も数多く存在する。味噌を作ってくれる菌や、パンを作ってくれる菌は、聞いたことがあるだろう。また死体や腐った物を分解して浄化してくれたりも、する。
また、土自体も有益な材料として使えるようになる。
土を成型して乾燥させれば、壺にしたり皿にしたりできる。土器である。
それを焼いて、耐久力を高めることもできる。陶器である。
なお磁器というのは、高温で焼くと表面がガラス質になり耐久力がさらに高まったものである。
土を盛り上げると、建物の基礎になるし、鉄道や道路を敷設することもできる。
川岸に盛り土をして堤防にすることもできる。
土を使った泥んこ遊びも、できる。
泥団子を作ったり、ダムを作って水をためて決壊させ洪水を起こす遊びや、トンネルを掘る遊びは、みんなやったことがあるだろう。
<4>雲が切れて、日光が降り注ぐ
氷河時代は、毎日雪が降りまくっていた。
それが時々しか降らなくなり、雲が切れて空が見え、日光が地面に届く。
暖かさを身に染みて味わえる。
春よ来い来い、早く来い。(まだ寒い時期に書いてるから、実感)
さて、<2><3><4>の、水・土・日光の3つが、気温上昇と共に揃った。
これは、植物の光合成の条件たちだ。
光合成により、植物は栄養分を作り出す。
人類や動物は、この栄養分を摂取することで、栄養を身体に取り入れ成長する。栄養失調からの脱却だ。
ーーーその2「狩猟採集の獲得経済から、農耕牧畜の生産経済」へーーー
温暖化して植物の光合成が可能になると、人類の経済生活も劇的に変化することとなった。
<1>そういえば、直近で国際経済が激変するようなことが
これを書いている日の直前、アメリカのトランプ大統領が世界各国からの輸入品にとんでもなく高い関税をかけることを発表した。日本からの輸入品には、24%とか。
相互関税というが、日本の対米輸入品関税は平均5%らしい。
どこから24%という数字が出てきたのやら、さっぱり分からない。
このことで、百年間続いたアメリカ中心の世界自由主義経済が終わったといわれる。
これは、世界史の歴史教科書に確実に掲載されるだろう、とても大きな出来事だ。
まさにリアルタイムで「歴史を見た!」になった。
<2>「獲得経済から…生産経済」へ
経済というのは、人間が生きるためにいろいろな活動をする(代表的なのは食べること)しくみだ。
その食料の調達方法を、氷河時代は狩猟や採集に頼っていた。植物が生えていないのだから。
また植物の実を食べたあと残る種を、そのままごみとしてポイ捨てしていた。
種を蒔くべき土が、氷に覆われていたからだ。
大型動物の狩猟となると、命がけだ。そんな危険を冒して狩っても、食べたら終わり。
木の実も高い木に登って採集するなら、やはり命がけだ。
命をかけて取ったものを食べて、それで終わり。
そのとき良ければそれでよい。刹那的な生き方だ。
温暖化すると、種を土に蒔いて植物を育てることができるようになった。
すると命をかけなくても、容易に食料を調達できるようになった。(もちろん人によって運・不運があり、取れない人もいるが)
取って食べて終わりだったのが、取って食べて育てて取って食べて育ててと未来に持続するようになった。
狩ってきた動物の雄と雌を交尾させ(その後その肉を食べ)、生まれた子にえさを与えて育てて成長したらまた交尾させ(その後その肉を食べ)という繰り返しが可能になった。
これが、「農耕・牧畜のはじまり」だ。
<3>農耕と農業は、どう違う?
農耕という言葉を聞くと、似た言葉に農業という語がある。
双方、どう違うのか?
農耕の「耕」は、人間の動作だ。つまりこれは、仕事内容を表す語だ。
農業の「業」には、生業という意味がある。
農耕という語がその時その時の作業内容なのに対し、農業という語には持続性が感じられる。
また「業」には、営業という意味もある。
営業というと、現代ではお金儲けのことだ。
ただお金というのは、物の価値を示すただの目安。お金を儲けるというのは、それだけの価値のある物を手に入れることが可能な目安を獲得するという意味だ。
農産物が収穫できたら、他の地域に持って行って他の地域で収穫できる(自分の地域では収穫できない)珍しい農産物と交換しようというのだ。
これが、営業、あるいは交易というものだ。
この交換行為こそ、人の社会的欲望の表れの最大のもので。
人には、生活をもっと良くしたい、とか、生活の幅を広げたいという欲望がある。
芋しか取れない村は、もちろん芋を食べていれば生きていける。
しかしそれでは、面白くない。卵や肉も食べたい。それが、人間だ。
だから卵や肉が取れる村に行き、芋と交換して手に入れようとする。
中には暴力的に無理に奪ってしまうやつもいるわけだが、それだと刹那的になり、未来に持続しない。
ただ相手の足元を見て手なずけて、というのはある。支配というやり方だ。
腕力が強い者が、腕力の弱い者を、生かさず殺さず搾り取り支配すると、ある程度は未来に持続する。
<4>「農耕・牧畜」
この2つは、併せてワンセットで「農牧」と呼ばれることが多い。
現代日本では、牧畜といえば北海道や高原という印象で、あまり馴染みがない。
これは、日本の気候が雨が多いことに由来している。
牧畜は、雨が少なくても可能だ。
だから、世界じゅうの雨は少し降るが乾燥ぎみという地域では、農耕と牧畜がワンセット、むしろ牧畜メインになっていることが多くなる。
中には、農耕をやらないで移動生活をする牧畜だけという遊牧地域も、ある。
なお、農耕にも実は、牧畜を伴うことが多い。
かつて日本の農家は、土地の耕うんを牛にやらせ、鶏を飼うのが普通だった。
農家の朝は、「コケコッコー!」で始まっていた。
ーーーその3 旧石器から「新石器」へーーー
打製石器から「磨製石器」へという、変化だ。
打ち欠いて作る石器と、磨いて作る石器。
単純に考えると、前者は早く容易にできる。雑にはなるが。
後者は、時間をかけて丁寧に作る。
例えば、石で包丁を作る。
どちらの切れ味が、良いか。後者だろうね。
前者だと、動物を狩るときにぶすりと突き刺すぐらいしか用途がない。
後者だと、草木を根元から鋭い切れ味でスパッと切れる。
もうお分かりだね。
前者は狩猟採集、後者は農耕牧畜にそれぞれ対応している。
氷河時代が旧石器で、温暖化時代が新石器だ。
暖かいから、ゆっくり時間をかけて磨いて作れるわけだ。
ーーーその4 洞穴から「集落」へーーー
氷河時代は寒いので、地熱がこもる洞穴で人類は生活していた。
温暖化すると、人類は外へ出た。
洞穴だよ、洞窟じゃないよ。
洞穴は、出口に近い穴。くぼみ、へこみ。雨雪をしのげる深さ。
洞窟は、出口から遠く離れた穴。地下深部のことが多い。
洞窟には住めないな。住む人も居るかもだが。
ただ氷河時代、洞穴とその周辺だけが行動範囲だったかというと、そうでもないらしい。
雪が止んだ時などに遠出して、持ち合わせの石器と他の地域の石器を交換する交易をやっていた。その交易ルートもできていた模様。
石製の巨大な貨幣も使われていたらしい。
人間の「より良い生活がしたい」欲は、氷河時代も同じだった。
2 「約9000年前のアジアで農耕・牧畜開始」
<1>「アジアで始まった」
アジアの中の、「西アジア」で始まったらしい。
9000年前の遺跡が、イラクやパレスチナで見つかっている。
見つかっているというのはあくまで現在のところであって、この先発掘が進めばさらに年代をさかのぼった新たな発見があるかもしれない。
都市伝説レベルだが、1万年以上前に超古代文明が存在したのでは?という説も、あながち間違っているとは言い切れないところがある。
氷河時代といっても、赤道付近は氷に覆われていず温暖だったといわれている。
直近では7億年前にいわゆる全球凍結があったらしいが、氷河時代のほとんどは北緯南緯ともに極点から40度付近まで凍っているという状況。
<2>他地域に「広がった」
西アジアで始まった農耕牧畜は、陸続きの東アジア・南アジア・北アジア・東南アジアに広がっていった。
アジアと陸続きなのは、あと2地域ある。
「ヨーロッパ」と「アフリカ」だ。もちろん広がっていった。
じゃ、南北アメリカ大陸へは?オーストラリアには?
両者とも、数万年前から人が居住していた痕跡はある。
ただ、アメリカ大陸は1万年前以後のこの時期には、ユーラシア大陸とアメリカ大陸は分離してベーリング海峡ができていて、アジア発祥の農耕牧畜はこれらの地域に直接伝わらなかった。
オーストラリア大陸は、数万年前に既にユーラシア大陸から隔絶されていた。
しかし中南米には独自に発達した農耕牧畜があり、それがやがてインカなどの文明の基礎になる。
北米やオーストラリアは、狩猟採集経済にとどまっていたといわれている。
アジア大陸ないしユーラシア大陸と交流することが農耕牧畜ひいては古代文明の成立条件となったようなふしがあり、人同士が出会って刺激し合うことがいかに大切かを物語っている。
もちろん、要らぬ刺激を受けないほうが安全に過ごせるという場合もある。
刺激は、時として苦労を強いるからだ。
人類は、氷河時代の苦しい時代を経験することで精神を鍛え、次の文明成立の基礎となったということらしい。
しかしそういうストレスは精神上よくないので、本音としてはできれば避けたいものだ。
昔は「親や先生に殴られてこそ、子供同士殴り合ってこそ、子どもは育つ」といった暴力容認の風潮があり、それで苦労した青少年は数知れない。
参考にしている世界史教科書では、P18~P19