第二話⑭
俺はスマホを開いて、ホライゾンのアプリを立ち上げた。
「なんだこれ!?」
驚きすぎて、スマホを取り落としそうになり、慌ててキャッチする。見間違いかと思い、画面を二度見する。表示のバグかもしれないと思って、アプリをリセットして、再び立ち上げる。表示に変わりはない。
(いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……にっ、におくっ!?)
それは、俺のアカウントが保有しているポイントの数だった。当たり前だけど、見たことのない単位だ。見たことがないどころか、単位がカンストして他の表示に被ってしまっている。
心臓がバクバクしている。宝くじに当たったようなものなのだ。ホライゾンでしか使えないポイントだろうけど、二億円分のポイントが俺のアカウントに付与されていることになる。
このポイントを使って、これからは買い物をしてくれということなのか。それにしても誰が……。働かずして(サイト限定とはいえ)二億円という大金……というかポイントを手に入れた俺は、ある意味ではチートといえるのかもしれない。
俺は調子に乗って、当面の生活に必要な日用品や食料、それに衣類なんかを三人分、手当たり次第にカートに突っ込んで決済をした。もちろんポイントで。
一気に五万ポイントくらい減ったけれど、残高をみれば痛くもかゆくもなかった。
購入したものはすべて当日中の配達と表示があったが、夜遅くに誰がどうやって届けにくるのだろうと思っていたら、約五分後に突如、何もない空間からホライゾンの段ボールが降ってきた。先ほどと同じように、デスクの上に積まれている。
これは便利なサービスだと、俺は胸を高鳴らせる。二億ポイントなんてそうそう使い切れるもんじゃないだろうし、こっちの世界の流通とうまく組み合わせれば、一生生活には困らないかもしれない。——こもれびの杜の建物が存続する限り……だけど。
通販で取り寄せた食材と調理器具で簡単に夕食を作って、三人で食べたあと、俺はばあちゃんの排泄介助をして、届いたばかりの布団を事務所の床に敷いた。
「床で寝るなんて、久しぶりですねえ。コタロウくんはベッドに寝るようにって、ずっとうるさかったもんですからね」
にこにこと笑いながらばあちゃんは促されるままに布団に潜り込んだ。筒原さんは風呂に入りたいとぼやいていたが、シャワーで我慢しろと言い切った。こもれびの杜には、職員が軽く汗を流せるようにシャワールームの設備があるのだ。
風呂については、明日、ガークに頼んでみようと思って、俺もばあちゃんの隣に敷いた布団に潜り込む。
俺とばあちゃんと筒原さん。
奇妙な関係で描いた川の字だったが、精神的にも肉体的にも疲れていたのだろう。俺は布団に溶けるように、あっという間に眠りこんでいった。




