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第二話⑬

 俺たちが衣食住には困らないことに気づいたのは、その夜のことだった。


「ひゃあっ!」と、筒原さんが、素っ頓狂な声をあげたので、「どうしたんすか」と様子を見に行くと、俺がよく使っているデスクに、段ボールが置かれていた。


「なにもない空間から突然降ってきた」と、筒原さんは言う。四隅がすこし凹んだその段ボールは、俺が頻繁に使う世界最大の通販サイト『ホライゾン』のロゴが入っていた。


「あれ? これ俺が頼んだやつかな」


 そのとき、ポケットに突っ込んだまま今まで存在を忘れていたスマホが震えた。取り出して画面をタップすると、ホライゾンから「ご注文の商品の配達が完了しました」という通知がきていた。


 伝票の住所は、こもれびの杜のものになっていて、宛名は「空野虎太朗」と書かれていた。


「とりあえず開けてみなさいよ」


 筒原さんに促されて、段ボールの封を開けた。切れ込みを入れてから、中にやばいもんでも入っていたらどうしようと思ったが、箱は爆発もなにもしなかった。。


「ばあちゃんのリハビリパンツだ……」


 昨日、頼んだやつだ。


「すごいじゃない! 空野くんが通販をした商品は、全部ここに届くことになってるんじゃない?」


「どういう仕組みなんすか……」


「ほら、スキルってやつよ、しらんけど」


 筒原さんいわく、異世界小説でよくあるテンプレートな展開らしい。神のご加護かなにかで、突然違う世界にとばされた者たちは、その世界では滅多にみられない珍しい能力をあたえられるという。


 環境が変わってもその能力を駆使すれば、生活をするのに困らないようにとの配慮だということだろうか。だったら——。


「俺、どうせなら魔法が使えるとか、無双する武闘家になるとか、そんなんが良かったっす」


「なーに言ってんのよ! 貴方の腕っぷしがいくら強くなったからといって、この世界で生きていける保証なんてないでしょ! こういうのは便利なほうがいいのよ」


 ガークが言っていた。ウダイ国は竜族が統治しているから、いまは平和な国だと。だったら戦うこともないだろうし、たとえ争いが起きたとしても、俺なんかが戦線に立つよりも、ガークたちに任せておいたほうがいろいろと円滑に済みそうだ。


「戦争はいけませんよ、二度としてはいけません。ああコタロウくん、徴兵なんかされても、ちゃんと、いやだって言うんですよ」


 いやだって言えば済むことでもないだろうが、俺は「わかったよ、ばあちゃん」と答えておいた。

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