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第一話④


 ガークのあとについて、俺は集落を離れた。

「おいおいどこに行くんだよ」

 てっきり集落にあるどこかの建物に長老がいて、そこに案内されるのかと思っていたが、違うようだった。

「長老のもとへ行く。いまは集落とは違う場所にいらっしゃるからな」

 どこに行くのかと思えば、俺がさっき歩いてきた道を戻っていっているようだった。

「ガーク、おまえ、裸足でこんなところを歩いて、痛くないのか?」

 俺の問いかけに、ガークは何を言っているんだと言いたげに、訝しげな表情でこちらを見てきた。

「我ら竜族は、オマエのような履き物は履かない。生まれてから死ぬまで、ずっとこのままだ」

 こいつは元来、親切な性格なのかもしれない。どうでもいいような俺の問いかけにも、きちんと答えてくれる。

「うわっぷ!」

 余所見をしていたから、ガークが急に立ち止まったことに気付くのが遅れて、彼の背中にまともにぶつかってしまった。剥き出しの皮膚は、ほんのり熱い。

「なんだあれは……」

 ガークの呟きが聞こえた。俺を庇うようにして、すぐに戦えるように構えている。そんな所作からも、彼の優しさが感じ取られた。

 敵の襲撃かと思って、俺はガークの背中越しに前方を確認した。ガークが身構えた理由がわかって胸を撫で下ろす。俺たちの前方には、「こもれびの杜」の建物があるだけだった。

 不釣り合いだ。誰がどう見ても、俺の職場は周りの景色に馴染んでいない。ガークからすれば、見たこともない奇妙な建物が突如森の中に現れたのだ。俺の立場に置き換えてみるなら、街にUFOが突如襲来して、未確認生物が現れたような感じだろう。警戒するのも無理はない。

「ガーク、心配ない。あれは俺の職場だ」

 職場という言葉がガークに通じるのだろうかと思いながら説明する。「さっきも説明したように、俺たちはあの建物ごと、この世界に来てしまったみたいなんだ」

 そう言って俺は、ガークの前に立った。

「長老に会う前に、俺のばあちゃんと筒原さんに事情を説明していいか?」

「ああ、構わない」

「ガークにもついてきてほしい」

 ガークはごくりと喉を鳴らした。俺が大丈夫だと言ったものの、まだ警戒心は解かれていないようだ。


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