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【第五章完結】現代魔術は隠されている  作者: 隠埼一三
Episode Ⅳ『神の檻編』
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9.世界を捩じ伏せる魔力

 横浜・桜木町、ランドマークタワー近くに佇む地味な外観のオフィスビル。その七階、普段は無人のテナントの一室が、魔術協会・神奈川支部の出入り口だ。

 香月たちは風のようにフロアを抜け、ビル管理の職員に扮した構成員に導かれ、異界化された部屋の奥──支部の受付へと通された。


「こちら、日本中部支部から派遣された構成員(エージェント)の方々ですね」


 現れたのは、小柄で眼鏡をかけた初老の男性。支部長・仁科秀邦。元は考古魔術学の権威で、研究職を退いてからは神奈川支部で奇跡管理部の指揮を執っている。現場向きではないが、後方支援では信頼の厚い人物だという。


「お忙しいところ失礼します。フランス本部より出向中の、シャルロット・ルフェーブルです」


 シャルロットが軽く頭を下げると、仁科も恐縮したように応じた。


「いえいえ……正直なところ、こちらこそ助かります。神奈川支部は人数も限られておりまして、本来であれば日本本部の協力を仰ぐところなのですが、例の転移痕──現場では何度か確認されていたのですが、詳細がつかめずにいたのです。分析室はすでに開けてありますので、どうぞご自由にお使いください」


 軽い挨拶を済ませ、香月たちは案内役に導かれながら支部の地下へと降りていく。

 異界化された支部室の通路は、無機質で装飾のない壁、防音処理された鋼鉄の扉が並び、中部支部とは違った緊張感を漂わせていた。


     ◆


 数分後、地下二階の簡易分析室に到着。

 そこは狭いながらも機能的に整えられた灰色の空間だった。魔力遮断処理が施された壁、転写装置、術式観測板、そして旧式ながら高性能の魔術陣展開台が設置されている。


 香月は壁際に立ち、中央に立つシャルロットとクレアの様子を見守る。


 シャルロットは、肉まんの包みを慎重に転写台へ置く。その一部には魔力封印が施されており、暴発の危険はない。


『じゃあ、始めるよ』


 クレアがそう言って魔術陣に指を添え、魔力を注ぎ込む。床に描かれた陣が淡く発光を始めた。

 第二世代──古式の手描きによる魔術陣が、青白い光を帯びてゆっくりと浮かび上がる。


「……術式、拾えました」


 シャルロットが告げる。机上の端末に、肉まんに染み込んだ術式構造の残滓が投影されていた。


「第二世代の転移魔術ですね。西洋の魔術でもなければ、和式の陰陽術や符術とも異なります。今では教本にもほとんど載っていないはずですわ。第三・第四世代の魔導具や刻印式ではなく、純粋に描いた術式で起動しているようです」

「これがか? 俺にはさっぱりだが……」


 香月の疑問に、クレアが即座に答える。


「制御環が明らかに破綻しているのに、ちゃんと動いている……構文も構成も滅茶苦茶なのに、ですわ」


 シャルロットの声には、驚きよりも呆れが滲んでいた。


「使われている言語は……おそらくコプト語と古典ギリシャ語。でも、文法も構文も一貫性がありません。どう見ても、雑に模倣したとしか思えませんわ」

「けど、実際に転移は成立してるわけか……」


 香月が眉をひそめる。


「本来なら暴走か失敗で終わってもおかしくない術式です。最悪、座標がズレて身体の半分だけが転移、なんてこともありえますわ。でも、なぜかこの魔術は跳べている。未熟な手つきなのに、中心だけは異様に通っている。まるで……何か強力な力が、無理やり成立させているみたい」


 シャルロットの声には、静かな緊張が混じっていた。


「それを押し通しているのは──恐らく魔力。術式はめちゃくちゃでも、流し込まれた魔力が、現実そのものを捻じ曲げてる」

「……質が異常ってことか」


 シャルロットは端末に映った魔力波形を見つめ、息をひそめた。


「……滑るような手触り。理論を無視して、術式を強引に貫通させる。そんな魔力、普通の人間が持つものじゃありません」


 香月の視線が、転写台の上の肉まんへと向かう。

 そこには、かすかに残された手描きの痕跡──滲んだ線と、未熟な魔力の名残だけが静かに横たわっていた。


『ねえ、カヅキ……』


 クレアの声が、静まり返った分析室に落ちる。香月は振り返り、真剣な表情の彼女を見つめた。


『この魔力の質……何かに似ていると思わない?』

「何にだ?」

『ほら、満月亭でイヴさんを鑑定したとき』

「ああ……かりんに調べてもらったときか」


 香月は記憶をたどる。あの夜、満月亭──表向きは潰れたバーの空きテナント、実際には日本中部支部の隠れた集会所(ロッジ)──で姫咲かりんがイヴの魔力と体質を解析したときのことだ。

 あのときも、何か常識を超えた密度を感じた。


「……あの時も、人間の枠に収まっていない何かを感じた気がする」


 クレアが静かに頷いた。


『……イヴさんの血で作った賢者の石を利用した魔術師と相手した時だって、アレはイヴさんの身体からほんの少しだけ抜かれただけであろう量なのに並の魔術師ではまず到達できない魔力量だった』


 そう言いつつ、クレアの目がふっと真剣な色に変わる。


『──この肉まんに残留してる魔力、本当に異常だよ。密度だけじゃない、何だか感触が違う。普通の人間の魔力とは、明らかに別物。……ねじ伏せてるような感じがする。術式じゃなくて、世界(・・)の方を』


 張り詰めた空気の中、シャルロットがわずかに目を見開く。


「……世界の方が屈している、ですって?」

『うん。術式は粗雑で、言語構成も支離滅裂。でも飛べてる。普通の魔力じゃ到底成立しないはず。……まるで、世界の綻びに無理やり鍵を挿し込んで、こじ開けて通り抜けてるような感覚なんだよ』


 クレアの指先が、端末に表示された波形にそっと触れる。


『精密さじゃない。これは……暴力的なまでに質でゴリ押ししてる』


 沈黙を破って、シャルロットが一歩前へ出た。


「──まさに、そうですわ。失礼を承知で言わせてもらうなら……これは術ではありません。むしろ『権能』に近い。存在そのものが、周囲の理を捻じ曲げてしまう。そういう種類の魔力ですの」


 その声には、熱と確信がこもっていた。


「こんな魔力、普通の人間には持ち得ません。もしこれが個人の資質だとすれば──わたくしたちの常識そのものが崩れかねませんわ」


 クレアが、ぽつりと呟く。


『……イヴさんと同じ。まるで神域の魔力みたい』

「……たしかに、姿も特徴も似ていた。つまり……神の檻が作ろうとしている神胎──始祖人類の可能性がある、ってことか……?」

『それはわからないよ……』


 クレアは小さく首を横に振った。けれど、否定の中に迷いが滲んでいた。


「ねえ、日本中部支部にこの魔力の波形と同じ人物を解析した事がある方がいらっしゃるの?」


 香月はシャルロットの問いに、一瞬だけ逡巡を見せたが、すぐに静かに頷いた。


「……いる。ただし、正式な照会記録としては残されていない。あくまで非公式な鑑定として、中部支部のある構成員が記録を残している」


 香月の言葉に、シャルロットは眉をひそめる。


「非公式……ですの?」

「ああ。記録としては闇に葬られてるが、そのときに鑑定したのが、うちの調査班のエースと呼ばれてる姫咲かりんだ。彼女の私的なメモとして残されてる。始祖人類の先祖返り……その体質と魔力に関する、未公開の解析記録だ」


 シャルロットがぽつりと呟く。

 

「……姫咲。その姓に覚えがあります。魅了の魔眼で有名な諜報に長けた名家だと」


 クレアが反応する。


『かりんさんのことだね。中部支部の調査班のエース。ボクらの先輩だよ』


 シャルロットは首を傾げるように軽く目線を落としながら続けた。


「いいえ、その方ではございませんわ。日本本部に出向していた際、姫咲碧流(へきる)という女性がチームの中に居ましたの。彼女が雑談の中で、自分には中部支部に従妹がいて、一族総出で日本中部支部長と従妹を授かり婚させたとそれは楽しげに話していました」


 香月とクレアが苦笑いする。

 二人の間に、なんとも言えない沈黙が流れた。

 それを破ったのは、クレアの吹き出すような笑いだった。


「……ぷっ」


 珍しく、口から直接音を出した。

 

『……いや、ごめん。やっぱり笑えるって、これ』

「……ああ、まあ、そうだよな。あのジェイムズが姫咲一族総出でハメられてできちゃった婚って、字面だけで胃もたれしそうだ」


 香月も思わず口元をほころばせる。クレアは続けた。


『日本本部どころか他地方の支部や総本部(ロンドン)にまで噂になってたらしいよ。ジェイムズのおじ様って若い頃魔術学院じゃ『黒の姫君の狗』って異名呼ばれるほど一途で有名だったって。『あの黒の姫君の狗が姫咲の力に陥落した』って噂になってるって』

「……っ!」


 シャルロットが息を呑んだ。彼女の瞳がわずかに揺れる。


「黒の姫君……あの伝説の、魔術学院首席卒業にして行方をくらませた天才……! そして、ジェイムズ様があの黒の姫君を一身に思い続けた伝説の狗……!」

「おいおい、伝説の狗って何だよ」


 香月の苦笑まじりのツッコミに、クレアが肩をすくめる。


『だって実際そうだったんでしょ? 黒の姫君への思いを遂げるためなら何でもやる、授業中でも演習中でも食事中でも彼女に告白して、手紙は毎週、誕生日は年に三回祝ってたって噂を聞くし』

「三回はおかしいだろ。てか、情熱的が過ぎるな。今の落ち着いたジェイムズ本人とは思えんレベルだな」

『魔術暦・西暦・彼女と出会った記念日らしいよ。凄いよね……それで交際を断られ続けてもめげなかったあたりも……』


 香月が思わず顔を覆い、シャルロットがわずかに頬を赤らめながらも真面目な調子で口を挟んだ。


「……ですが、彼の想いは決して歪んだものではありませんでしたわ。報われずとも、誠実に、ただ一人を想い続けた方。ご存じですか? 魔術学院の伝統として残されている学生時代の手記……彼女への敬意と、純粋な慕情が記されていました。あの愛の深さは、まさに──本物ですわ」


 ひと息おいて、目を伏せたシャルロットが小さく微笑む。


「……まさか、自分が尊敬していた方に、知らぬ間にお会いしていたなんて。少し、夢のようです」


 香月とクレアが顔を見合わせ、苦笑いを交わす。


『いや、でもできちゃった結婚。しかも日記が後の世代の学生に晒されてるんだ……』

「シャルロット……お前、本当に犬が好きだな……」


 クレアの言葉とは別に、香月の呟きには、どこか遠い目が混じっていた。クレアがきょとんとした顔で首をかしげる。


『どうしたのカヅキ? 急に過去見てるような顔して』

「いや……ちょっと、魔術学院(アカデミー)での戦闘演習の時の記憶がな……」


 それは、魔術学院の実戦形式の演習での出来事だった。


 当時の香月は「本気を出す」と称し、人狼の姿に変身して相手チームを圧倒していた。制圧速度、威圧感、人狼化と肉体強化魔術の相乗効果による力──どれを取っても、実戦級の評価だった。だが、そのとき。


「──っ! カヅキ……!」


 演習場の観覧エリアにいたシャルロットが、まるで獲物を見つけたかのように立ち上がった。


 彼女の目は輝き、手は震え、次の瞬間には結界を無視してぶち抜いてくる勢いで香月の元に駆け寄っていた。


「その毛並み、耳、しっぽ……っ! わたくしに、モフらせてくださいまし!!」


 その瞬間、戦闘は中断された。


 いや、正確には──両腕を広げて追いかけてくるシャルロットから香月が逃げ回る、という奇妙な展開に突入したのだ。人狼の脚力で逃げる香月を、シャルロットが全速力で追いかける。なぜか観覧していた学生たちからは喝采が上がっていた。


 結局、逃げきれなかった香月は捕まり──


「うわあああっ!! シャルロット! やめっ、くっつくなあああっ! ひっ、耳はっ……やめっ……尻尾引っ張んなぁぁぁ!!」


 その悲鳴は、数年経った今でも学院のどこかで伝説として録画アーカイブされているらしい。


「……トラウマだ……」


 香月が頭を抱えてぼそりとぼやく。


「……あの時は至福のひとときでしたわ……ねえ、カヅキ? カヅキは次はいつわたくしの前で『()』になってくれるのかしら?」


 シャルロットがうっとりと微笑みながらそう問いかける。

 香月は青ざめ、顔を伏せた。


「お、おい、そういう言い方はやめろ……」


 そのときだった。


『…………』


 クレアが、凍ったようにぴたりと動きを止めた。 

 そして──


『……はい?』


 静かながら、低く、感情のこもった伝声が発せられる。

 香月が「ヤバい」と直感するのとほぼ同時、クレアがシャルロットに向き直った。


『……ちょっと。シャルロットさん? 今、なんて言ったのかな? カヅキが狼になるのを楽しみにしてるって……』

「えっ? ああ、ですから……彼が狼になって、わたくしの前に現れてくださる瞬間を、今か今かと──」

『はあああああ!?!?!?』


 叫び声が響いた。

 クレアの頬がみるみる赤くなり、耳まで真っ赤に染まっている。その目には、怒りと羞恥と困惑がごちゃ混ぜになったような、複雑すぎる感情が渦巻いていた。


『なにそれ!? なにそれ、完全にそっち方面の話じゃん!? 『狼になる』って、そ、そういう比喩でしょ!? 夜のことっていうか、オトナの意味でしょ!? カヅキ、まさか、ボクというものが居ながら……ッッ!?』

「ち、ちがう! ちがうからな!? 誤解だ、それは絶対違う!!」


 香月が慌てて手を振る。


「おいシャルロット、ちょっと言葉の選び方ってもんがあるだろ……!」


 しかしシャルロットは、ぽかんとしたままクレアを見て、首を傾げる。


「あら……わたくしはどちらの意味でも大丈夫ですけれど?」


 香月の顔が一瞬で蒼白になる。


「だ、だいじょばくねええぇぇぇぇぇッ!!」


 思わず素っ頓狂な声を上げ、香月は半歩後ずさる。だがその背後にはすでにクレアの怒りが物理的な熱量を伴って迫っていた。


『……カヅキ』

「は、はひっ!?」


 低い。低すぎる。つい先ほどまで笑っていたクレアの声とは思えないほどに。思わずその場で気をつけをしてしまうレベルだ。


『どちらの意味でもって、ボクよくわかんないんだけど……? ねえ……どういうこと? 一応確認だけど……カヅキはシャルロットに開放済(・・・)ってこと? フリーカヅキってこと? そういうこと? え? ねえ?』

「待て待て待て待て!? 話が違う!! 勝手に開放すんな!! ってか、フリーカヅキって何だ!」


 香月が手をぶんぶん振って必死に否定するが、クレアの目は鋭く細まり、肩がぷるぷる震えている。明らかに怒りゲージがMAXを振り切ろうとしていた。

 シャルロットは、そんな二人の間できょとんとした顔を浮かべていたが──やがてぽんと手を打ち、まるで名案を思いついたかのように微笑んだ。


「……あら、クレアもご興味がおありなら、今ここでカヅキには狼になって貰っていっそ三人で──」

『おおおおおお断りしますッ!!!』


 クレアの絶叫が部屋を震わせる。


『ていうか、何!? なんでこのバカフレンチは平然とそういうこと言うの!? 恥ずかしくないの!? なんなの!?』

「いや、だからコレは多分言葉のアヤというやつ……」

『言葉のアヤで済むかーーッ!!!』


 クレアの声が、殺気すら帯びた勢いで炸裂した。

 空気がビリ、と震える。部屋の温度が一瞬だけ下がった気すらする中、クレアはバッと前に出て、シャルロットを真っすぐ睨みつけた。


『いい? シャルロット……ボクはね、確かにまだカヅキとそういう関係にはまだなってないけど、だからって『フリーカヅキ』とか意味わかんない制度で勝手に割り振られるような存在じゃないの!』

「いや、俺は自分をフリー開放した覚えは……」


 香月の言葉を無視するようにクレアがズイ、と一歩前に出る。


『それに! そういう下心満載の目でカヅキを見るな!──モフりたいだの、狼になってほしいだの、ペロペロしたい愛してるだのって、アレだよね!? 要するにカヅキを奴隷化したいって事でしょ!?』

「いや、さすがにペロペロまでは言って──」


 香月が更に口を挟みかけるが、それを遮るようにクレアがピシャリと手を上げて制する。


『違うの。カヅキはね、そういう存在じゃないの。彼は誰よりも真面目で、頑張り屋で、優しくて、誰かを守るために自分を犠牲にしてでも戦うような人なの! その姿がボクは好きで──だから、バカフレンチ! あんたにはカヅキは絶対渡さないッ!!』


 ビシィッ、と指を差され、シャルロットはようやく「あら……」と一歩引いたような表情を浮かべた。

 クレアは肩で息をしながら、それでもなお真剣な目で言い放つ。


『──カヅキは未来永劫ボクのものなんだ!! カヅキも、未来のカヅキとの子供もボクが貰うんだから!!』


 静寂。


 しばし沈黙が流れたのち、香月が小さく呟いた。


「……クレア……」


 その言葉にクレアはふと我に返り、耳まで真っ赤に染め上がると、バッと背を向けた。


『っ、い、今のはっ、別に、変な意味じゃなくてっ……!!』

「いや、もう遅いだろ……全部俺の目の前で言ってんだから……」


 香月が苦笑し、シャルロットは優雅に微笑みながら、ぽつり。


「……まあ、わたくしの愛はそんなことで折れませんけれど?」

『だからやめてって言ってんでしょーーーッッ!!!』


 シャルロットの発言にクレアが叫び返し、香月は頭を抱える。室内はすでに修羅場の様相を呈していた。


 ──だが、その空気を切り裂くように扉が勢いよく開かれる。


「失礼しますッ!!」


 解析室のドアが音を立てて開き、神奈川支部の若い構成員が駆け込んできた。息を切らしながら、手にしたタブレットを高く掲げる。


「──確認されました! 例の転移魔術の痕跡です! 魔力感知網に反応がありました!」


 一瞬で場の空気が凍りつく。


 シャルロットの表情が引き締まり、香月とクレアも即座に視線を交わす。


「わかりました。すぐ向かいますわ。場所はどこですか?」

「……横浜市中区、福富町の繁華街付近です!」


 その報告を聞いた瞬間、香月の目に鋭い光が宿る。


「……出たか、アイツが」


 おそらく、先ほどの『イヴに似た少女』と同一の魔力反応だ。

 これは、目前に迫る神の檻への潜入を前に、決して見過ごせない兆候だった。

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