表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

もちもちワンコが彼女の弟だった場合

もちもちワンコが彼女の弟だった場合


「こんばんワン! むむ、なんて顔してるワン」


 そりゃ、突然犬がインターホンを押して訪ねてきて日本語で挨拶されれば、誰でも今の俺みたいな顔になるだろう。というか……よし、分かった。とりあえず保健所に連絡しなければ。


「待つワン! どこに電話かける気ワン!」


「ワタシ、ニホンゴワカリマセン」


「嘘ワン!」


 あ、しまった。保健所にかけるつもりが彼女に電話かけてしまった。


『もしもし。何の用だ、ダルタニアン』


「誰が三銃士の一人だ。ごめん、間違えてかけただけだ。じゃあな」


『またれよ、君の所に可愛いワンちゃんが……もしかして来てたりしてないかい?』


 ドキっとした。まさに彼女の言うとおり、今この場にモチモチなシベリアンハスキーの子犬みたいのが居る。しかも日本語を駆使するあたり、きっと妖怪の類に違いない。


「お前……なんで分かるんだよ」


『それ私の弟だから。ちょっと保護してあげて』




 ※ウェルカム、弟ー!





 《たいへんだったの!》



 ちなみに俺と彼女は結婚を前提にお付き合いをしている。来月入籍予定だ。


「で、弟君よ。君の名前はなんだっけ……」


「むむ、お兄さん寂しいワン。可愛い義理の弟の名前忘れるワンて!」


 ごめんて。


「僕の名前は……寅吉!」


「犬なのに?」


「元々は人間ワン! 実は……姉の怪しい実験に巻き込まれて、犬にされたワン。あのままだと次はミジンコあたりにされそうだったから、逃げてきたワン」


「俺の未来の嫁さん何してんの。未来って言っても一か月後だけど」


「というわけでお兄さん……僕を元に戻してほしいワン!」


 と言われても。

 こういうのはアレだな、きっとお湯をかければ元に戻る筈。俺と同世代の人間なら同意してくれるはずだ。


「よし、寅吉君。お風呂に入るぞ!」


「お兄さんのエッチ!」


「なんだと!」


「ぼ、ぼく……恥ずかしいワン!」


 ええい、何を言うか! さあ、入るぞ! ぶち込んでやる!



 ※やさしく抱っこしながら入れてあげました





 《成程……?》



 結果から報告しよう。

 寅吉君は人間の姿には戻らなかった。


 代わりにといっては何だが、ドライヤーをかけてフワッフワにしてやった。


「可愛いぞ、寅吉君」


「うぅぅぅ、なんだが自分がモフモフになると妙な気分ワン……」


 そのまま俺の膝の上へと鎮座してくるモチモチ子犬。お風呂で抱っこしてる時も思ったが、かなりモチモチだ。永遠に抱っこしていられる。


「まあ、今日はこのまま泊っていけ。俺の腕の中で眠るがいい」


「ダ、ダメワン! この小説、BLカテゴリーのチェックついてないワン!」


「心配するな。犬はノーカウントだ」



 ※公式様には未確認ですがたぶんノーカンです!





 《姉来訪!》



『もしもし、玄関あけてちょうだい』


 寅吉君と一緒のベッドで夜を明かし、目覚めのモーニングコールで彼女に起こされる。

 玄関って……もしかして来てるのか?


「なんだよ……来るなら早く来いよ。そして寅吉君を元に戻してやれ」


『いいから早く開けなさいよ』


 うぅ、眠い。そして微妙に肌寒い。仕方ない、寅吉君を抱っこして玄関に行こう。


「んんん……僕は……おもちじゃないです……」


 なんだか可愛い夢を見ているであろう寅吉君。

 なんと微笑ましい。ぶっちゃけ彼女よりもう可愛い。


「はーやーくー」


 玄関の向こうから早く開けろと催促してくる彼女。

 

 ……いや、待て……合鍵持ってる筈だろ。

 それに今……なんか下の方から声が聞こえたような……


「まさか……」


 勢いよく玄関を開ける俺。そこには……


「遅いわよ」


 そこには……何処ぞの名探偵のように子供の姿になった彼女が……


「ってー! 犬じゃないんかい! どうせならお前も犬になれ!」


「未来の嫁になんてことを」


「待て、その姿で未来のホニャララとか言うな、滅茶苦茶犯罪臭がする」


「真実はいつも一つ!」


「映画見ただろ! 絶対見ただろ! 誘えよ!!」



 ※その後、サブスクで過去シリーズを一気見しましたー!







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いやもう……主人公が実験台にされる未来しか見えないですー(;'∀') でもってこういうモフモフで。 しかもマッドサイエンティストなお話好きです( ´∀` )
[良い点] モチモチでフワッフワな子犬の寅吉くん、可愛いですね。永遠に抱っこしていられるレベルのモチモチ……素敵すぎます♪ あああ、彼女まで子供の姿に! 来月入籍予定の主人公さん、頑張って! と思わず…
[一言] もっちもっちのふわふわだぜ!って言いそうなワンちゃんこと弟ですね。 実家の犬と錬成されてしまったとしたら可哀想度がもの凄くあがりますが、どっかのお父さん方式で池に落ちてパンダになったとかなら…
2022/10/02 19:06 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ