流れ星にのってきたんだ
今年も流れ星のきせつがやってきたよ。
ぼくの名前はピーター。
ぼくは何回も前の冬に流れ星にのってこの星にきたんだ。
ないしょだよ? だれにも言わないでね?
ぼくは、流れ星にのってくる前のことは知らないんだ。おぼえていないの。
でも、だれかに「泣いている人や悲しい思いをしている人を助けてあげて」
って言われていた気がする。
この星にきて、とあるおばさんとおじさんのお家の前におりたんだ。
おばさんとおじさんには、ふたりの男の子がいたんだけど、ふたりとも“せんそう”で天国にいってしまったんだ。
おばさんとおじさんは、すごく悲しんでいたから
「泣かないで、ぼくがいっしょにいてあげるから、泣かないで」って、いってあげたんだ。
ピーターって名前はねぇ、おじさんがつけてくれたんだ。
ぼくは、おばさんとおじさんのこどもになって、いっしょにくらすことにしたんだ。
そして、おじさんといっしょに畑をたがやして野菜をつくったり、木をきったり、うさぎをつかまえたりしたんだ。
おばさんとは、お買い物にいったり、おりょうりのおてつだいをしたり、お洋服をつくったり、いっしょにおねんねもしたよ。
この星では、冬になると流れ星が見えるよ。
でも、冬のある日の夜、一回しか見えないんだ。
おばさんとおじさんとぼく。
三人で一年に一回の流れ星を何回も見たよ。
流れ星が多い時、少ない時があるんだ。
これはないしょだよ? だれにも言わないでね?
泣いている人や悲しい思いをしている人が多い時に、流れ星は多いんだ。
泣いている人や悲しい思いをしている人が少ない時に、流れ星は少ないんだ。
でも、流れ星が少ない時はあんまりなかったんだ……
いつもどこかで“せんそう”をしていたり、なかよくできないから、流れ星は多いんだ。
何回か流れ星を見ると、ぼくは少しずつ大きくなるけど
おじさん、おばさんは少しずつちいさくなって、おじいさん、おばあさんになっていった。
あるとき、おじいさんになったおじさんが天国へいっちゃった。
ぼくは、おばあさんに、悲しい? って聞いたんだ。
そしたらおばあさんは、「悲しいけど、悲しくないよ」って言った。
ぼく、わからなくて「なんで?」って聞いたんだ。
「おじいさんは、悲しいこと、泣きたいことがあっても、一生懸命におじいさんになるまで生きて、天国へ行ったからだよ」って教えてくれた。
おばあさんもそうなの? こわくない?
「そうだよ。ピーターといっしょに幸せに生きられて天国へいけるからぜんぜんこわくないよ。」
それからぼくとおばあさんは2人で暮らしたんだ。
おじいさんのぶんも、ぼくががんばったよ。
そして、今度は2人で一年に一回の流れ星を見たよ。
何回も見たよ。
でも……次の流れ星の前に、おばあさんも天国へいってしまったよ……
おばあさんは、前に幸せに生きられて天国へいけるからこわくない、悲しくないって言っていたけど……
ぼくは悲しいよ……さみしいよ。
「おかあさん、おとうさん……」
ぼくは悲しいよ……さみしいよ。
ぼくは悲しくて、さみしくて、一人で流れ星を見れないよ……
ぼくは悲しくて、さみしくて、一人で流れ星を見れないから、お家の中で泣いていたんだ。
そしたら……
コンコン……コンコン。
だれかがお家にきたみたい。
「だ~れ?」
ドアをあけると、女の子がいたんだ。
女の子はぼくに言ってくれた。
「泣かないで、わたしがいっしょにいてあげるから、泣かないで」
女の子に名前はないんだって。思いだせないんだって。
ぼくは女の子に、アリスっていう名前をつけたら、アリスは喜んでくれたんだ。
これからぼくとアリスは、なかよくくらして、何回も何回も流れ星を見るんだ。
でも、流れ星の数は少ないほうがいいな……
おしまい
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