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王宮西にある庭園。その一角にあるガゼボ(西洋風あずまや)にある椅子に座るさくらとアールヴ。

西の庭園は王宮裏手にある庭園よりこじんまりしているが手入れが行き届いており季節の花を中心に植えられている。


この景色だけでもおとぎの国だよね・・・


綺麗に手入れされた庭、その向こうには城、それを見てさくらは思う。


「大司教に聞いたのですが、さくら殿はこの世界の者ではないと?」

「見たいです」

「では、この世界の事はもちろんこの婚姻に関することも知らず突然呼ばれてきたということで間違いはないですか?」

「はい」

「・・・そうですか」


アールヴは本人に確認すると、庭の方を向いた。


沈黙で気まずい二人。


「あの、お話はそれだけですか」

「それだけではないのですが状況に頭がついていかなくて」

「わたしもです」


沈黙。


だから、気まずい!


「あの、今までこの儀式でもめたことはなかったんですか?」


今まで誰ひとりとして嫌と言った人がいない方がおかしいと考えてしまうさくら。


そんな疑問を聞いた。


「ないです」


即答するアールヴ。


「えっ・・・なんで?・・・恋人がいたり、もうすでに結婚した人だったら?その人と別れてまで従わないといけない決まりなの!?それってムチャクチャじゃないですか!!?」


驚きと怒りをアールヴにぶつけるようにまくしたて詰め寄る。

さっきまで大人しかったさくらが突然感情を表したのに驚きそれが顔に少しだけ現われたがすぐに元の顔に戻り、さくらを落ち着かせる。


「呼び出される人は皆、独身、恋人なし、許婚なし、生娘。この条件に当てはまらない人が呼び出された話しは聞いたことがないので、本人の意志に反して呼び出す事はないと思っていました」


き、きむすめ!!!


さくらの顔が真っ赤になる。


はぁ、悲しいけど全部の項目に当てはまってる。いままで彼氏すらできたこともないし・・・。


「どうかしましたか?気分でも悪くなったとか?」


顔が赤くなったさくらの事を心配するが、決して気分が悪くなったとかではなく、恥ずかしかっただけなのだ。


「いえ、ちがいます!大丈夫です!!」


あわてて答える。


「そうですか」

「あの、会った事もない全く知らない人と結婚することに抵抗はないんですか?」


お見合いしてまで結婚したいと思った事はないのでアールヴがどう思っているのか気になり聞いてみた。


「ない、というよりそういうものだと思っていたので疑問にも思った事がなかった、と言ったほうが正確かもしれません」


そっか、なるほど、昔は親同士が相手を決めて、結婚式で初めて相手の顔を見た、それと同じなんだ。


この人の常識とわたしの常識は違いすぎるだけ・・・どちらが正解でもなくどちらが間違っている訳でもない・・・どちらが幸せでどちらが不幸せでもない・・・お互いただそれだけのことなんだ。


妙に納得してしまったさくら。

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