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大司教が話しを始めると、王と王妃は先に聞いていたからか驚きはないものの、ほかの三人は驚きすぎて言葉がでなかった。
突然、異世界から人が現れアールヴにとっては結婚相手、ラヨシュにとっては義理の姉、イレムにとっては自分の住んでいる国の王妃になる人物が異世界の人間なのだ。
バタンッ!
アールヴが立ち上がり座っていた椅子が倒れる。
「直接話を聞いてきます」
そう言うと、部屋を出て行ってしまった。
「兄上のあんな顔初めて見ました」
「そうね、あの子もあんな顔するのね」
おっとりとした王妃が微笑みながら、紅茶を一口。
アールヴは速足でさくらの部屋へ急いだ。
急いでどこかへ向かう王太子の顔が何ともいえない迫力だったと、すれ違う者たちが珍しいものでもま見たかのようにお互い顔を見合わせる。
その後一ヶ月くらい大司教が走り王太子は見たこともない迫力の顔でどこかへ急いでた、と噂になる事となった。
さくらの部屋のドアがノックされる。
そろそろお腹すいたなぁ。
部屋に時計が置かれていないので時間がわからないがお昼くらいはずだと思いドアを開けるさくら。
ドアの向こうには、銀色の髪、碧の瞳の男性、アールヴだ。
昨日のイケメン!昨日はよく見て無かったけど、ちゃんとみるとさらにイケメン。
「昨日ご挨拶しましたが、アールヴです。お話したいのですが」
「はい、どうぞ」
「昨日お会いしましたが、覚えておられますか?」
「はい」
この人がわたしの結婚相手。
「あの、お話ししたいのですがいいでしょうか?」
「はい」
「では、外にでも」
「あっ、はい」