表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/66

月光

帰りの馬車の中。


「今日はありがとうございました。とっても楽しかったです。それに、王太子様のおじい様おばあ様って優しくてとても素敵な方々ですね」

「楽しんでもらえてよかった。祖父母は昔からああいう人達で全く変わらない」

「大好きなんですね」

「あぁ・・・気を張らなくていいからな」


最後の言葉を、さくらに聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で言うが、その言葉はさくらの耳に聞こえたがそれをあえて聞こえていないふりをした。


「あっ!」

「どうした!?」


突然の大声にアールヴが驚き、何かあったのかとさくらを見る。


「あっ、いや、このイヤリング月にかざすの忘れてた、と思って。これ何色になるんですか?」


少し言いにくそうに自分の耳からイヤリングを外し手のひらに乗せたイヤリングを見つめながら話しをする。

それを聞いて少し呆れたような安心したような顔になり、石のついて話をしはじめる。


「石は何色に変化するかは、月にかざしてみないとわからないんだ。だからなのか、ホルドは月の光に真実の姿を現す、と言われ、不思議な力を宿しているとも言われている」

「そっか・・・素敵な石なんですね」

「そうだな。この宝石は王家所有の山でしか採掘されたことがなく、出回っている数も少ない。それがそういう話しを生み出したのかもしれないな」



「では今から見てみるか。止めてくれ」


運転手に馬車を止めるように言うと、街から少し離れており王宮に帰る一本道の開けた場所で止まり、ふたりが馬車から降りる。


「今日満月だったんだ」


こっちの世界に来てから夜空をよく眺める様になった。月だけじゃなく星も沢山見えるから・・・地球だったら”星空を見ようツアー”にでも参加しないと観られないような夜空。


「どうかしたか?」

「キレイだな、って思って」

「そうか」


アールヴにとってはいつもの見慣れた空なので嬉しそうに空を見上げるさくらを少し不思議そうに見る。


「あの、これ、もし真っ黒のままだったら?」

「クスッ、黒のままだったら単なる偽物のガラス玉だよ」


顔をひきつらせながら不安そうに聞くさくらを見ておかしくて吹き出しそうになりながら答える。


本物だったら絶対に色が変わるんだ。


そして、イヤリングを月にかざす。

石が月に照らされた瞬間まぶしいくらいの月の光が石に集まり黒色だった石の色が変わる。


「透明!」


ダイヤモンドみたい。


「これは珍しいな」

「えっ?」

「ここまで透明のホルドは見た事ない」


月にかざされた石を覗き込むように見たアールヴもこの色は見た事がなかったらしい。


「アル、イヤリングありがとう。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ