18
今日の午前中は、教会の人達とポスで対戦。
1戦1勝。
前は、何もしなくていいってことは羨ましくていいなぁって思っていたけど、数日もすれば退屈でどうしようもなかったのに、おじいちゃんが教えてくれた将棋のおかげね。
宮殿内を部屋に帰るため歩きながら思う。
ん?ここどこ??
また、迷ってしまった!お城ってなんでこんなに広いんだろう。皆迷わないなんてどれだけ記憶力いいんだろう。
なるべく冷静に、迷ってないふりをして歩き回る。
一度外に出ればわかると思ったのに、来たことのない場所にたどり着いてしまった。
庭、だよね。
西の庭園とは感じが違うけど素敵な庭。
池があり、橋もある、小さいけど滝も。少しアジア的な庭園のような感じ。
「こんにちは」
声がした方を振り向くと、橋の向こうにあずまやがありそこに女性が二人いた。
「こ、こんにちは。誰かがいるとは知らずにすみません」
「よろしければ、ご一緒にお茶いかが?」
その場を立ち去ろうとするさくらはお茶に誘われる。
優しい笑顔で物越しも優しいけど、断らない方がいい雰囲気のような感じがする。
「お邪魔でなければ」
そう言うと、あずまやに向かう。
「初めまして、私アールヴとラヨシュの母でイロナと申します」
綺麗で穏やかで周りを和ませてしまう感じの人。ラヨシュ様は母親似ね。
「初めまして王妃様、さくらです」
「座って」
さくらが椅子に座ると、侍女がお茶とお菓子をテーブルに置くと少し離れた場所に座る。
「花茶というのよ」
お湯を入れると花がカップの中で開く茶葉。確か、中国のお土産でもらったことがあるのに似てる。
「綺麗ですね」
「でしょ、最近気に入っているのよ。さくらさん公式の場ではないのだし王妃様ではなく名前でいいわよ」
「わかりました、イロナ様」
「本当はもっと早くにお会いしたかったのだけれど、アールヴに止められていてね。でも、偶然なら怒られることもないわよね」
王太子様気を使ってくれたんだ。
「そうですね。あの、イロナ様はもう知っていると思うんですけど、結婚の話お断りしたんです」
言いずらそうに話すさくら。
「聞いたわ。それは、アールヴも納得した事なんだから気にしなくていいのよ。それより、戻る方法がまだわからないらしくてごめんなさい」
「いいえ、誰が悪いわけではないので謝らないで下さい」
何で反対に謝られるのよ。
「さくらさんって楽しい人ね」
えっ?
小さく微笑みながらイロナが言うとさくらは何がどうなのかわからず困惑する。