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魔法が使えないと言うことは、わたしはどうやってここまできたの?
「じゃぁ、わたしが呼び出された儀式ってなに?あれは魔法じゃないの!?」
「儀式は魔法ではなく”力”ですよ」
”力”?
どういうこと??
部屋のドアがノックされ、アールヴが入ってくる。
「失礼する。ラヨシュどうしてここに?」
部屋にラヨシュが居ることに気付き少し驚く。
「兄上、さくら殿が住んでいた世界の話を聞いていたのですよ」
「そうか。さくら殿迷惑ではありませんか?」
「大丈夫です」
むしろ、誰かと話せて嬉しいかも。
「そうですか。ラヨシュ迷惑をかけるなよ」
「はい。わかっていますよ」
「あの、お座りになりませんか」
閉めたドアの近くに立ったままのアールヴにさくらがラヨシュの隣りに座るように勧める。
「では、座らせていただこう」
ラヨシュの隣りでさくらと向き合う位置に座る。
「さっそくだが要件を、結婚の話だが、さくら殿が望まないのであればそれで構わない」
「えっ・・・!」
アールヴが話を続けようとしたときそれを遮るようにヨラシュが大声で驚き、アールヴとさくらを交互に見る。
「ラヨシュ行儀悪いぞ」
「でも兄上!」
「望まぬ結婚を無理強いするわけにはいかないだろう」
「ですが」
「黙って聞けないなら席を外せ」
ラヨシュが話しを聞いても構わない、むしろ後で説明するよりいいと思ったアールヴだったが、口をはさむのなら話は別だ。
「すみません」
その一言に黙るラヨシュ。
「それと、さくら殿の世界チキュウとかという場所に帰す方法がわからないのです。申し訳ない」
アールヴは立ち上がりさくらに頭を下げ謝る。
「そうですか・・・あ、あの、王太子様が悪い訳ではないので謝らないでください」
怒って文句を言われる覚悟をしていたアールヴは、さくらの納得はしていないだろうが怒るのでもなくどこか納得した様子に驚いた。
「怒らないのか?」
思わず聞き返した。
「怒ってほしかったのですか?」
「そういう訳ではないが・・・」
「駄々をこねても仕方がない事ってあると思うんです。あっ、座ってください」
アールヴが座り話を続ける。
「帰る方法が見つかる保障はないが探しては見るつもりではいる。その間、客人としてここで暮らしてください。もちろん、庭はもちろん王宮内の一部を除く場所なら自由に出入りして構わないので。後、何か足りない物があれば用意させよう」
「はい」
「他に何かあれば気を使わず言ってほしい。この事は国王陛下も周知されていることなのでご心配なく」
「はい」