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この年の一番大きな満月の夜。
満月が空の真上に来た瞬間。
一人の男性が安堵した表情になった。
「やったぞ」
「成功だ」
「すごいぞ!」
男性の周りには何人もの人々が囲うようにおり、感激する者、喜びのあまり涙を流す者、驚き、声にならない者達が静寂を破り歓喜した。
その部屋の中心には、安堵した顔の男性、その目の前には座り込んだ女性が一人。
その女性は、なぜかポカンと呆気にとられた顔をしている。
な、に?
突然知らない景色が目の前に広がった女性は夢なのか、頭でも打って空想の訳の分からないものが見えているのか、理解出来ずに固まってしまっている。
そこへ、目の前の男性がその女性に対し片膝を地面につけ女性と同じ目線になり話しかけてきた。
「初めまして、私はこの国の王太子アールヴと申します。あなたのお名前を教えていただけますか?」
「えっと・・・森さくら・・・」
今王太子って言った?イケメンで王子?なに??夢???いきなりご飯食べながら寝落ちしちゃったのわたし????
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