003「勇者の欲望」
「久しぶりだな~」
「ここがリンシャ村?」
「ああ、俺が町を出て初めて寄った場所。そして、勇者の片鱗を魅せた栄光の道への第一歩でもあったのだ!」
「へ~! じゃあ、さっき村人が言ってた『勇者様はスライムに負け、ボロカスになって助けを求めてたんじゃ』っていうのは嘘なのね!」
(あのじじい……余計な事言いやがって!)
「も、勿論嘘だよ! 俺がそんなカッコ悪い事する訳ない――」
「あー! スライムに負けてボロカスだった勇者様が来た! 僕だって倒せるスライムに負けたのに~!」
「うるせぇっこのガキちょっとこっち来いやっっ」
「お、落ち着きないよ勇者! 子供相手にみっともないわよっ!?」
(ああ、さっきの話本当だったんだ……ここは勇者を傷つけないためにも、聞いてないふりをしないと!)
「聞いてよお姉さん!! 勇者様は、あの誰でも倒せるスライムに負けて血だらけだったんだよ!! スライムに血だらけにされるって、ある意味奇跡だよね!!」
「声がでけぇんじゃガキこのっ! 折角聞こえてないふりしようと思ったのに出来ねえだろこのボケカスがぁっっ!!」
「ちょ、落ち着けよリッカ! 相手は子供だぞ!?」
嫁探しの旅に出た勇者とリッカが訪れたのは、長閑なリンシャ村。ここで勇者は、気になる女の子の一人――村長の娘"アンナ"に出会った。
「あ~っ、緊張するな」
「なによモジモジしちゃって! さっさとおっぱい揉んで次に行きましょう!」
「おい、そんな事したら一発退場だわ……お前、俺を貶めたいの?」
「そう……じゃないわよっ! ただ、あんたがおっぱいが大きいおっぱいが大きいってうるさいから口に出ちゃっただけよ!」
「いや、お前止めろよ! アンナちゃんに聞こえるだろ!」
「聞こえるように言ってるのよ!」
「やっぱり貶める気じゃねえか!」
「それがどうしたの?」
「開き直るだとっ!? 斬新だなお前! ある意味清々しいぜ」
「良いから早く会うわよ」
勇者を差し置き家の扉を開け放つリッカ。
その時、巨大なマシュマロがリッカを襲う。
「うわっ、ぷっ!」
「あら、どちら様?」
リッカは思った。
(なにこれ……えっ、もしかしておっぱい? これが? いえ違うわっ、これは胸にスライム詰めてるだけ! うん、きっとそう! いえ、そうじゃなきゃ困る!)
「あ、あの……私の胸にご用ですか?」
アンナのおっぱいを揉みしだくリッカ。
その手つきは、ゴットハンドも顔負けだ。
さすが、勇者のパフパフをこっそり見学していただけはある。
「ぁんっっ」
「なにしてんだよリッカ!? ご、ごめんなアンナ! こいつちょっと馬鹿なんだ!」
「勇者様!? 勇者様ではありませんか! 嬉しいっ!あの約束……覚えていてくれたんですね」
夕日の中、旅立つ勇者とアンナが交わしたあの約束――勇者は、まったく覚えていなかった。
「あ~、あれなっ! あの約束な! そうなんだよな~! でさ!! 一応、こう、お互い擦り合わせるためにさ、アンナが覚えてる約束を教えてくれないか? 一応だぞ一応!」
リッカは気づいた。
(あ、こいつ全然覚えてない)
「はい♪ 勿論でございます!」
勇者の慌てぶりと苦しい物言いを聞けば覚えていないと気づきそうなものだが、アンナは気にも止めない雰囲気で"あの約束"について語り出した。
(えっ、もしかしてこの女……爆乳天然娘なのっ!?)
リッカは衝撃の事実に、膝から崩れ落ちる。
『天然娘』『爆乳』という、二大属性を併せ持つアンナに恐れおののいたのだ。
「相変わらずでっかいおっぱいだな……やべっ、口から出ちゃったっっ」
「ありがとうございます勇者様!」
(なにこの子……勇者の最低な一言にも、顔色一つ変えないだと!? しかも、喜んでいる!? くっ、なんという強敵っっ!!)
リッカの前に、爆乳天然娘が現れた。
リッカは逃げようとしたが、回り込まれてしまった。
リッカに、精神的ダメージ100。
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