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物書きさんが鬱になった場合

作者: 秋津呉羽

 鬱になりました。しかも重度の奴。

 原因は割とありきたりで、過重労働と上司からのハイパーパワーハラスメントです。

 ここら辺は興味ないと思うんでサクッと飛ばしますが、大体一日二十時間(ほぼサビ残)とか働いて、殴ったり蹴られたり人格否定されると、割と簡単に人間って鬱になれるようです、はい。

 まぁ、「このまま首を吊るぐらいだったら復讐するか!」と開き直って、労働基準監督署に突貫。会社に捨て身の特攻食らわしてやったんですけどね、ざまぁぁぁぁぁぁッ!!

 労働基準法に死んで詫びろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

 さて、本題。

 鬱になってからというものの、小説が書けなくなりました。

 『書かなくなった』のではなく、『書けなくなった』のです。正確に言うとこれも少し違うのですが……創作を司っていた部分がガチで死ぬと言うか。そこら辺はおいおい。

 今は少しだけマシになったのか、多少なりとも書けるようになりました。なので、物語は難しくとも、徒然と書かせてもらうエッセイなら何とかなるかなと筆を執りました。久しぶりに文章を書くので、雑然としているかもしれませんがご容赦ください。

 何だかんだで、文章書くのは楽しいですよね。

 それでは、簡単にその理由を箇条書きにしてみましょう。

 


 ①どんな創作物も面白いと感じなくなってしまう。

 ②これは面白い! こんなシーンが書きたい! というのが無くなる。

 ③自分が書いている小説が欠片も面白いと感じなくなってしまう。



 まぁ、こんな感じです。物書きしている人にとっては、この三つに尽きるんじゃないでしょうか。

 集中が10分もたぬとか、無理に頑張ると頭痛で脳天がかち割れるとか、妨害要素は他にもいろいろあるんですけどね……。鬱に関してもっと語るべきこともあるかもしれませんが、それは本格的な鬱のエッセイ本にお任せして、ここでは趣味で小説を書いていた私の経験を簡単に書かせてもらいますね。

 それでは、個別に見ていきましょう。



 『①どんな創作物も面白いと感じなくなってしまう』

 全ての元凶。

 ②と③はこれの派生と言っても過言ではないでしょう。

 ともかく、脳が創作物を受け付けなくなる。面白い! という感情そのものが励起しなくなります。私は、小説も、アニメも、漫画も、映画も、面白ければ何でも首突っ込んで、沼に落ちる性質の人間だったわけですが、何をしても全く面白くなくなりました。

 沼が凍ってしまったかのよう。いや、マジマジ。

 何にもインプットができなくなるわけですねー。アウトプットもできなくなりますがー。


 これに気が付いたのは、なぜか分からないが、思い通りに小説が書けなくなり始めた頃でした。筆が進まない。プロットが建てられない。建てても思い通りに行かない。そもそも、書きたいシーンが思い浮かばない……そんな泥に足を取られていました。

 自分が小説書いていた所で言うと、『灼熱無双のフレイムハート』の終盤ですね。今見ても酷いですね。書き直したいですね……うわ、死にたい……それはまぁともかく。


 どうしたもんかと思い悩んでいた時に、友人に『面白い小説読んで参考にすれば?』と言われました。なるほどそれは一理……と、仕事に忙殺されて書くので手一杯になり、最近、小説を読んでいなかったことを思い出しました。

 「そう言えば、プロのラノベも最近読んでなかったし、何か流行っているラノベ買って読むかー」と、本を買って読んで――何も面白いと感じない。


 というよりも、文章が頭に入ってこない。

 シーンが浮かばない。

 頭の芯が麻痺して、思考にノイズが走りっぱなしになる。

 まるで、白紙のページの上を蠢くミミズを観察しているかのようだと、感じました。

 

 その時買ったラノベは、この頃は読んでいなかったものの、ずっと追いかけていたシリーズものでした。何かおかしいと感じると同時に、そういえばアニメも撮り溜めるだけで見なくなったし、映画もいかなくなったなぁと、今更のように思い出していました。

 私が鬱で仕事をダウンして、動けなくなったのが、その数か月後。

 たぶん、その頃からもうカウントダウンが始まっていたんだろうなーと思います。

 

 結構昔の小説になってしまいますが、現在も軽小説家として活躍なさっている、榊一郎先生が書かれている『スクラップド・プリンセス』や『ストレイト・ジャケット』は私にとって聖書ともいうべき本です。

 小説に詰まってしまったり、表現に悩んでしまった時は、何度も読み返したりしたものです。

 ただ……あれだけ読み返し、何度も確認するように面白いと感じていた本ですら、鬱になってからは感情が揺さぶられませんでした。


 相当独特な感覚なので、恐らく鬱になってみないと分からないんじゃないかなーと。

 逆に、割と重度の鬱になったことある人からすれば、あるあるー! という感じじゃないでしょうか。やる気逆スイッチが入ったらこんな感じになると思います。

 ちなみに、現在約1600字。すでに脳内ノイズが走り始めております。

 頭いてぇ、超スパーキング。

 


 『②これは面白い! こんなシーンが書きたい! というのが無くなる』

 書きたいシーンを繋げて小説創るんです!! という人、多いんじゃないでしょうか?


 ハーレムが書きたい? いいですねぇ、ロマンですねぇ。

 ざまぁが書きたい? いいですねぇ、スッキリしたいものですねぇ。

 無双が書きたい? いいですねぇ、主人公をガンガン活躍させちゃいましょう。

 純愛が書きたい? いいですねぇ、ロマンチックにいきましょう。

 ガチバトルモノが書きたい? いいですねぇ、というか、それは私が書きたい。


 まぁ、なかなかに難しくなります。

 もう題名そのまんまです。シーンが思い浮かびません。

 そもそも、①で述べた通り面白いという感覚が軒並み死んでいるので、どれだけ鈍くなった頭をフル稼働させて絞り出そうとしても、そんなシーン出てこないんですよね……。

 もっと根元の欲求、欲望のようなものが死んでしまう感じだといえば良いでしょうか。

 根が死んでいるのに花を咲かせる植物はいないようなものです。

 まぁ、ラフレシア科の植物は根も葉も茎もなく花を咲かせるんですけどね。何事にも例外ってあるよね。閑話休題。


 書きたいシーンがボンヤリとは浮かぶんですが、それがハッキリ像を結ばないというんでしょうか。もっとこう! もっとこう! それがこうやってあーなってこうなるんだ!! という感じで、夢中でシーンをこねくり回そうとしても、そもそも、そのシーンに触れられない。無理に面白くしようとしても、ふと我に返ると全然面白くないんですよね。

 それはもしかすると、客観的には面白いのかもしれません。

 でも、自分の感性が死んでいるので、『そもそも、それが面白いのか、という自身の判断基準が曖昧になっている』という地獄。ここらへんは③で熱く語りたいと思います。

 

 多くの方は何か面白い物語や出来事に触発されて、とシーンが生まれたりすることが多いのではないでしょうか。死ぬほど頭を悩ませてシーンを生むこともありますが、まぁ、それは置いといて……感情や欲求に根差したその瞬間こそ、小説を書きたくなる原動力ではないかと思います。失ってしまった身としては、実はそれは途轍もなく尊い能力ではないかと思います。

 

 正直な所、感覚がおかしくなってから一年と少し経ち、健全だったころの創作力がどんなもんだったのか自分自身が一番分からなくなっています。足掻いて足掻いて、無理にシーンを捻りだし、プロットを建てても、自分では欠片も面白く感じず、何を書いても納得がいかず、筆を放り投げている身としては……血が滲むほどに羨ましい限りです。

 

 そろそろ3000字。集中力が切れましたね。

 一度寝ようと思います。

 頭が痛いのは当然として、前頭葉に近い部分が痺れてくるんですよね……透明人間にアイアンクローを喰らわされているような状況と言えばわかりやすいかもしれません。

 


『③自分が書いている小説が欠片も面白いと感じなくなってしまう』

 ふと読み返しているとテンションが落ちていることに気が付く。

 よし……ここからは自分の小説がいかに面白くなくなるかを熱く、熱く語りたいと思います! 全力で背中から相手に向かって突っ込むようなテンションで参りましょう!

 嘘です。すみません、ほどほどのテンションで行きます……。

 

 まぁ、ここが一番絶望的なんですが、自分の小説が面白くなくなります。

 いや、割と自分の小説って読んでみると面白かったりしません? 何となく自分が投稿した小説読んでみたら、展開分かってても読み進めちゃって、時間が滅茶苦茶経っていたこととかあるんじゃないでしょうか? ありますよね? あるって言ってお願い!

 とまぁ、こんな感じで書いても書いても自分の作品が、これっぽっちも面白くなくなるんですよね……書き上がったばかりの小説とか、完走補正も相まって『これ結構イケてるんじゃね!?』とか思っちゃうんですけど、それすらも無くなってしまいます。

 

 というよりも、書いてる途中で執筆という作業の苦痛度が凄いことになるんですよね。

 自分の書いた作品が面白いのか……それとも、面白くないのか……そう迷いながらも筆を進める、あるあるですね。私も経験あるのでよく分かります。ただ、この場合、絶対的な『面白くない』という実感が自分の中にあるので、それとは比較にならない程に筆が進みません。


 それと、追い討ちをかけるような頭痛と集中力の欠如、そして、透明人間による顔面アイアンフィンガー。あ゛ーと、『銀黎のファルシリア』は、口から変な声を出しながら書いていました。当時はまだ症状が多少軽かったんですけど、その後、更に悪化……後は、生きてるのか死んでるのか分からないような状況で布団の上に転がって、PCの前に出ることすらできませんでした。

 

 ただ、私の場合は『書かなくちゃいけない!!』という強迫観念がなかっただけ良かったのかもしれません。小説を仕事にされてる方、または、凄いアクセス数を稼いでいる連載作品を持ってらっしゃるだったら、地獄だろうなぁと思います。鬱病で休職した時は『もうこんな仕事辞めてやる! 実家に引きこもって小説家になるんだ!!』と錯乱してましたが。

 

 ただ、ここまで書いて『それって、鬱じゃなくてスランプじゃねえの?』と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そうですね、こうやって並べてみると、身体的な苦痛以外はスランプと似ているかもしれません。そうだな……分かりやすくRPGで例えてみましょう。

 『スランプ』は目の前に強敵がいる感じです。

 自前のスキルを使って、魔法を駆使して、強敵と戦っています。なかなか前に進めませんが、もしも、その強敵を倒すことができれば、自分が大きく成長することもできるかもしれません。経験値を手に入れてレベルアップですね!

 『鬱』は状態異常のような感じです。

 本当は持っている強力なスキルも、魔法も使えない。おまけに攻撃力も下がっているし、防御力も落ちている。ただ、幸いにも敵は何もしてきません。ジッと見つめ合うだけです。目と目が合う~瞬間好きだと気づい(ry

 違いといえばこんな感じでしょうか。

 

 

 ④最後に

 さて、こんなもんでしょうか。簡単ではありましたがサクッとまとめさせてもらいました。

 私が言いたいことはただ一つ……心は壊さないようにしましょう。

 割と取り返しがつきません。心の傷って思っている以上に治癒しないもので、現状どれぐらい治っているかもわからないので、先も見えません。

 なので、きつかったり苦しい事があったら逃げるというよりも、積極的にそれを排除するために行動するべきではないかと思います。私はそうでした。

 まぁ、これ以上はお説教ですね! では、ここまで……読んでくださった方々、稚拙な文章にお付き合い下さりありがとうございました!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 共感しました [気になる点] 作者様の鬱の経過 [一言] 同人で企画シナリオ担当し、生活してます。去年の夏頃から同様の状態になってしまい創作活動が全く進まない現状です。共感できました。
[一言] あるある、と思いながら読んでしまいました。 私も一度心が壊れた身なので、苦しみがわかります。 ただ私の場合、遊びすぎて壊れてしまったようなものなので、何とも言えない要因です。 まあ、あの時…
[良い点] めちゃくちゃ共感しました。 [一言] 私は「絶対死にたくない」と医師に訴えていたので、鬱ではなく、鬱傾向と診断されました。 ですが、創作意欲が無くなる。全てが面白い、楽しいと思えない。頭…
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