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悪役令嬢の不在  作者: 木口 困
本編・第2学年編
4/17

チートになれないアナリシア

中庭はイングリッシュガーデンといった趣で、青々とした芝生と調和の取れた、色とりどりの花が咲き乱れる華やかな空間だった。

快晴とはいえ少し肌寒さもあるためか、全てのテーブルに先客が居るという状況にはならずに済んでおり、誰に遠慮する必要もなくそれらの内、端の方の一つを占拠出来た。細かな細工の美しい白い丸テーブルと、それを取り囲む同じ設えの椅子が三脚。

席に着くと各々弁当を広げた。


「ちゃんと、肉を多めに入れてくれたんだな」

「あたしは約束は守る女なのよ。有り難く味わって食べなさい」

「いつ見ても彩りが良くて、美味しそうなお弁当ですね」

「そう?シフィーのは相変わらず豪華だね!またどれか交換してくれる?」

「いいですよ」

「やった!スキロもたまには交換してもらったら?」

「俺はこれがいい。舌に馴染んでるんだ」


二人の関係を近付けようと気を回したというのに、スキロからは頑なに拒絶されてしまった。

豪華な食事に気後れしているのか、いつも誘いに乗ってはくれない。


「ふーん?偏食はよくないよ?せっかくだから色々食べてみたらいいのに」

「……」

「シア、そんな言い方はないと思いますよ。シアがせっかく早起きして作ってくれたのですから、大事に食べたいのですよ」

「そんなのいつでも作ってあげるのに」

「その言葉、忘れるなよ」


憮然として黙り込んでしまったスキロだが、ナリシフィアのとりなしとアナリシアの提案で途端に機嫌を持ち直した。

クールな見た目に反して、食い意地が張っているようだ。

アナリシアとスキロが弁当箱から直接食べるのに対して、ナリシフィアは皿へ食べたいものを取り出しては、ナイフとフォークを優雅に使いこなして口へ運び、丁寧に咀嚼していた。無駄のない流れるような動作に、つい見惚れてしまう。


「で、なんで皇太子様は強制恋愛なの?寧ろそんなんで恋なんか出来るの?」


教室ではしづらかった話題なのだろうと、ここへ辿り着くまで口にするのを我慢していたアナリシアだが、とうとうスキロを睨み付けて疑問解消に乗り出した。

不機嫌そうに眉を潜めたスキロだったが、それも一瞬のことで口調は淡々と答えを述べた。


「別に強制ってほどじゃないが、出来れば“休眠”前にお相手を定めて欲しいっていうのが国の思惑らしいな。何年眠りにつかれることになるか解らないし。お一人ではなく、魔力を増幅してくれる恋人と一緒なら、早く目覚められるし」


素っ気ない返答に愕然とする。

隣席のナリシフィアなどは、全く驚きがないようで変わらぬペースで食事を続けていた。


「休眠?え、本当にあるの、それ?」

「当たり前。授業でも習ったろ」

「てっきり比喩か何かかと……、だってあり得ないでしょ?宝具の維持修復の為にずっと魔力を注いで、何年も眠りにつくなんて」

「事実ですよ。方法は申せませんが、皇太子として定められた方は、皇帝位に就かれる前に“休眠”の義務を果たされ、長くて十数年、短くて五年でお目覚めになられます。もしご婚姻後ならば皇太子妃様とともに“休眠”していただき、宝具の維持に務めていただくのです。結界の宝具はそれだけ特別で、他の宝具よりも管理が大変難しいのです」

「まぁ、国土全域覆ってるから。当然だよな」


至極当たり前として受け止めている級友二人に対して、アナリシアは取り繕いもせず顔をひきつらせた。

ゲームでも確かに、皇太子はそんなことを言っていた。

だから自分は人を好きになる気はないと。自分の休眠に巻き込むと解っていて、愛する者の花の盛りを、何年かもわからない期間拘束しなければならないと決まっていて、どうして恋など出来ようか、と。

てっきりどこかに軟禁でもされて、公に出来ない仕事でもさせられるのかと思っていたのだが、本当に、純粋に、宝具維持の為に眠りにつくなど、予想外である。


「それ、皇太子様と皇太子妃様しかできないの?もっと大勢でやれば、負担が減ったりしない?」

「お前はバカか」


スキロが残念なものを見下すように目を細め、アナリシアの善意の訴えを棄却した。

なんでよ、と、不満に口を尖らせるも謝罪はなく、フォローは別方向からきた。


「結界の宝具に触れられるのは皇族の方だけ。そして宝具に魔力を込められるのは、皇帝陛下と皇后陛下、それから皇太子殿下と皇太子妃殿下のみと定められているのです。それ以外の者の魔力は弾かれ、無理を通せば宝具を損傷する、と歴史書にも残っていますよ。トヴァヒコル神様との盟約、とのことです」

「おかげで帝位継承争いもなく、我が国は平穏。皇帝陛下や皇太子殿下の苦労は偲ばれるが、国の安泰を考えれば有難いばかりだな」

「そうですね。トヴァヒコル神様により定められた方が治める地ですから、民にとっても、これほど安心で信頼でき、誇らしい国主はないでしょう」

「二人とも、詳しいんだね」

「普通だろ」


誇るでもなく淡々とした様を崩さない幼なじみに対し、令嬢はおっとり微笑んでその言葉を否定した。


「いえ、スキロ様は思慮深くていらっしゃると思いますよ。しっかり教科書の記述外の思惑まで、読み取っておられますし。私は側妃として召しあげられる予定ですから、勉強しておりますが、スキロ様は義務ではなく独自の取り組みなのですよね。感服致します」

「評価が高すぎて怖いですよ。あんまり誉めないでください」

「良かったね、スキロ!」


ナリシフィアからの高評価に思わず頬を緩めるも、本人は不本意そうに顔をしかめていた。アナリシアだからそうと解る程度だが、どうやら照れているらしい。

二人の距離は確実に縮まっている!と実感して、ニヤニヤが抑えられない。

しかし今、一度流してから気づいてしまったのだが、聞き捨てならない言葉を耳にした。


「……あの、シフィー?今、側妃って聞こえたけど、どういうこと?」


笑顔も自然と引っ込んだ。

側妃とは、まさか皇族限定の一夫多妻制に適用されている、用語のことだろうか。


「公然の秘密なのですが、シアは知らなかったのですね。我が侯爵家は、他の貴族と違い宝具を賜ってはいないのです。かわりに、働きによって皇家にお仕えするべく、代々必要時には、側妃を嫁がせることができるようにしているのです。皇子様がお生まれになられたら、年回りの近い娘に皇妃教育を受けさせていただき、将来の皇太子妃殿下をお支えできるよう、努めさせていただいているのです」

「え、なにそれ」


あまりの内容に、フォークが止まった。

そんな話、ゲームには出てきていない。


「我が国では自由恋愛が推奨され、政略的なものより当人達の意志が優先されますね」

「うん、宝具のためだよね」

「そうです。そのため皇后陛下が、平民や下位貴族の出自であらせられることもあるのです。つまり、相応しい教養が身についていない方や、どうあっても身につかない方が、残念ながら現れてしまうのです。過去にそういった方が公務、外交に携わり、他国の使者や王族を怒らせてしまわれ、戦争の発端となったり、国交が断絶したこともあるのです」

「うわぁ、乙女ゲーム設定の弊害としわ寄せが今ここに!」


そりゃあ、ゲーム内にそんな設定出てくるはずがない。

素敵な純愛をしているつもりが水を差され、クリアする意欲が萎えかねない。


「おとめげーむせってい?ええと、おとめげーむ、は、以前聞いたことがありますね。婦女子の願いを取り入れた物語のようなもの、でしたね……。そういうわけですから、皇后陛下のかわりに公務を執り行うことや、皇后陛下が上手く立ち回れるよう補助させていただくべく、特例として側妃が設けられることがあるのです。側妃とは役職なので、夜伽のお相手は致しませんし、両陛下の仲を邪魔することがないよう、恋愛感情も抱きません、必要以上に陛下に近づくことも致しません」

「お前自分から訊いたんだから、謎語録なんか言ってないで真面目に聞けよ」


僅かに首を傾げはしたが、生真面目に説明を続けるナリシフィアと、あからさまに呆れて見せるスキロ。

アナリシアは嫌な予感がした。


「まさか、シフィーはその皇妃教育を受けてるの?それで、教育がちゃんとされてない皇太子妃様のフォローの為に、側妃になるの?」

「そうですね。おそらくは、そうなるでしょう。ところで、ふぉろーとは手助けの意味でしたよね?」

「そうだけど。ねぇ、どうしてもシフィーじゃなきゃだめなの?今の皇帝陛下は、側妃なんか居ないよ?無理に嫁がなくても良くない?」

「今の皇后陛下は公爵家の出自であらせられ、幼少からお互いに想いあっておられたため、充分に教養をもたれていたとのことですから。幸いなことに、我が一族は必要なかったのです」

「じゃ、じゃあ、公爵家の人とかが結婚したら大丈夫なんだ!」

「あいにく、同じ年回りの公爵家のご令嬢はコートマール家のアマリリス様なのですが、殿下はアマリリス様をあまりお好きではないご様子でして。他にも、侯爵家、伯爵家と相応しいご令嬢にはお目通りいただいたのですが、どの方も殿下はお気に召さず……」

「なんでよ!納得いかない」


これだから無関心皇子は!

アナリシアは憤慨した。

ヒロインが早くも離脱したのだ、皇子が学園で恋人を作るのは無理なのではないだろうか。

いや、例えヒロインと結婚出来たとしても、ナリシフィアは側妃にされてしまう。

ここは潔くヒロインとの出会いや、ロマンスは諦めて、落ち着くべき所に落ち着き、高位貴族の令嬢と恋愛を繰り広げてほしいものである。

でないと、このままではナリシフィアが、愛のない結婚をしてしまうことになる。

せっかくスキロと良い雰囲気だというのに。

せっかくスキロを救ってくれると思ったのに。


「シア、家の事情や国の都合なんだ。本人も納得してることだし、あまり突っ掛かって困らせるな」


アナリシアの中では当事者に分類されいる幼なじみに宥められ、当然のように怒りの矛先は彼に向かった。


「スキロは良いわけ!?あたしが怒ってるのは、あんたの為でもあるのよ!」

「は?何がだよ?」


怪訝な顔で、心当たりがないように整った眉をひそめる男を、見た目に反してなんて男らしくないやつなんだと、アナリシアは失望しそうになりながらねめつけた。


「シフィーのこと好きでしょ!そんな簡単に諦めるなんて、何考えてんのよ!」

「はぁ!?」


驚愕に目を見開くスキロ。

ぽかんとして無言になるナリシフィア。

興奮して思わず立ち上がり、肩をいからせたアナリシア。

近くのテーブルに誰も居なかったのは幸いだが、好奇の視線に晒されないかわりに、場の空気を変えてくれる救世主もいなかった。

三人の間に、重苦しい沈黙が横たわる。


「それは、あんまりだと思いますよ、シア」


いち早く硬直がとけたのか、ポツリとナリシフィアが呟く。

困ったように眉をさげ、どこか気の毒そうにスキロを見やった。


「なにが?だって二人とも良い雰囲気でしょ?シフィーだってスキロの表情の変化に気づいたり出来るし、よく気がつくし」

「私のは、観察力によるものですよ。高位貴族ともなれば誰でも、努力して得るようつとめる類いのものです」

「でも、アマリリス様はわかってなかったよ?」

「アマリリス様は真っ直ぐでいらっしゃいますし、あまり腹芸の得意な方ではないので。向き不向きもありますが、ともかく、スキロ様の表情の変化は、殿下の表情よりも読みやすくていらっしゃいますよ」

「皇子様はいっつもニコニコしてるから、きっとあんまり怒ったりしないんじゃない?」


無関心だし。

多分虫けら相手位に、心が動かされてないはずだ。


「そういうわけでも、ないのですよ」


どこか意味深に微笑むナリシフィア。

その笑みに一瞬目を奪われ、アナリシアは続けようと思っていた言葉を見失った。

ナリシフィアは皇太子と何か接点があっただろうか。特に教室で会話を交わしている姿も、見かけたことはないが。

アナリシアには計り知れない独特の空気感に飲まれてしまう。

その会話の隙を突くように、低い、低い、地を這うような声がスキロから発せられる。


「撤回しろ」


青年の顔色は蒼白に近く、歯をくいしばっている。その両目には荒れ狂う激情が見てとれた。必死で押さえ付けようとしながらも、溢れ出てしまっているかのような、制御不能な強いそれは、怒りなのか、悲しみなのか、苦しみなのか。

明らかに負の感情によるものであり、彼は酷く傷付いているようであった。


「バカだバカだとは思っていたが、まさかここまでバカだったとは。しかも殿下のものに懸想しているなどと、下手をすれば反逆罪にされかねない、命と将来がかかった、大変不名誉な言いがかりだ」

「スキロ、なに、怒ってるの?」

「撤回しろ、今すぐ。俺はナリシフィア様に対して恋愛感情なんかこれっぽっちもない」

「シア、その通りです。すぐに撤回してください。私の婚姻に関しては政による取り決めなのです。部外者が口出し出来ることでもないですし、もし取り決めを乱そうとする者がいれば、悪質だと判断された場合、最悪国家反逆罪に処されるのですよ。私の婚姻について口出し出来るのは、当家の当主と、皇家の方のみです」

「え、そうなの!?」


まさかそんな大事だとは思いもしなかった。

それではまるで、婚約者という立場にされるより扱いが重いではないか。


「はい、国の将来、ひいては外交や公務に関わることですから」


道理で優良物件のはずだ。

にもかかわらず特定の相手が居ないわけだ。

生まれながらに国を支え、文字通り人生をかけて国に仕えることが決まっているのだ。

とんでもない相手に目をつけてしまった。

そう青ざめる反面、気になるのはスキロのことだ。

ナリシフィアではダメだった。では一体、誰がスキロを救ってくれるのだろう。

アナリシアはもう、どうすればいいのかわからなかった。

ヒロインは早くも相手を見つけているし、恋の障害の悪役令嬢も機能していないが、キャストは揃っている。ここは乙女ゲームの世界のはずなのだ。

攻略に取り組まれもしなかったキャラクターはどうなるのだろう。

ヒロインに少しも関われなかったキャラクターは、どこでハッピーエンドを迎えられるのだろう。

漠然と抱いていた不安が、明確な恐怖に変わった。

手足から音を立てて血の気が引いていった。

気候とは関係なく、一気に背筋が冷えた。

そして目に入る光景は、楽観的だった今までと180度違って見えた。

血色の戻らないスキロの顔は、まるでこの世の終わりを目の当たりにしたようで。

困った子供を見るような、慈愛に満ちた眼差しのナリシフィアが見ているのは、間違いなくアナリシアで。

何を見ていたのか、本当に二人はこれっぽっちも親しげではない。

むしろアナリシアのお節介に振り回されて、付き合わされていたのだと如実に表れている気がした。

とりあえず今は、謝らなければならない。

スキロに国家反逆罪などという、恐ろしい容疑がかけられてしまう。


「ごめん、スキロ。あたしの、勘違いだった」


絞り出した言葉には、この空間を劇的に浄化出来るほどの威力はなく。


「先戻るわ」

「スキロ!」


全く改善されない顔色のままスキロは立ち上がり、呼び掛けに反応を示すことなく、二人に背を向け足早に離れていった。

呆然とするアナリシアに、「今のはシアが悪いですよ」と辛辣な内容とは裏腹に、優しげにナリシフィアが告げた。


「自己表現を得意とはしない殿方が、あれだけ行動や態度で示しておられたというのに。少し距離を取りたくなる気持ちも、わかりますね」

「シフィー、どういうこと?」


迷子になったような気持ちで、アナリシアは隣の少女に目を向けた。


「シア、あなたはスキロ様の表情の変化には気づけますが、他のことを読むのは、不得手のようですね?」

「そうかな?あたし、結構鋭いと思うよ」

「……シア、あまり言いたくはありませんが、シアはとても鈍いです」

「え、ひどいよシフィー!どういうこと?」


心外だ。今は真剣な話の最中のはずなのに、何故からかってくるのか。しかし、あまり重苦しい雰囲気も困るので、それに応じるつもりで、抗議の意味を込め胸の前で拳を握りしめてみせる。

そんなアナリシアを、ナリシフィアは最早本日の表情として定着してしまったかのように、困った顔で見返した。

どうやら彼女は、真剣な話を継続していたようだった。


「私の出来る助言は二つです。スキロ様の今までの言動や、行動を、客観的に見直すこと。そしてシア自身も、もっと自分自身に向き合うことです」

「へ?」

「何を思い悩んでいるかは知りませんが、シアはもう少し素直になるべきですね。何かしらの思い込みというか、先入観といったものを、行動や言動の中に感じ取れる時があるのです。それを解消しない限りは、また同じことを繰り返すのではないか、と思いますよ」


咎めたり諭したり、そういった意図は全くなく、ただ事実を淡々と述べているような様子に、アナリシアはたじろいだ。

グサリとその言葉が突き刺さるのは、思い当たることがあるからだ。

思い込みや先入観は、ないとは言えない。

だってここは乙女ゲームの世界だから。

少し知っているゲームの内容とは違うが、現実ではあるが、根本は一緒のはずだ。

だからハッピーエンドを目指して何が悪いというのか。

みんな幸せになりたいものではないのだろうか。

アナリシアは自分の知識を元に、最善を目指しているはずだ。

弁当の続きに手をつける余裕もなくなり、自然と下がる視線をじっと手元に注ぐ。


「風が出てきましたね。私達もそろそろ戻りましょうか。午後の講義に間に合わなくなってしまいますよ」


急かすでもなく、おっとりと促されて、アナリシアはノロノロと弁当を片付け始めた。

隣に置き去りにされたのは、スキロのために用意したもので。まだ食べかけで、半分程しか減っていない。

そちらも片付けながら、「スキロは午後からお腹減らないかな」と心配にもなったが、去り際の顔色が脳裏にちらついて、あの様子では持っていったところで喉を通らないだろうなと察した。


「初めて残されたな、ご飯」


今までは、どんなに料理に失敗しても「どんな出来でも、粗末にするわけにいかないだろ」と完食してくれたスキロ。

不味いものばかり食べさせては申し訳ないと、一生懸命練習して腕を上達させると、彼は自分のことのように喜んでくれた。料理はアナリシアがスキロを喜ばせる、数少ない特技の一つになったのに。

食べ物を大事にする彼が、最後まで食べずに立ち去るなど、滅多なことではない。

失敗してしまった。

残された弁当を目にすると、ますますそう実感した。


「せめてあたしがチートだったら、こんなことにならなかったのに」


転生してから何度も呟いてきた苦い後悔を、友人は聞き咎めることなく。

アナリシアは、なんて役に立たない転生者なのだろう、と目に見えて落ち込んだ。


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