人気者と非人気者
誤字脱字が多いです。申し訳ないです。気をつけます。
四限が終わり、昼休みになった。相変わらずよもぎの周りは人集りがすごい。良い事なのか悪い事なのか、俺にはわからんが、嫌われるよりかはやっぱり良いのかもしれない。だって見て! クラスの男子の視線。獣のそれだよ。なんか目が赤く見えるのは気のせい? いや気のせいじゃないよな。だって見えるんだもん。
俺が何したってんだよ。くっそ。
まさしが振り返って言う。
「ぎん、今日も学食か?」
お前だけだよ。そんな目で俺見てくれるのは、良い奴だな。初めてお前が居てくれてよかったと思えたよ。いや、初めては冗談だぜ! 俺とお前の仲だろう。
「いやー。今月ピンチだから弁当持ってきた」
「そっかあ。じゃあ俺は食いに行ってくるわ」
「なんか、悪いな」
「気にすんなって、じゃあまた後でな」
「おう」
まさしは走って学食に向かった。
そんじゃ、俺も食うかな。ここ以外の場所で! 偶には屋上にでも行くか。
弁当を待って席を立つ。よもぎの後ろを通り過ぎようとすると、手をつかまれた。
「お兄ちゃん。待って!」
どっから出てきたの、その手? 囲まれてたよね? 俺は見てたよ。最早よもぎは見えないくらいに囲まれてたよ。てかマジでどうやった。もしかして見えてるの? 何か見えちゃってるの? 人には見えない何かが。
「ど、どうした? なんかようか」
よもぎを囲んでた、クラスの女子の視線がぎんに集中する。
痛い痛い痛い痛いよー。そんな目で見ないで、何もしないから。疚しい事とか一切ないし、大丈夫だから。
「ご飯、一緒に食べよう」
よもぎは優しく微笑む。
やめてよ。巻き込まないでよ。お願い許して。この状況だけはだめ。こういうの苦手なの。助けて神様。
「やだよ」その声に反応したのか、クラスの男子が睨んできた。
「ーーいや行きましょうか」
マジなんなんだよ。仲良くしてるとムカつくけど、断るのはもっと許さないみたいな事ですか? なんかわかる気もするですけど、一応男なんで。
「うん! 行くの」
すぐにここを離れる必要がある。俺のメンタルがソレータムしそうだ。意味がわからないって? 俺もだぜ!
「早く! 置いてくぞ!」
ぎんはもう教室の外にいる。
「今行くから待つの!」ぎんに向かって言う。
「ーーみんなまた後でなの」クラスの女子に可愛く手を振る。
なんなのそれ可愛い。おっと見惚れてる場合じゃなかった。やっと戦場から抜け出せた。もう二度と戻りたくない。今は考えるのを止めよう。これ以上考えたら鬱になる。
二人で歩いて屋上に向かう途中で、なずなを見かけたのでぎんが声をかけた。
「おう、なずなじゃんか。何してんだ?」
艶やかな黒髪を靡かせながら振り返った。
「あっ、ぎんとよもぎちゃん。ちょっと先生探してるの」
「なずな。それは重要な任務ですか?」
よもぎが食いついた。
「いや、そこまでじゃないけど」
「そうですか。健闘を祈ります!」
何故に敬礼なのかはスルーで、今日はなんか疲れたんで。
「ありがとね、それじゃ私行くから」
「またな」
「ばいばーい」
なずなはスタスタと歩いて行ってしまった。
少しして、屋上についた。他に人はいない、貸切だ。やっぱり屋上は眺めがいい。なんか人間がゴミのように見える。悪くない。そう思いながら並んで座った。距離は間に人一人入れるぐらい。
ぎんが黙々とご飯を食べていると、よもぎが口を開いた。
「ぎょうどっごもぐ、いきもぐ、ますもぐもぐ」
またハムスターみたいに口にいっぱい入れてんのかよ。なんなんだこいつ。もうなんだかなーって感じだよ。
「何言ってんだよ。飲み込んでから喋れよ」
よもぎがもぐもぐと一生懸命噛む。食べ終わってお茶を飲んだ後、口を開いた。
「ーーうんとね、今日どこ行くかって話しなの」
そんな事昨日言っちゃったんだよな。めんどくさいな。帰って『モンゴリアン先生に恋しよう』の続き読みたいのに、……まぁ約束は守るよ。約束を守れない奴はクズだっ。
「それかー。金が無いから、金を使わない所な」
「うーん。じゃあ公園!」
公園か、そういえば全然行かなくなったな。前はよく行ってたのに、いつから行かなくなったんだろう……多分中学生くらいだな。小学生の頃はあそこが神の領域かと思えたくらいなのに。人って変わるんだよな。
「別にいいけど、そんな所でいいのか?」
「お兄ちゃんと一緒ならどこでもいいの」
だからあざといんだよ。よく恥ずかしがらずに言えるもんだな。そこだけは尊敬するよ。
「はいはい。もうそろそろ戻るぞ」
「了解であります!」
何そのポーズと顔。いちいち可愛いな、とか思う俺はもう洗脳されてるんだろうな。はぁ……。
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