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よもぎ。黒田、瀧崎との出会い



 時は遡り日曜日。秋葉原。早々にぎんとはぐれたよもぎは、軽く買い物をした後に一人メイド喫茶を満喫していた。


「おいしくな~れ」


「「萌え萌え。キューン!」」


「ありがとうなの。すごく美味しそう」


「では、お嬢様。ごゆっくり」


「はーい」


 メイドさんは美味しくなる呪文をかけ終え、他のお客様の元へ。

 よもぎの前にはケチャップでハートが描かれたオムライスがある。それを黙々と食べ始めた。


 やっぱり秋葉に来たらメイド喫茶は抑えておかないといけないのじゃ。あのヒラヒラのメイド服激萌えなのじゃ。スカートも短くてニーハイとの相性も抜群。今にもパンツが見えそうで見えない。

 ーー見たいのじゃ。


 欲望のままにメイドさんのスカートをガン見していると、店の扉が開く。


「「「いらっしゃいませご主人様」」」


 また新たな仲間が加わったみたいだのう。次は二人の若者か、数ある中からこのメイド喫茶を選ぶとは、若いのに中々見所があるのじゃ。まぁ、よもぎは今日初めて来たんだけどのう。ーーあれ?


 オムライスを食べていた手が止まり、呟く。


「ーーお兄ちゃんなの」


 なんでこんな所にお兄ちゃんがいるのじゃ。それに隣にいる黒コートの男は誰なんじゃ?

 これはこれで面白そうだから監視するのじゃ。


 それにしても、あの黒コートの男は堂々としているのう。それに比べて、お兄ちゃんはだらしないのじゃ。もっとメイドを食い入るように見ないともったいないのじゃ。


 よもぎは黒髪ポニーテールのメイドさんを食い入るように見る。そのメイドさんがぎん達の元へと注文に向かった。

 笑顔で注文を取っていたはずのメイドさんが焦り始めた。


 おや、何かもめているみたいだのう。もしかしてお兄ちゃん。ついにやってしまったのか? メイドさんがいくら可愛いからってお触りは厳禁に決まってるのじゃ。そんなの誰でも知っている常識なのじゃ。

 ーーよもぎの妄想はこの辺にして、何か話してるみたいだのう。もしかして知り合いなのか? あんな可愛いメイドさんが知り合いだったなんて、お兄ちゃんも隅の置けないのう。


 それにしても、あのメイドどこかで見た覚えがあるような……。


 オムライスを食べながら考え込むよもぎに電撃が走る。


「ことねちゃんなの!」


 思わず声に出してしまい口を抑える。


 危ないのじゃ。つい大きな声が出てしまったのじゃ。案の定ぎん達には気づかれてないようで安心したのじゃ。


 それにしても可愛いのじゃ。学校で一目見た時からもしやとは思っておったが、まさかあれ程の原石だったとはのう。いい所に出くわしたものじゃ。これはいずれ役に立つ情報をゲットしちゃったのじゃ。


 今日はこのままあの二人を尾行するのじゃ。


「それにしてもオムライス最高なの。尾行の前にお代わりするのん」


 オムライスを食べ終えスプーンを掲げるよもぎの口にはケチャップがついてた。それを人差し指で取り、パクっと口に入れる。満足そうな表情を浮かべ、更にオムライスを注文するのだった。




ーーーーーーー




 秋葉原の駅前にて、よもぎは満面の笑みを浮かべる。


「大満足なのん」


 まさか秋葉の聖地を巡礼するとは思わなかったのじゃ。あの黒コートの男なかなかやるのじゃ。お陰でこんなに有意義な買い物ができたのじゃ。あんな猛者と友達とはお兄ちゃんは流石なのじゃ。


 この逸材を放って置くわけにはいかない。同じ高校とも言っておったし、これはまた楽しみが増えたのじゃ。


 それにしても悪い事をしたのじゃ。よもぎの事を探してくれているのを知っていながら尾行をするなんて……よもぎは最低なのじゃ。

 まぁ、あまり気にしないのじゃ。今日は帰ったらオールナイトでフィーバーなのじゃ。


 ぎん達を尾行していたらあっという間に日が暮れていた。ぎんと黒コートの男は駅前で少し会話をした後に別れた。


 袋を両手いっぱいにぶら下げているよもぎは呟く。


「ーーもう帰りたいから、お兄ちゃんに声でもかけるのん」


 そう言って、一人になったぎんの元へと向かうのだった。


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