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黒田を勧誘



 二年の渡り廊下にて、休み時間も残り僅か。黒田の前に真っ白な妖精が立ちはだかる。


 黒田は片目を隠し厨二病全開のポーズを取ると口を開く。


「我になにか用か?」


「そうなの。部活の勧誘に来たの」


「ふっ、何を馬鹿な事を、我は既に入る部活を決めている」


「そんな事はわかっているの。よもぎは全てを知っている」


 鼻で笑う黒田によもぎは神妙な面持ちで答えた。すると黒田は慌てて、


「き、貴様。その力は、ーーまさか! そんなはずはない!」


 よもぎの神々しいオーラに大袈裟に後ずさる黒田。


「よく気づいたのん。よもぎは大天使ミカエルの生まれ変わり。そう、貴方の天敵だった者」


 取り乱した黒田にビシッと人差し指を向ける。


 ひひひ、まぁよもぎは神だけどミカエルとかこれっぽっちも関係ないのじゃ。あいつとは相性悪かったのじゃ。


「やはりそうか、なおさら貴様の部活に入るわけにはいかない」


 きっぱりと断る黒田に、天使のような暖かい声で、


「それは違うの。昔のことをいつまでも引きずっていたら本当の高みには辿り着けないの」


「そんなことは、ーーないはずだ」


「いや、あるの。よもぎを信じて欲しいの!」


「無理だ。我には出来ぬ」


 よもぎは力強く説得をするも黒田は首を縦には振らない。それでも諦めないよもぎは、


「できるの。部活の勧誘に来たと言ったけど、もう貴方は入ると言っていたの」


「馬鹿な。そんなことは言っていない」


「言っていたの。なぜならその部活の名前は、ーー遊部」


 よもぎの溜めて放った言葉に黒田は動揺する。


「なななななななななななななななんだって、それはシルバが言っていた部活だ。なぜそのことを貴様が知っている」


「その部活の部長がよもぎだからなの」


「ーー馬鹿な……そんな馬鹿げた話があるのか……」


 額を押さえ俯く黒田に、よもぎは力強く、


「ーー貴方は入るしかないの」


 その言葉で、黒田のさっきまでの敵意が削がれていく。


「くっ、……仕方がないか。あのシルバ程の者を従える手腕。我も少し興味が湧いた。一時休戦としよう。貴様のお遊びに付き合ってやる」


「ありがとうなの。それじゃあ、よろしくなの」


「ああ、こちらこそ宜しく頼む」


 こうして無事に新たな同盟が結ばれたのだった。



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