↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/57

また月曜日


「なんでも言うこと聞くから、あのことだけは秘密にしておいて」


「な、なんでもって……」


 必死に訴えかけている瀧崎さんは昨日とは違いスカートは長めで、ポニーテイルでもない。肩くらいまである黒髪は癖があり、前髪は長がく目が見えないほど。いつも通りの暗さだ。

 昨日メイド喫茶にてまさかの遭遇。メイドさんの彼女は今と違って可愛く、何より笑顔で明るかった。

 その彼女と俺が屋上に居るのは、学校に着いて早々、瀧崎さんにここまで連れてこられたからである。

 そして気になる女性からのさっきの言葉。動揺せずにはいられない。あんなことやこんなことを考えてしまう。えへへ。


「私にできることならなんでもする。だからお願い。言わないで」


 こんな必死に大声を出す瀧崎さんは初めてだ。そんなに知られたくないと言っているのだから、俺の答えは一つしかない。


「大丈夫だよ。言わないって」


「本当に?」


 風で前髪が揺れ、潤んだ大きな瞳が俺を見つめる。その小動物の様な姿に俺の胸は高鳴る。


「ほんとだって」


 瀧崎さんは胸に手を当て、ため息を吐くとこわばっていた表情は一転して穏やかな表情になった。


「……よかった。浅井君ありがとう」


「いいって。そもそも言う気なんて最初っからなかったし」


「そっか、なんかごめんね。急にこんな所に連れてきて」


 申し訳なさそうに頭を下げる瀧崎さんに優しく声をかけた。


「気にしないでよ。それじゃ、戻ろう」


「うん」


 それにしてもラッキーだな。普通に話せるようになったし、なんでもするって言ってくれたし、俺にも春がきたってことだな。むふふふふははははははははっ。



ーーーーーーーーー



 昼休みになり、まさと一緒に学食を食べる予定が、ある人物の連絡によりなしになった。

 連絡内容は、『屋上に来い。我と一緒に、この世界を滅ぼす為の力を蓄えようではないか』だった。普通なら無視するんだが、昨日の礼もあるから仕方なく屋上に向かうことにした。

 

「あれ? 誰もいないのか」


 屋上に人影がなく呟いていると、後ろから笑い声が聞こえる。


「ははははははははっ! よく来たな。我が友よ」


 声の方の高台を見るが、逆光であんまり見えない。だけどあの馬鹿笑いはあいつしかいない。黒田白斗(くろだはくと)


「早く降りてこい。黒田」


「その名前で呼ぶな! 我が名は堕天使カルストファーだああああッ!」


 名前を叫びながら飛び降りた後に、足がしびれたのか尻もちをついた。


 黒田は高身長痩せ型。黒髪は長めで、両手には包帯を巻いており制服やたらと破れている。顔は普通。


 ぎんは呆れた顔で言う。


「なにしてんだよ。もう帰ってもいいか?」


「待て。もう少しで、立ち上がれる」


 ゆっくりと立ち上がろうとする黒田に向かって、俺は顔を顰めた。


「それで、なんか用か」


「用なら、さっき送ったはずだが」


「それじゃ、今から力を蓄えるってわけか」


「如何にも」


「わかった。それじゃ、頑張れよ」


 意味が分からないので、帰ることにした俺は踵を返した。そこに叫び声が響く。


「待てーい! なぜそう死に急ぐ」


「別に死に急いでないけど」


 黒田の発言に呆れた顔で返事をする。


「まぁ、座れ。ここで一緒に供物を食そうではないか」


 そう言ってフェンス越しに腰を下した。


「一緒に弁当を食うってことでいいのか?」


「ちっがぁぁぁぁう! そんな人間のようなことを我がするわけがない」


 張り上げた声が屋上から響き渡る。すごいうるさい。


「そうかそうか。悪いけど、俺は飯持ってきてないんだ。それじゃ」


 軽く手を上げ踵を返そうとすると、それを止める大声。


「まってーーーい! そんなことは気にするな。供物ならある。受け取れ」


 袋から取り出したモノを投げてきたので、キャッチし、見てみると。


「おっと。なんだこれ? ダークメロンパン」


 袋にダークメロンパンと書いてあったそれは、黒いメロンパンだった。


「そうだ。ダークメロンパンは我らの力を高めてくれる唯一の食だ」


 黒田はキリッと鋭い眼光で誇らしげに言う。


「へー。ありがたく貰っておくわ」


 せっかくだから貰っておく。興味もあるし、どんな味がするんだろう。


「さー。一緒に食そうではないか」


「そうだな。いただきます」


 袋からダークメロンパンを取出し一口。


「--うっま! なにこれ、中にチョコレートが入ってるじゃん」


 今まで食べたメロンパンの中で断トツに美味しかった。中に入っている。チョコレートクリームは甘く、外のサクサクの生地は甘さ控えめで、至極の一品と言ってもいいだろう。


「それはチョコレートなどではない。悪魔の血だ」


 この馬鹿のせいで少しまずくなった。


「はいはい。そんで、本題を話せよ」


 ここに呼んだのにはなんらかの理由があると俺は考えている。


「……本題とは、面白い事を言うのだな」


 ダークメロンパンを頬張りながら、邪悪な笑みを浮かべる。


「別に面白くないわ。なんでここに呼んだのか早く話せ」


「もう今しているだろう」


 こいつは何を言っているんだ……。


「まさか、ただ一緒に飯を食いたかっただけか」


「如何にも」


 コクリと大きく頷く馬鹿。


「なら、最初からそう言えよ」


「最初から、言っていたが」


 黒田のとぼけた顔を見ていると呆れざる終えなかった。俺は額を押え、俯くとため息を吐いた。


「……そうだな」


「明日からも一緒に力を蓄えようぞ」


「絶対嫌だね」


 即答した後に逃げようと思ったら、黒田がゾンビのようにしがみついてきた。それをどうにか引きはがして逃げ出した。

 それにしてもダークメロンパンうまいな。今度どこに売ってるのかだけ、聞くとするか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。