仏壇の座布団
仏壇の線香が
今日はやけに
風に運ばれる
廊下で一回転した
煙の先に
大切にしていた木々が
夏の真緑を
空に届けていた
あゝ
来ているのだな
あゝ
夕飯は良い物に
あゝ
もう少しだけ見て
あゝ
自分の時間に帰ろう
朝から始まる
息を吸えない
形を抱いて
行動しては
伸び立つ日の無い
ずんぐりむっくりの
時間に
今日は
早く帰ろうと思う
あゝ
風呂に入れば
あゝ
入浴剤の匂いを
あゝ
上司に呼ばれても
あゝ
自分の時間に帰ろう
休みの日の
家族サービスは
自らの
日頃足りない部分を
補うという意味
仕事が理由になる事を
数上げれば
補うという意味の
サービスがあっても良い
あゝ
今日はこればかり
あゝ
いつの間にか
あゝ
そんな設定思い付くのか
あゝ
自分の時間にしよう
夏の日差しに
砕ける日があっても
冬の寒さに
怖気付く日があっても
目の前の何かを
見ている物だ
自分の親が
器用かどうかは
見てれば分かる
分かった上で
言葉を選ぶしか無い
あゝ
あの頃は
あゝ
勝てないと思ってた
あゝ
親も人の子だった
あゝ
自分の時間に帰ろう
考えるには早過ぎて
思った時には遅いのだ
仏壇の線香に
火を付けるのは
誰がどうとか
思いながらする物でも無い
何と無く
網戸越しに
入道雲と夏空を見て
煙が部屋の中を
ゆっくり流れる
あゝ
手を合わせるのは
あゝ
死人を利用して
あゝ
自らの心を落ち着ける為か
あゝ
自分の時間に帰ろう
あゝ
心配する事なく
あゝ
自分の時間に帰ろう