元凶を倒す訳
馬車で移動すること数時間、俺はドワーフの国が見える位置まで来た。
国の中では、今にも消えそうな気配が多数存在している、これは少し急がなくちゃな。
走って中に入る事も可能だが、ここは俺の体の性能を確かめたい、いやまぁ、そんな悠長にしている暇は無いが、自分の持っている能力を確認するのも大切な事だからな。
確か女神様から吸血鬼の種族になったはずだ、確か吸血鬼には羽があったはずだ。
俺は元々鴉天狗という種族も持っているが、俺には翼は無い、それで少々劣等種扱いされた思い出があるが、まぁ、今はいいだろう。
だが、出し方が分からないので、適当に翼、出ろ!と念じていると。
俺の服に穴を開け、一対の翼が出てきた、この服気に入っていたのに……。
確か、吸血鬼の翼は蝙蝠の羽だった気がするので、確認してみると、そこには俺の元々の種族の鴉天狗の翼があった、なぜ?
このことに混乱しつつも、先に人命を救う方がいいと思い、飛ぶ、あ、結構簡単に飛べるなぁ。
ドワーフの国に侵入して、気配を感じる方へ飛んでいくと、そこにはでかい影が見えた。
その影とは、沢山の人が積まれている、人の山があった、中には死んでいる奴もいれば、生きている人もいる。
しかし、死んだ奴は大きく見積もっても、数時間しか経っていない、これなら俺の能力で治せる。
俺の能力の一つ、理想を現実にする、これこそが、俺の保有する能力で、最強の力だ。
その効果は文字通り、俺の理想を現実にするするという効果、俺の理想を現実にする、つまりは何でも俺の好き勝手にできるということだ。
例えば、俺が、この人達を全て治したいと思えば、例えそれが死亡しているとしても、死亡するという因果を逆転して生き返る、だがまぁ強い力には必ず制限が来る、俺の場合だとこの能力は一日に三回しか使えない、他には死んだ人を生き返らせるのに
は、死んでから二十四時間以内に生き返らせなければならない、とかな。
ここにある死体は見たところ全て過労死……なぜこんなになるまで動いていたかは分からないが、まぁ生き返らすのには問題ない。
「リザレクション」
その言葉を発した瞬間に、山になってる人たちに淡い光がともる、まぁ、別にリザレクションなんて言葉を言わなくてもいいが、俺がやったゲームで、死んだ仲間を蘇らせる時に使っていた言葉をパクッ、ゴホン、リスペクトしている。
まず、疲れきった体を癒し、その次に死んだ者には元の魂を呼び寄せる、そしてその魂を定着させる。
まだ、辛うじて生きているものは、同じように体を癒し、崩壊している精神を元に戻す、これでこの国の住民は、一時間くらいで元に戻るはずだ。
これで仕事は半分は終わり、後はこの住民達が何故このようになってしまった原因を探して、潰すだけで任務完了だ、元々の目的は武器を見るためだが、このような状況じゃ無理だろう、無念。
まずは原因を探すため、辺りを散策していると、両腕が折れ、体にべっとりと血が付着している銀髪の美少女を見つけた。
その少女は涙を目尻に浮かべ、こちらの方へ走ってくる、その様子は何かを探している様にも見えた。
多分この少女は自分達を助けてくれる存在を探していたのだろう、自分がそんな大怪我をしているのにも関わらず。
俺は直ぐに少女の側に寄り、能力を発動する、その瞬間に少女の怪我は治ったが、突然怪我が治ったからか困惑しているが、直ぐにさっきの状態に戻った。
「……君を、そんな風にした連中はどこにいる?」
なるべく怖がらせないように、優しい声で言う。
「あの…木の上に………いる…」
少女が指を指した先には、一つの巨大な樹木があった、あれがギルド長が言っていた、突然生えた木か、結構でかいな。
さて、少女は俺の問いに答え、自分の役目を果たした、だったら俺もすることは一つ、自分の役目を果たす。
俺は少女の頭に手をポンと置き、安心させるように言う。
「ありがとう、これで俺のするべき事が決まった、俺は今からその連中を切ってくる、君はあの人が積まれていた場所にいくといい」
少女は少し寂しそうな顔をする、おっと、少し勘違いさせてしまったか?
「安心してくれ、その人たちは既に全員治してある、まだ目覚める者は居ないと思うが、全員完治しているから、その人たちを介抱してやってくれ、目覚めたとき、人の山の中に居ると、ビックリするだろうからなね」
「あの……どうしてそこまでしてくれるんですか……」
何故こんなことをするか、本来はこの国の調査だけだ、別に元凶をぶっ飛ばしに行く必要はない、しかし。
「君がそんなに重症になってまで探していたのは、この状況を何とかしてくれる人だよな?」
少女は首を縦に振る。
「俺はその状況を何とかすることが出来る、だが、これは俺が善人という訳ではない、俺は人を切ることもある、しかし、俺は決して関係の無い人達を傷つける者は許せない、だが、それも少し前に破ってしまったがね」
少女は俺の話を真剣に聞いてくれている。
「感情に流されて、関係の無い人達まで切ってしまった、もう、その罪は元には戻せないが、今ある人達を救うことは出来る」
「だから安心して待っていてくれ、少ししたら全て終わらせて見せるから!」
その言葉を言い、巨大な木に行こうとすると、少女に手を掴まれる、うん?なんだ?
「あの……私には詳しくは分からないけど……貴方が私達を助けてくれる優しい人ということは分かります」
「いや、優しい人じゃないよ?俺は、少し前にやってはいけない事をしてしまったからな」
「それでも!……私達に救いの手を出してくれた、優しい人です、……あまり……自分を卑下にしない方がいいと思います」
「……そう言われると、そう思いたくなってくるよ、ありがとう」
気持ちが軽くような感じがした、少女のお陰だろう、とてもありがたい。
「私には……応援することしか出来なので、……貴方が勝つことを願っています」
「ありがとう、これで、負けるわけにはいかない理由ができた」
俺は巨大な木の方へ向き、出発する前に、少女に言う。
「それじゃあ、行ってくるよ」
「はい……いってらっしゃい」
俺は巨大な木の方へ走り出す、元凶を切るために。




