温な訳
俺はメヌにベリアルの場所を聞く、ここから案外近かったようだ。
しかし、この場所は……。
『どうしたの?和馬、この場所に心当たりあるの?』
『うん、ある、しかもそいつは俺が知っているなかで一番強い、一対一だったら俺も負けると思う』
『そんなに強いの?』
『いや、相性が悪い、俺は集団戦を得意としているんだが、あいつは、個人戦特化って感じなんだ、俺は集団戦、個人戦どっちもいけるが、さすがに特化している相手と戦うのは辛い、ということだ』
『なるほどね?、でもそんな人がこの世界にいたんだねぇ、全然知らなかったよ』
『あいつは、全然外に出ないからな、おっともうすぐ着くぞ』
着いた場所は小さな道場、看板には達筆に天然理心流と書いてある、うん、いつ見ても素晴らしい字だ。
その瞬間に道場の戸が開いた、いきなり仕掛けて来ないとは、あいつらしい。
「やあ、よく来たね和馬、そして可愛いお嬢さんも」
「よぉ、久しぶりだな蒼華」
『え?和馬あの日と誰?、しれっと私の存在にも気付いているし』
『あいつは、新撰組一番隊隊長、沖田総司の子孫の沖田蒼華、俺の親友だ』
『えぇ、なんでこんなところにそんな偉人の子孫がいるの?』
「ふふっ、まぁ、立ち話もなんだし、中に入りなよ」
「おう、邪魔するぜ」
『えぇ!和馬良いの?、そんな簡単に中に入って』
『え?、入れって言われたから入るんだよ、それにあいつは不意討ちとか嫌いだから、戦うときは正々堂々とやる奴だ、安心しろ』
『そうなの?それなら良いけど』
カコンッと良い音が、この部屋に響く、風流ですなぁ。
「粗茶だけど、いる?」
「おう、ありがとな」
俺はお茶を貰い、飲み干す、ふぅ、ここのお茶は旨い。
「よし、単刀直入に聞くぞ、お前はベリアルに取り憑かれているのか?」
「そうだね、そのベリアルかどうかは知らないけれど、たまに意識を乗っ取られるね」
「お前でもやられたのか?」
「和馬は知ってるでしょ?、僕が集団戦を苦手としているのを、なんとか数千体は倒したんだけれどそこで力尽きてね、今はこの状況さ」
「なるほどな、それで?、お前はどうしたい?、そいつを八つ裂きにしたいか?、それともここで諦めるか?」
「そうだねぇ、和馬がいなくなってから、こんな世界どうでも良いいと思っていたし、別に今もどうでもいいけれど、まぁ、寄生されるのも癪だしいいよ、和馬を手伝ってあげる、それに断ってもどうせ君は僕を助けるだろうしね」
「おー、よくわかってんな」
昔からそうだけど、こいつ俺の事好きすぎないか?、男なのに。
「でもね、和馬、僕は君を手伝いたいけれど、ちょっと難しいんだ、実はもう体の制御が出来なくなってきている、戦えても、後一回くらいしか持たないと思う」
「そんなに酷いのか?」
「うん、それとそのベリアルだっけ?、そいつに僕の命が吸われている、僕は病気で体は元々強くないから、寿命がどんどん削れていってる」
そこまでひどいとは……だが、俺の能力があれば……
「和馬は優しいからね、多分能力を使おうとしているんだろう、でも、和馬が治すと、僕の病気まで治ってしまう、それは嫌だ、僕のこの病気は一族の絆だ、例え病気という形でも僕はこの絆を持っていたい、でも、君はそれを望まないんだろうね」
「俺の事をよく知ってるお前だったら分かるだろ?、このあと俺がどうするかを」
「ふふっ、分かっているとも、君は折れない、どんな目になっても、君は進み続ける、自分の理想へとね、だから和馬、勝負をしよう、僕と君がいつもしてきたように」
「だが、お前の体は……」
「舐めて貰っては困るよ、例え僕がどんな状態だとしても、君との戦いは真剣勝負、必ず最後まで戦い通してみせる」
「そっか、確かに、お前はいつもそうだもんな、よし、分かった、それでいつにする?俺は今からでも構わんが」
「うん、流石に今からじゃ厳しいから、三日後にしよう、それで、ルールは僕が決めていいかな?」
「いいぜ、それじゃあ三日間世話になるぞ」
「うん、部屋は余っているから、好きに使っていいよ、それじゃあ僕はここで、それじゃあね」
そう言うと、蒼華は奥の方に行ってしまった、さて、これからどうするか」
『敵に時間を作っちゃっていいの?』
突然、メヌが話しかけてくる、今まで空気を読んで黙っていたようだ。
『いや、あいつは敵じゃない、勘違いすんなよ、これは勝負だ、殺し合じゃない』
『なるほどな、でも、和馬よりも強いんでしょ?どう戦うの?』
『まぁ、戦い方を変えればなんとかなるさ、なんとかな?』




