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親父へ

作者: 呑竜
掲載日:2016/02/02

親父へ。

俺はあんたが嫌いでした。

家の中でほしいままに振る舞うあんたが嫌いでした。

居丈高で、事あるごとに拳骨を振り上げて。

大きな声で恫喝して。


親父へ。

お袋に姉貴。みんながみんな、あんたの存在に怯えてました。

あんたがいるだけで、家の空気が変わりました。

俺はさ、あんたがいなければいいなと、そんなことすら思ってました。


親父へ。

変化のきっかけは、加齢によるものでした。

高校を経て大学に入って。

社会人になってからは加速度的に強くなった。

自分で自分の面倒見なければならない。

妻が出来れば妻を。子供が出来れば子供を。

しがらみとともに重荷が増えた。

疲れが肩にのしかかった。

反比例するように、あんたへの感謝が増えた。


親父へ。

あんたがどんな気持ちで俺を育てていたのか。

あんたがどんな覚悟で俺たちを支えていたのか。

自分がいなくなればそれでおしまい。

自分が倒れれば、こいつらは路頭に迷う。

プレッシャーを背負いながら過ごした日々。

誰にも頼れない。誰にも泣きつけない毎日。

その重みはいかばかりか。


親父へ。

今、あんたを失って思います。

親父へ。

今、ひしひしと感じてます。

親父へ。

あんたが背負ってくれてたものを、これからは俺が背負います。

親父へ。

俺にはそいつは、荷が重いよ──。


なあ、親父よ。

今だからこそ思います。

今だからこそ、言えるんです。

俺は、あんたのおかげで生きてます、

俺たちは、あんたのおかげで生きてます。

あんたのおかげで、こんなに大きくなって──。

だから、なんちゅうか、恥ずかしいんだけどさ。

本当に、ありがとうございましたって、言わせて下さいよ。

な?

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