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出会い。そして、恋に落ちる。

私は聴者であり、ろう者ではありません。ろう者とは手話を第一言語とする人という認識で私は書いております。ろう文化について調べながら書いていく予定ですが間違いなどがあれば指摘、ご指導お願い致します。聴者の視点でのろう者へのきつい表現が含まれる場合もあります。聴者のろう者への正確な理解を恋愛という形で伝えることができたらと書かせていただきました。読んでいただけたならば幸いと思います


小学4年生の春、僕は恋に落ちた

出会いは醜く色恋沙汰とは無縁だった


小学4年生4月

隣のクラスの女の子が所謂目立つ男子グループにいじめられているところを目撃した

僕は目立つ方でも地味な方でもなくそこそこ友達がいる程度の人間だった

ここで関われば自分がいじめられるかもしれないと、自分は何もみていないとでもいうように顔を背け歩く速度を上げてその場を離れた

後に友人に聞くと、目立つ男子グループのリーダーのような存在に話しかけられ無視をしたことが原因らしい

どうして無視をしたのだろう?馬鹿だなあ。くらいにしかこの時は思わなかった

一度知ってしまうと隣のクラスとはいえよくいじめに気づくようになった


4月半ばになり、上履きをゴミ箱から取り出している女の子に後ろからなんとなく聞いてみた

「どうしてなにも言わないの?」

いじめられている女の子はなにをされても言われてもなにも言わず涙を流すこともなくただぼんやりと受け入れていた

苦しくないのかな?辛くないのかな?どうして先生に言わないの?色々な疑問をぶつけたかった

女の子は僕になんの興味をみせず僕に気づいていないように去っていってしまった

僕は本当に腹が立った。いじめられて当然だと思った。あんな無愛想な女の子なんてもう知らない。


イライラが収まらないまま放課後を迎え足早に帰宅した

「おかえりなさい」

おばあちゃんが一緒に出かけないかと声をかけてきた

「パフェが食べたい」

僕は腹が立つと甘いものをいっぱい食べたくなるのだ

おばあちゃんと一緒に大きなショッピングモールにやってきた

チョコパフェを食べおばあちゃんの杖を買い家に帰ろうとショッピングモールからでようとエレベーターの前に来たときにベンチに女の子とお母さんらしき人がいた

女の子は笑顔で必死に手を動かしお母さんらしき人も手を動かしてなにかしていた

いつも無愛想でなにも話さず、僕の知っている範囲で声を聞いたことがある人がいない女の子が笑顔でいることに驚いた

エレベーターが来ておばあちゃんが呆然としていた僕の手を引いて乗り込む

「あれは手話といってね。耳の聞こえない人が使うコミュニケーション手段なんだよ」

おばあちゃんは僕がみていたのに気づいていたようで教えてくれた


手話、耳が聞こえない、無視したのはわざとではなくただ聞こえなかったのだと理解した

なにも知らずに腹を立てていた自分に腹が立った

あんなに可愛く笑う女の子を苦しませている男子どもに腹が立った

返事ができないことは仕方ないことだったんじゃないか!

とてもとても腹が立った

でもそれ以上に、苛立ちをはるかに上回る高揚感が僕を埋め尽くしていた

ずっと女の子の笑顔が頭に焼き付いて離れない

顔が熱い

胸が苦しい

なんなんだろうこれは?

もしかしたらこの気持ちは

いや、もしかしたらではない

そうか、これがー恋なんだ

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