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3(終


「先生、もうちょっと待っててくださいねー」

 風呂の外から織姫の声がする。

 本気だった。

 強引に服を脱がされ風呂に放り込まれた彦星は、織姫の準備……要するに脱衣を待っていた。いや、確かに見た目は子供だが―――中身は大人なのだ、さすがにこれはまずいだろう? と彦星は一応、そう言ったのだが、何故か織姫は「私は気にしませんから」と笑顔で答えただけだった。

 そして、今に至るわけである。

「すいません、お待たせしちゃいました」

 織姫が入ってくる。

 思わずギクっと肩を震わせてしまった。

 まあどうせタンクトップに短パンとか、そういうオチなんだろう。そう思いながら振り向くと、そこには、バスタオル一枚を巻いただけの織姫がいた。いつも服の上からしか見たことがなかったし、それでも彼女のその大きな胸は、思春期の男子生徒には刺激が強すぎるだろう代物だった。それがバスタオル一枚しか包むものがない今は、それ以上に大きく刺激的にそこに存在していた。

「はい。先生、まずは頭を洗いますね? 背中向けてください」

 織姫が、かがむ。

 豊満な胸が彦星の目の前で揺れる。

「あれ? どうかしましたか?」

「ばっ……馬鹿野郎、無防備すぎんだろっ! っつーか、もう少し考えろっ!」

「あれ? 先生、照れてるんですかー? かわいいですね」

 うふふ、と笑いながら、織姫がくるっと彦星の体を反転させる。

 そうじゃない、そういうことじゃない。言いたかったが、もう、声も出なかった。

 そうして彦星は、織姫に頭を洗ってもらった。だが洗うたびに背中に柔らかなものが当たるし、もう、風呂に浸かる前からのぼせてしまいそうだ。

「先生、髪の毛硬いですね。ちゃんとお手入れしてますか?」

「してねえよ、なんで男がそんなもんしなきゃなんねーんだよ」

「今は男の人でもお化粧する時代ですよ?」

「俺が化粧しても気味が悪いだけだろうがよ」

「あはは、それもそうですね」

 織姫はくすくす笑う。

「じゃあ、流しますねー」

 シャンプーをすすぎ、ようやく髪を洗い終わった。

「じゃあ背中を」

「体ぐらい自分で洗えるっ」

「また照れちゃってー」

 織姫はうふふと笑い、スポンジにボディーソープを含ませて泡立てはじめる。

 なんだかいかがわしい店みたいだな、と彦星は思う。だが織姫本人にそのつもりはないのだろう―――なにせ彼女にとって相手は子供なのだから。

 結局そのまま背中を洗ってもらい、その後、拒否するのも聞き入れてもらえずに正面まで洗われてしまった。さすがに大事な部分は自分で洗ったものの、もう、色々と耐えがたいものがある。

 というか、子供という認識しかないのなら、なにをしても怒らないのだろうか。

 彦星はそう思い、彼女に向き直った。

 織姫はきょとんとしている。

「なあ。じゃあ今度は俺が洗ってやるよ、覚悟しな」

「へ……か、覚悟って」

 彦星は素早い動きで織姫からスポンジを奪う・そして腕を伸ばし―――彼女の大きな胸に触れた。タオル越しだがその柔らかさは十分に伝わってくる。彼女の体温が急上昇していくのも、わかる。

「あ、あの。あのあのっ」

「俺は子供なんだから恥ずかしがることなんて―――」

 と。言いかけた時。

 体が燃えるように内から熱くなり始めた。それはけして興奮しているからだとか、そんなことではない。そう、細胞が急激に変化しようとしている、そんな感覚……と、その熱がピークに達した頃、彦星の体は、すっかりまた元の大人に戻っていた。

「も、戻ったっ? 戻ったっ」

「せ、先生っ」

 織姫が悲鳴を上げる。

 そこで彦星はようやく気が付いた。大人に戻った自分がまだ彼女の胸に触れていることと、腰に巻いていたタオルが外れていることに。が、そんなことは気にすることではない。彦星はガッツポーズをして立ち上がり、大急ぎで風呂場を飛び出した。そして自分が着ていた服を洗濯機から取り出し、さっさと着替えを済ませて脱衣所を飛び出した。

「よっしゃあああああああああああああ!」

「あ、あの先生っ」

「悪いな、もうアンタの世話になることなんざ金輪際ないだろうよ! オムライスは美味かったぜ!」

 彦星は大喜びで、家を飛び出した。

 織姫は呆然と立ち尽くす。




 それから三十分後―――ダボダボの服を引きずって、再び彦星が戻って来た。

 その表情は暗く、怒りも滲んでいる。

「ど、どうなさったんですか先生っ」

 とりあえず彦星を抱っこして家に入れ、ベッドに座らせた。

 彦星は低く暗い声で一言「元に戻った……」と呟いた。かと思うと彼はポケットから携帯電話を取り出し、どこかに電話をかけ始めた。

「大空!てめぇどういうことだ! 元に戻ったと思ったら、また子供に戻っちまったじゃねえかよっ! はっ? ば、馬鹿野郎! 俺は別にそういうつもりで触ったわけじゃ! はあっ? どういうことだよっ? じゃあもとに戻るには……どっか触らなきゃならねえってのかよっ? って、ふざけんな! そりゃただの変態じゃねえかっ! って、おい、こら待て! おいいいいいいっ」

「あ。あの。どうしました?」

「……切りやがった」

「なんとおっしゃってたんですか?」

「……女の体のどっか触ったら大人に戻れるが、その効果はランダムなんだとよ。だから一定時間経過したらまた子供に戻っちまうんだとよ! っつーかどういう仕組みなんだよっ?」

 彦星は絶望に打ちひしがれながらその場に崩れ、絶叫した。

 そうして彦星は結局この先もしばらく織姫の家で世話になることになるのだが……やがて彼は織姫と学校一の美女でローカルアイドルなクラス委員長との板挟みになるのだが、それはまた別の話。




 続……かない。





終わり。

なんとなく暇つぶしに考えて書きだしたので文章もめちゃくちゃだし、もうこれ以上は続かないです。

本当はローカルアイドルな可愛い委員長が出てきて三角関係とか考えてみたんだけど、それはまた、いつかの話で……うん……;


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