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 ダダダダダダ...




 バタン、ガシャン、




 ゴツッ……





 ガン、ガン、ガン、




「おい! おい! マルシェ! マルシェ=マコルフィー!!」


 うるさい奴が来た。


 俺はまだ眠たかった。他人に起こされるのは、大の苦手だ。

 擦り切れた布を体に巻きつけ、うるさい音に顔を顰め、寝返りを打つ。

「マルシェ! おい! 起きろよ!!」

 誰の声だ? 寝起きは頭がどうも冴えない……。

「おい! おい!! マルシェ!」

 あぁ、わかった――うるさい奴だ。

 やれやれと起き上がり、手首と足首に巻きついた鎖を解き、牢獄の入り口まで這う。

 冷たい鉄のパイプに捕まり、体を持ち上げる。

「ああ、何だよ、うるさい。俺は耳まで壊れちゃいねぇぜ」

 俺は金属音を反響させる耳を叩き、唸るように言ってやった。

「……あ……あいつが……!」

 そいつは、息が詰まったような声を出して、俺の体に巻きついたボロきれを引っ張る。

 牢から出られるわけがねぇのに。わけがわからない。

「顔は、どこだ」

 手を伸ばし、そいつの顔に当てた。

 眉間にしわが寄っている。それどころか、顔中歪んでいるじゃないか。

 それに、額が割れている。さっきのうるさい音は、転んだ音だ。

 必死だな。何か急いでいる。

 頬が動いている。口を震わせているな。何が言いたいんだ。

「何だ、どうしたんだよ」

 かなり慌てた様子を感じ取り、俺は眉を顰める。

「あ……アランが……!」

 いつもの威張りくさった声とは違う、引きつった声だ。

 しかも、かなり小さい。俺は耳をすませる。

 必死に声を出そうとしているが、どうやら必死のあまり、喉の奥で詰まっているらしい。

 俺は背中を叩いてやる。そうして、やっと言葉を吐いた。


「……アランの記憶が、消されちまった……!」


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