プロローグ
作者の世界感に、不快に感じられた方は、バックボタンを推奨します。
この作品はフィクションです。
実在する、人物、団体ではございませんので、その部分を考慮いただければ幸いです。
暴力描写などの部分は、全年齢公開となっておりますが、未成年の方におきましては、R15タグはありますので、各々の判断でお進みください。
それでは、お一人様ご案内致します――――
がた…がたがたがたがたがたがたがた………
――戦慄が、体中に走り抜けた。
少年、羽鳥巡は後ろを振り返り、恐怖に声を枯らす。
どんなに、叫んでも。
どれだけ、少年の絶望が木霊しても誰ぞ助ける者は居ない。
其れは、正義の惨殺者。
神に作られぬ聖女さながらの姿で、死神はその追走劇の終幕に口を開いた。
「断罪人形No.2、スピリチュアル」
鈴を鳴らすよな愛らしい声は無感情に名乗る。
後ろから忍び寄った中学生ほどの見た目の少女は、
半ズボンに血のように紅いポンチョを着ていて。
その冴えるような人ならぬ美貌からは、今は底なしの恐怖しか呼び起こさない。
この空間に満ちた殺気の中、動くこともできずに、巡は彼女が目の前に立つのを腰を抜かしたまま凝視していた。
無言で立った彼女は、巡を見下ろす。
終わりの一瞬、巡はその姿を見て息を、止めた。
永遠とも思える間に見つめ合った彼女の。
長い睫毛が縁どった眼は、どこまでも果てしなく死んでいて。
驚くほどに何も、何も、なにも映してやいなかった。
「アナタは、変異しました」
「―――――――――――――――――――――――――――――断罪を執行します」
ああ、その声が。
僕の最期の記憶。
――――――――――――――――――――パアンッ
人でなしの少女は、色を亡くしていく彼の眼を見つめていた。
何も感じず、何も考えず、唯、無造作に。
一つの命の終焉を弔うことさえ、しなかった。
2012,10,10
修正