此処が夢想世界
赤い大きな扉を開けた先には大きな神社が構えていた。
(彩凪)「ここは……?」
(ルイス)「夢想世界の櫻神社という場所だ、さあ中へ。」
7人はルイスの後につづき、社務室へと向かう。
社務室の中へ入ると1人の巫女が待っていた。
(ルイス)「葵結さん、連れてきました。」
(葵結)「ルイス…ご苦労さま。初めまして…櫻神社の巫女をしております、戸鞠 葵結と申します。よろしくお願いいたします。」
丁寧に頭を下げる葵結。
(羽唯)「初めまして、神崎 羽唯です。よろしくお願いします!そしてこの子が、ちゆちゃんです!」
(ちゆ)「ち…ちゆです。よろしくお願いしましゅ……。」
(星瑠)「葩月 星瑠です、よろしくお願いします……!」
続く4人も挨拶をする。
(彩凪)「水瀬彩凪です…!」
(未望)「鈴鹿未望でーす!」
(琴乃)「楠木琴乃です。」
(藍)「尾宮藍です。よろしくお願いします。」
一通り挨拶を済ませた後、
(葵結)「皆さんのことはルイスから聞いています。……とりあえず、この世界……夢想世界について、軽く説明させてください。……この夢想世界は神様と人々の力で創られた世界と言われています。神様が疲れ果てた人々の楽園を築き上げようとしてできたこの世界は…最初こそ平和で穏やかな世界でした。この世界にいる人々はいつも幸せそうで……この世界がずっと続くと誰もがそう思っていました……。しかし、突然その幸せは壊されてしまったんです、禍異―かい―の手によって。」
(ルイス)「禍異―かい―とは、何者かによって生み出されたこの世界の妖怪だ。発生源は未だ掴めずにいる。」
(葵結)「禍異は一度星瑠様のご先祖である、禮子様一同がこの世界を救ってくださり、平和な日々が続いていました。しかしここ最近、また禍異に動きが見られたのです。禍異を発生させている何者かが復活したのか……、はたまた息を潜めていたのかは分かりませんが、また禍異を放ち現実世界の人々を攫い、この世界に連れ込んでいるのです。」
(星瑠)「現実世界の方では神隠しという扱いで次々と人間が消えてますが、夢想世界に人間を連れ込むことによるデメリットはあるんですか?」
(葵結)「デメリットしかありません。この世界では人々の魂が具現化して人間の姿になっているだけで、本来肉体を持った人間が出入りすることは不可能なのです。肉体を持った人間がこの世界に増えると人間の持つ生気が膨張し、この世界は壊れてしまいます。ですが現在、禍異たちが肉体を持った人間をこの世界に連れ込んでいる状態です。この世界はあと半年も持たず破裂し、滅びてしまう。今はまだ禍異たちが人間の生気を吸って栄養を蓄えている状態ですが、まだ生気を吸わず放置されている人間も数多くいます。ですから、力を持つ皆様に助けてほしいのです。現実世界で行方不明、神隠しにあっている方も皆様の力があれば救えるのです、どうかお力添えをお願いいたします。」
葵結は深々と頭を下げた。
(藍)「ちょっと待ってよ、話が大きくなりすぎてる。……そもそも私たちがこの世界を救えるかも分からない。力があるって言われても、私たちは普通の高校生で……それに私たちがこの世界を救う義理もない……。」
(彩凪)「藍の言う通りだよ……。禍異たちと戦うってことは命を失うかもしれない……んでしょ……?人生の半分も生きてないのに死ぬのを覚悟して戦うなんて怖すぎるよ。」
(葵結)「はっきり言って、命の保証はできません……。彩凪様、藍様の仰る通り……皆様方はまだお若いです。これからの人生楽しんで過ごしてほしい、そう思っております……。ですが……この世界が滅びてしまうと現実世界にも影響が出てきてしまうのです。……皆様方が最初にいた空間、夢想世界と現実世界を繋ぐ晦冥界に禍異が侵食し、現実世界に現れ、地球を破壊し滅ぼされます…。脅しと捉えられても何も言えません……、それほど禍異は脅威的な存在なのです…。この世界、現実世界を救えるのは皆様方しかいないのです……。どうかお願いします、力を貸してください……!」
(未望)「現実世界も禍異に滅ぼされちゃうの……?」
(ルイス)「あぁ…。禍異は普通の人間には見えない。だから侵食されたとしても気付けない奴が大半だろう。人々は生気を吸い取られそのまま死ぬ…、最後の言葉も言えずにな。禍異が1匹でも現実世界に入ってしまえば、全てが終わる。」 (琴乃)「大切な人も皆……?」
(ルイス)「皆だ。主悪の根源を倒さない限り禍異は増え続けてしまう。」
(星瑠)「……それなら戦うしか選択肢はないでしょ。」
(羽唯)「うん、そうだね。戦うしかない。」
(未望)「……本気…?みんな死んじゃうかもしれないんだよ…?」
(星瑠)「それでも……守らなきゃいけないでしょ。……私たちにしか出来ないことなんだよね?ルイス。」
(ルイス)「ああ、…お前たちにしか頼めないことだ。」
(星瑠)「だってさ…!この世界の人が困ってる…、それに私たちが止めないと、現実世界にいる大切な人たちも守れないんだよ?」
(羽唯)「うちに戦える力があるなら、使うまで……!ちゆちゃんを助けるって決めたし、うちは戦う!」
(ちゆ)「お姉ちゃん……!」
羽唯は隣にいたちゆの手をギュッと握った。
(藍)「……たく…強いよね、ほんと笑……分かった、私も戦う。現実世界にまで手出されたらたまったもんじゃない。」
(琴乃)「うん、力があるならうちも戦うよ、身近な人たちを守りたい。」
(未望)「も〜!皆が言うなら未望もやる!皆とならできる気がするし!」
(彩凪)「…………。」
(星瑠)「彩凪、覚えてる?彩凪がさ、身をもって私を助けてくれたこと。」
(彩凪)「あ……うん。」
中学1年生のころ、先に帰っていた星瑠を見つけ、彩凪が声をかけようとしたとき。
星瑠の目の前では新しい施設の工事が行われていた。
作業員たちが鉄骨のようなものを運んでいたが、1人の作業員が足を滑らせバランスが取れなくなってしまい、全員の手から鉄骨が滑り落ちていく。
それにいち早く気づいた彩凪は星瑠のもとへ駆け出し、星瑠を思い切り突き飛ばした。
数秒後、ドカーンっと破裂音に近い音が聞こえ、星瑠は自分の身に何が起きたのか分からないでいた。
(彩凪)「星瑠っ!怪我無い!?」
星瑠を押した反動で、自分も倒れてしまったがそれでも星瑠に声をかける彩凪。
(星瑠)「彩凪!?…もしかして助けてくれたの!?」
(彩凪)「えへへ…星瑠が無事でよかった。」
(星瑠)「ばか…彩凪だって危なかったのに……、ありがとね。」
涙を流しながら笑う星瑠。
その時のことを思い出していた。
(星瑠)「命張って私を助けてくれたのは彩凪だよ。……死への恐怖は彩凪が一番分かってると思う。でもそれ以上に……誰かを助けたい、そう思ってるでしょ?……だから一緒に、6人で戦おう…!大丈夫、今度は私が守るから……!」
星瑠は彩凪の手をギュッと握る。
(彩凪)「うん……!やろう、6人で!」
(葵結)「皆様……本当にありがとうございます……!」
(星瑠)「葵結さん、私たちにはまだ戦える力がない。だから……力を授けてくれませんか?」
(葵結)「勿論です……!……それではこちらへ。」
葵結に連れられ本殿へと移動した。




