ライトと決闘
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結局、ライトと未来の英雄達は、4対1で戦うことになった。周りからは、戦う事を止める声やせめて一対一で戦う方が良いなどと言われたが、ライトは全部無視した。
ライトと未来の英雄が向かい合い、未来の英雄の周りに彼らの仲間が陣取る形で戦いは始まった。
(なんか、そんなに強いような気がしないけど、この未来の英雄さんは、とりあえず警戒して、魔法で身体能力強化して、攻撃していくか。)
ライトは、そんなことを考えながら、決闘の始まりを待っていた。
「では、決闘を始めてください。それと私が止めたらやめて下さい。」
そんなサリさんの声と共に決闘が始まった。
「お前ら、俺一人で十分だから手を出すな。謝るなら今の……」
そう未来の英雄(名前不詳)がライトに向かって挑発をした。正確には、挑発を仕掛けたが、ライトは、そんな言葉をガン無視して、未来の英雄(名前不詳)の右ほほに拳をぶつけた。
ライトの拳はそれなりに質量があり、それに加えて完全に不意を突かれたこともあり、未来の英雄は、数メートル横に吹っ飛んだ。そして、その勢いを殺しきれず地面に衝突して、倒れたこんだ。
それから
「えっと、なんですか?」
ライトはゆっくりと笑顔でそう煽った。
その光景に周囲は固まっていた。冒険者は、一般市民は騎士ではないが、騎士道などということを理解していたし、挑発しているときに攻撃するなどは卑怯な行動だと思っていたので、普通はそんなことをする人はいなかった。あっけにとられていたのは、冒険者の人々だけでなく、未来の英雄の仲間たちも数秒固まっていた。
(なんか、やっぱり弱くね。陽気なおじさんの話的には。王都の学校を首席で卒業したらしいでしょ。僕の知っているそのクラスの強さの人は、普通にこのぐらいの不意打ち防ぐけどな。そして反撃を数発受けるけどな。)
ライトも攻撃をきれいに当てることが出来て驚いていた。
「お前卑怯だぞ。」
そう叫びながら、未来の英雄は、立ち上がった。それから感情の赴くままにライトの方に向かってきて、むやみやたらに剣を振るった。感情に任せず冷静な状態でもライトに攻撃が当たることはないだろう、それが感情に任せた攻撃であるならライトに当たるはずも無かった。
「まあ、そうかもですね。えっと、失礼かも知れないですけど、経歴詐称とかしてませんか?」
ライトは、煽る意味も兼ねて、そんな風に攻撃を軽やかに避けながら尋ねた。
「はぁ?何を言っているお前は。」
青筋を浮かべながら、そう未来の英雄は聞き返した。
「いや、首席で卒業した割には弱すぎるかなって」
そう、言い返しながらライトは、未来の英雄の剣を両手真剣白刃取りの要領で受け止めて、その剣をへし折った。
「はっ」
その光景を見ていた人が理解できずに再び固まった。
「…………」
未来の英雄は無言で少し震えながら動けずにいた。
「高い剣かもしれないけど、弁償はしないよ。あと鎧も。」
ライトは、ニッコリと笑った。完全にやりすぎな可能性もあるが、キレているライトは、止まるはずもなかった。
「っ………お、お前ら、囲んでこいつを攻撃ししろ」
震えながら、未来の英雄は叫んだ。
しかしもう、遅かった。
(だから、1対4だったのに、まあ、どうせ全員ぶっ飛ばすから関係ないけど。)
そんなことを考えつつ、ライトは右手に魔法で炎を纏いながら、未来の英雄の腹部を鎧の上から殴った。
未来の英雄は勢いよく群衆がいる辺りに飛んでいった。群衆の中で、未来の英雄は気を失っていた。
それでも決闘は終わっていない、あと3人残っていた。初めはあまりにもいきなりの出来事で固まっていたが、ライトが未来の英雄を攻撃している間に周りの仲間も動いていた。
「リーダーの仇です。」
そんな風に、言いながら、ライトの後方から、気弱そうな騎士が剣を振るった。
(なんか、たぶんさっきの人より強いな)
ライトはギリギリでその剣を受け止めると
「絶対、さっきの人より、あなたのほうが強いと思うのですぐつるむの辞めたほうがいいと思いますよ。」
そうお節介で不要なアドバイスを送り、力まかせに弾き返した。
次に
「俺の強さの糧にお前は、なってくれそうだな。それに、リーダーをやられて、黙ってるわけにもいかねえ。」
筋肉質の青年が正面からライトに殴り掛かった。
「それは、無理でしょ。だって、僕魔法でドーピングしてるから。」
ライトは、筋肉質の青年の攻撃を交わしてみぞおちに一発拳をぶつけた。その一撃で、筋肉質の青年は意識を失った。
そして残り一人になった。
「皆さんの犠牲は無駄にしません、この異端者に罪人に神の裁きを与えます。」
そう修道女のような恰好をした人物が本を持ちながら叫んだ。ライトが一番キレている人物である。
その彼女の言葉と共にライトは、違う場所にいた。さっきまでいた冒険者などはいなくなりあたり一面が黒色の世界にいた。その真っ暗闇の世界で十字架に磔になった。そして、そんなライトの目の前には修道女のような恰好をした人物がいた。
「さあ、あなたの罪を償いなさい、神の裁きを与えます。」
「ああ、なるほど。でも、君は神ではないでしょ。」
ライトがそうつぶやくと、ライトの磔は解かれて、逆に修道女のような恰好をした人物が磔になっていた。
「な、なぜです。私の神から授けられし、力が、なぜ、なぜ私が裁かれる側なのです。私は言うとおりに、嫌だ、嫌だ、嫌だ、もうあんな風には。」
修道女のような恰好をした人物が叫んだ。
「それは、君の幻術に介入して、かけられる側を書き換えたから。効果は強そうな魔術ですけど。なんというか、それ以外が雑すぎますよ。」
ライトがそう言うともといたギルドの前に戻った。
そして、修道女のような恰好をした人物も意識を失い倒れていた。
「これは、僕の勝ちで良いですよね。」
「はっ、はい…………良いです。」
ライトが圧倒的な強さで勝利して決闘を終えた。それから、まだ意識が残っている気弱そうな女騎士に近づき
「他の人に、次、エマ、亜人差別とか魔族の差別とかしたら、手加減しませんから。あとそれとギルドの指示にも従ってくださいね。」
そう言ってその場を立ち去った。
その場には、不思議な空気が漂っていた。情報処理が追いついていないのである。ライトは戦いを終えて少し冷静になって、ギルドに戻ってきた目的を思い出した。でも流石のライトもこの空気の中で、薬草の場所を聞く勇気はなかった。
(こうなったのはしょうがないけど…………エマとの戦いに負けるじゃん。)
ライトは急いで森に戻った。