役立たずライト1
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帝都からフロスト地方に戻ってきて2週間、帝都では、政治闘争が激しくなり、魔族の国では、新しい国が魔王が誕生しており、旧魔王の領土はほとんど残っていなかった。亜人の国でも全ての里で連帯して大きな連合国を作ろうという動きをするものが現れていた。そんな中、ライトは、ぐうたらしていた。正確に言えばすることがなくて、旧ギルドで、欠伸をしていた。旧ギルドには、3人しか人がおらず、静かな空間だった。
「役立たず何ですね。ライトさんは」
その声は、亜人の里に連れていくためにひとまずフロスト地方に連れてきた亜人の子供レオのものであった。はじめは、慣れない場所で黙っていた少年だったが、慣れてきたのか饒舌に話すようになっていた。特に、ライトとエマには懐いており、軽口を叩たく余裕を見せていた。
「おい、少年、どこをどう見たらそうなる。」
ライトには今、することが無かった。少年を里に送り届けようと思っていたが、今は雪が積もっておりすぐに出発することは不可能だった。ならば、戦闘面でフロスト地方の役に立とうと思ったが、お嬢こと、サリが貴族になったこもありフロスト地方の住民が強さを磨こうということになり、修行の為にもギルドの仕事をしようということになり、速攻で魔物を倒してしまうライトやエマなどはギルドの戦闘系の仕事を一時出禁になっていた。他にもフロスト地方は、様々な仕事があったが……
「今、現状、することがなくてこうして、この部屋で私と話している所がその証明では?」
少年は毒舌だった。真顔でライトの顔を覗き込みながら呟いた。ケモミミすらも一ミリも動いていなかった。
「……でもそれは君も」
ライトは大人げなどを持っていなかった。
「僕、子供ですよ。」
ただ、少年は毒舌であった。
「……それ以上核心を突くと、家まで送ってかないぞ」
ライトが押されていた。
「それは、嘘ですね。お人よしさんですから、あなたは。もうすぐしたら、私を送るって仕事があるので役立たずではないですね。ボードゲームの相手をしてください。」
レオは上品にそういうとボードゲームをライトに見えた。毒舌の隙間から育ちの良さが見える青年だった。
「あああ、めんどくさい。ボコボコにしてやるよ。」
ライトも口ではいろいろ言いながらも少しウキウキしていた。
ここで確認しておく必要がある。旧ギルドには、3人しか人がいないのだ。ライトとレオとあと一人いるのだ。そうもう一人、フロスト地方、捕虜ロビン。
「わ、私は役立たず。仲間も死んで、私は役立たず。」
義賊の彼女は落ち込んでいた。初めは強気だった彼女だが、仲間が全て死んでしまったこと。襲撃したフロスト地方の馬車が本来狙うべき対象で無かった事、その判断も含めて罠に嵌められていたこと。数えればきりがないが凹んでいた、落ち込んでいた。初めは、自ら命を絶とうともしていたが、ライトが、ロビンの右腕のことを伝えると踏みとどまったが、落ち込んでいた。当たり前である。
「「……」」
ライトとレオは無言で目を合わせた。
「「そ、そんな事、無いですよ。役に立てる場所を探しに行きましょ。」」
二人は急いで準備したボードゲームを片付けて、そう声を揃えて呟いた。3人のフロスト地方役立たずトリオが歩き始めた。




