御膳試合 3回戦 前編
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皇帝陛下の観覧室
皇帝陛下は、椅子に座りながら闘技場を眺めて
「お前ら二人に質問がある。」
そう呟いた。それは、その部屋で待機していた。第1部隊隊長と第3部隊隊長への質問だった。
陛下の言葉に二人は片膝を立てて、第1部隊隊長マーガレットが答えた。
「陛下質問とは何でしょうか?」
それに陛下はノビながら、
「いや、どっちが勝つと思う次の試合。」
そう尋ねた。
「ははは、陛下、流石に第2部隊の隊長のギゼン君ですよ。俺よりも単純な強さは少し劣っていても、腐ってもこの国でトップクラスですから強さは。圧勝で終わりだな。終わりですね。」
それに今度は、第3部隊隊長のカマセが答えた。
「…………どうでしょうかね。私はいい勝負すると思いますね。」
それに続いて、第1部隊隊長のマーガレットが答えた。
それにカマセが
「相手は、亜人だぞ。」
そう言うと
マーガレットが少し冷たい口調で
「強さに種族も人格も関係ないと思います。そうでなければ人格破綻者のあなたが、軍の隊長になれませんから。」
そう返答した。
カマセは少し、顔を歪めながら
「流石言うことが違いますね。1番様は。陛下はどっちが勝つと思うんですか?」
そう言って陛下の方に尋ね返した。
陛下はしばらく、悩んだ後で
「そうですね、フロスト地方の方が勝ってくれたほうがいいですかね。そっちのほうが盛り上がりそうだから。お二人はどっちが結局勝つと思いますか?」
そう無邪気に笑いながら呟いた。
「「失礼ながらギゼン(さん)ですかね。」」
それに、珍しく口を揃えて、見ている隊長は、答えた。
その時、闘技場中央で、エマは少し不安そうに剣を構えていた。
会場には
「亜人族は帰れ」「奴隷身分が何をしている」「帰れ」「俺が買ってやろうか?」
「不純な生き物」「気持ち悪い」
そんなヤジが飛んでいた。しかし、エマはそんなヤジは聞いていなかった。普段なら、怒ったり傷ついたりするが、今は別の事で頭がいっぱいだった。ライトが間に合うのかとか、ライトがどこにいるのかとか、もしかして教会のやつが重荷になったいたのじゃないかとか、嫌われてしまったのかとか。彼女は、少しいろいろ考えすぎていた。
その様子を見て、ギゼンは、エマがヤジを聞いて不安に感じていると思ったのか。
「大丈夫ですか?」
そう優しく気遣っていた。
しかし、エマは心ここに非ず状態だったので
「…………大丈夫ではないです。」
反射で心のそこの声を呟いた。これはライトが来ていないから大丈夫でないという意味だった。
しかし、傍からみたら、ヤジを聞いて不安に感じているように見えるのだ。不安になっているとそうギゼンは思っていた。
だから、ギゼンは珍しく声を上げた。
「…………皆さん、戦いの結果を見てからヤジを飛ばすなら飛ばしてください。」
そう声を上げたのだ。
それは、とても珍しい光景で観ている残りの隊長たちが
「珍しいな」
「そうですね。いつもはもっとおどおどしているのですが。」
そう声を上げるほどだった。
それからギゼンは、
「よろしくお願いいたします。エマさん。」
そう言いながらエマに握手を求めた。
エマはその手をしばらくジッと見て、それから握手することなく
「よろしくお願いします。」
そう頭を下げた。
ギゼンは、ゆっくりと握手を求めた手を引っ込めると
「手加減はしませんのでよろしくお願いします。」
そう、少し爽やかにつぶやいた。
それにエマは、
「…………私は手加減します。」
そう思わず答えていた。ライトが戻ってくるまでの時間を稼がないといけないことや、もしかしたら、ライトに嫌われているかもしれないなどを考えていたせいで、エマは、それ以外の思考が完全に働いていなかった。
ギゼンは、
「…………冗談がお上手ですね。よろしくお願いします。」
苦笑いを浮かべながらそう呟いた。
それからしばらくして審判の
「ただいまより、フロスト地方代表エマ対帝国軍代表第2部隊隊長ギゼンとの試合を始める。両者準備は?」
そんな声が聞こえた。
それに
「「よろしくお願いします。」」
その声に再びそういうとエマとギゼンが頭を下げた。
それを見て審判が
「では、両者向き合って、初め。」
そう声をかけて決闘が始まった。




