作戦会議
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しばらくして帝国軍から届けられた紙を見ながらエマとサリは少し頭を抱えていた。アスランから聞いていた隊長達の情報を元に考えていた戦う相手の予定が少し狂うことになった。それに加えてライトが行方不明だった。
「さて、ライトさんは、まあ、帰ってくるのを待つしかないからおいておいて出来ることをしましょうか、エマちゃん。」
そう言いながらサリは、小さくため息をついた。
「そうだね。サリちゃん。ライト君、無理しないって言ったのに、結局絶対に無理してるよ。もう。はぁあ、本当に、はぁ。」
エマの言葉にはいろいろな感情が混じっていた。ライトの消息が全く分からないのである、だから様々な感情の中でも心配が勝っていた。
「まあそのライトさんが帰ってくるまでに御膳試合の作戦とかを考えましょうか。」
サリもエマほどではないが心配していた。それでも、ここで心配している発言をすればエマの不安が限界突破することを知っていたので、普通に振舞っていた。
「そ、そうですね。それと御膳試合の内容で考えましょう。そして人を集めましょう。」
そう言いながらエマは少し無理に元気を出しながらつぶやいた。
彼女らが見る紙の内容は以下のようなものだった。
御膳試合の内容について
今回の御膳試合は全てで5試合行わせて頂きます。
開催日は1週間後、詳しい日程は追って連絡いたします。
1試合目 第3部隊 副隊長 マリカ
2試合目 第2部隊 副隊長 ギル
3試合目 第2部隊 隊長 ギゼン
4試合目 第3部隊 隊長 カマセ
5試合目 第1部隊 隊長 マーガレット
ルール
勝敗数に関わらず全部で5戦行う。
勝敗は、対戦者のギブアップまたは審判の判断で行う
相手の命を奪う攻撃は基本的に禁止とする
使用できる武器は、1つとする
魔術の使用を許可する
5試合、全て違う人が出場する
帝国軍側は事前にメンバーを発表しておくがフロスト地方側はその必要がない
細かいルールについては通常の決闘のルールに則る
御膳試合のために八百長に準ずる行為、決闘の試合の勝敗に関する賭け事に関係者が挑むことを禁じる
再び紙を見てエマが愚痴るように
「なんで、3試合じゃないですかね。3人で3試合だと思ってた。もう実力測るとか関係ないじゃん。」
そう言った。
「そうですね。まあ、多分御膳試合で人を集めるので3試合だと足りないんですかね。まあ、アスランさんの話と照らし合わせて見ると、単純な戦闘能力が後の試合の法の人が高いみたいですかね。」
少し冷静にエマは分析をしていた。誰の意図かは不明だが、氷結の魔人を倒した実力を測る目的とはもうズレていた。
「まあでも、サリちゃん。私一人心あたりがあります。多分1勝確定ですね。」
そうエマがつぶやいた、心当たりはサリにもあった。
「メリッサですね。まあ、とりあえず、メリッサは呼んだら手を貸してくれると思いますね。じゃあ、とりあえず、一番強い第1部隊の隊長を任せましょう。」
だからサリはそう言った。サリもメリッサの強さは知っていた。
「じゃあ、次に強い。第3部隊の隊長とライト君を戦わせて、私が第2部隊の隊長と戦いましょう。」
それにエマがそう呟いて三試合分が決まった。
それにふと、サリが
「あれ?ライト君は第3部隊隊長と戦わせるなってアスランさんが言ってませんでしたっけ?」
そんな風に呟いたが
「まあ大丈夫ですよ。ライト君なので。それより残りの二人ですよ。どうしましょうか?」
そうエマが言ったことで因縁のライトは、恐らく覚えていないが因縁の対決が始まろうとしていた。そんなことで3試合分が決定したがあと1試合が決まらなかった。残り2試合あったが、1試合は、サリが恐らく出ることになるので問題は無かった。問題は残り1試合分である。フロスト地方に戻って人を呼ぶにしても微妙な時間であり、悩んでいた。その時に来訪者がやって来た。
「困っているようですね。」
そう声がした瞬間に
「帰れ」
まあまあ強めの声でエマが拒絶した。
「煩いです。せっかくいろいろ聞いたから、やってきたんです。ライトいないし。あああ」
そう言ってそれに来訪者であるノアは即座に反応した。
「うるさい帰ってください、元婚約者さんは」
それにすぐにエマが口撃をした。
「うるさい、似非メイドは黙っててください。」
それにノアも口撃し返した。
「はぁ?」
それにまあまあ柄悪くエマが返した。
「ライトさんいないと想像以上にバチバチなんですね。ライトさん見たらなんて」
そうサリが言いかけると
「「うるさいです。」」
綺麗に仲良くエマとノアが言葉を返した。昔からライトがいないときの二人はこの調子だった。
「………まあ、でもこれで5人ですね。私は弱いですし、出たくないですけど、まあここは仕方ないので出ることにします。それにノアさんでちょうどですね。」
そうサリが御膳試合に出ることに決めたことで人数は足りた。
それでも、エマは反対だった。
「でも、この人が戦えると思えません。」
そう言ってノアを指さした。
「私だって、…………あんた、ほど強くはないけど。でも多少は戦えます。多少は。それに………ああ、でも強さだったらサリさんだって。」
そうノアは反論した。
「…………」
ノアを強さで参加を反対したら、サリも反対しないといけないので結果振り出しに戻るのだ。別に無理を言ってノアだけ断れば良いのだが、エマは、律儀だった。
その二人の様子を見ていたサリが
「まあ、フロスト地方に戻って人を呼んで帰ってくる時間があるとも思えないですし、いいんじゃないですか?エマちゃん。」
そう言うと
しばらく、黙ってから笑顔で
「まあ、そうですね。元婚約者に余裕を見せるのも優しさですね。」
そう呟いた。
「はぁ?それより、ライトは何処に行ったんですか?」
それにノアは柄悪く返答した。
エマは、ノアの質問に対して
「………行方不明です。」
そう神妙に答えた。
ノアも空気を分かっているので
「…………大丈夫ですよ、どうせケロッとした顔で帰って来ると思いますよ。」
そうさっきまでの口撃を辞めて、励ますように答えた。
「…………そう言われれば、そんな気がしてきました。」
それにエマは少し笑顔になってそれから、エマとノアは目を見合わせてから
「「本当にライト君は心配してる人の気持ちをもう少し考えてほしい。」」
綺麗に声を重ねた。ライトは他人の心配はしても自分が心配されているとはあまり考えていなかった。エマとノアの関係は多分一番の敵で一番の友であった。だから息が合うこともあった。
その光景を見ながら、サリは、ゆっくりと笑うとともに、ライトがこのタイミングに帰ってきて二人同時に怒られないことを少し願っていた。




