再会3
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ライトが目を覚ますと見慣れない天井が目に映った。ライトは身体を起こして、周囲を見てから、安全を確認して、ついでに時計を見て、ベットから降りた。それから、ノビをした。
近くの椅子で座ってノアはライトが
「大丈夫ですか?ライト。」
心配するように呟いた。心配である、いきなり倒れたのだから。彼女は自分が腕を振り払った衝撃でライトを倒してしまったのかと一瞬疑ったが、それは無いと言うことを察して、ライトが何かしらダメージを受けていると判断してすぐに動いた。
「大丈夫です。それでここは?」
ライトはとりあえずそう尋ねた。安全な場所であることは分かった。しかし具体的に何処の場所か分からなかったのだ。その場所は、普通の部屋のような場所であったが、これがシャーロット家であれば、質素すぎた。だからと言って学院の部屋という感じでもなかった。
「実家が経営している店の二階の休憩室です。」
ノアがそういうと
(つまり、帝都の中心街の何処かか、具体的な場所は覚えてないけど、まあ学院から出れたから良いか。まあ、とりあえず。)
「運んで下さりありがとうございます。」
ライトは感謝を述べた。あのままライトが学院に放置されたり、学院の誰かに知らされたら非常に面倒でややこしいことになっただろう。
「大変だったんですよ。感謝しなさい。」
ノアは少し満足げに笑顔でそう伝えた。
(それにしても申し訳ないことをしたな。僕を学院の外に運び出すのはそれなりに大変なはずだ。ノアさんには僕を助けるメリットがないのに)
「わざわざ、すいません、価値がない僕に」
ライトは言葉が足りていなかった。
ノアはしばらく無言で考えた後に、息を吸って言葉を発した。
「そ、そんなことない、ライトは、確かにちょっと我がままで適当で、何を考えてるか分からないけど、でもそれは全部優しさから来るものだし、困っている人は助けられるように努力するし、価値はあるから。」
覚悟を決めて、恥ずかしさを押し殺してライトを慰めようとした。ノアは一人でいるライトを見て、長い間近くにいたエマがいないことを見て、ライトが孤独であると考えていて、そして今のマイナスな発言を聞いて確信していた。人として良くないが、邪魔者がいなくなりこうして現れたことを少し喜んでいた。そして軽い運命だと思っていた。婚約者だったので時間をかければなんとななるとあぐらをかいていたノアであったが、急に婚約破棄になり、何か嫌われていることを知り、凹んでいた。しばらくテンションが低い生活を送っていた。それで今日出会えたのだ。それで、彼女は頑張ると決めた。
「うん?」
(なんで、励まされてるんだ?)
ライトが言う価値はないはノアにとって自分が利用価値などがないということを伝えたかっただけだった。
「えっ?」
ノアも様子のおかしさにすぐに気が付いた。
「えっと、僕はもうカール家じゃなくて、婚約者でもない僕を助ける価値はないかって事で、別にそこまで悲観的に………」
ライトは正確に伝えた。
「…………別に私が思ってるわけじゃないから、そう私のメイドが言ってるだけですから。」
ノアの覚悟はすぐに終わった。ノアは、ちょうど、部屋に戻ってきた、彼女のメイドの言ったことにした。
「えっ、私ですか?ノア様。」
メイドは、少し苦笑いをしていた。その苦笑いをノアは睨みつけて、
「…………そんなことより、私は婚約破棄をしたことを許してないんです。」
そう、言った。
(今の僕は一般冒険者。お金は、結構エマに渡しちゃって、持ってないし。うん。)
「でも、僕にどうしろと言うんですか?特に出来ることないですよ。」
ライトはそう言って首を傾げた。
「…………」
ノアは黙った。言いたいことがあったが言えずに黙った。
(今はお金持ってないけど、まあ、まだ帝都にはいるし、それでどうにか。)
「ああ、そうですね。今度この店で買い物でもしますよ。それでは、そろそろ戻らないと心配されるかもしれないので。」
ライトは、そう言って部屋から出て行った。
部屋で固まっているノアに対して彼女のメイドが優しい声で
「ノア様、素直に言ったほうが早いと思いますよ。」
そうつぶやいた。
エマサイド
エマはある店の中にいた。
「この店で買い物したくないです。」
そして店の中で相応しくない発言をして、少し不貞腐れていた。護衛出来ていた帝国軍の兵士は『マジかよ』みたいな顔をしながら、他人のふりをして遠くを見ていた。
サリは、少しため息をつきながら
「でも、教会の設計図があれば、気になるから買っておいてってライトさんに言われたんでしょ。エマちゃん。」
そうエマをなだめていた。サリは、少し頭を抱えていた、エマは比較的に常識もあるし空気を読もうとす人物だったからだ。少なくともこんな風に店の中で買わないなど大きな声でいうタイプではない。
「他の店で」
そう、エマは呟いた。しかし、それは無駄な抵抗である。
「売ってなかったですよね。なんでそんなに、嫌がるですか?」
サリがそう言った。帝都の店は一通り見て回りそして最後にこの店に来て、やっと見つけたのだ。だから、ここで買うしかなかった。
その時に店の奥のほうから人が現れた。
「「えっ、ライト君」」
そう、エマとサリの声が重なった。
店の奥からライトが現れたのだ。
「あっ、エマ。あと、サリさん」
ライトは、そう何事もないように普通にそう呟いた。サリは状況が全くつかめずにいて、エマは軽くショートしていた。
始まったカオスは簡単には止まらない。
(そうだ、正直に言おう。私の気持ちをライトに。恥ずかしいから、地面を見て。)
そう覚悟を決めたツンデレお嬢様がライトの後を追い、店に現れた。そして、
「あの、ライト、私はまだあなたの婚約者でいたい。」
そう叫んだ。それから、ゆっくりと顔を上げた。そして、エマとノアは目を合わせた。
「「えっ」」
そんなエマとノアの声が店の中に響いた。




