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フロスト地方への来訪者3

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帝国騎士団を名乗る人々がフロスト地方に来て3日が過ぎた。ライトとエマは直接騎士団と喋ったことは無かったが、サリから聞いた話で、それなりに調査が進んでいることを知っていた。しかし、二人は、焦るでもなく、何か準備をするでもなく全く別のことをするために借りている家の近くの空き地のような場所に来ていた。


「ライト君の『天才的な事ひらめいた。』って言って上手く言ったことあった?」

エマは、呆れ顔でそう言った。


「………無かったけど今回は違うから。発想を変えたんだよ。こんなに何かを頑張ろうって思ったのは久しぶりだ。」

ライトは、前世の知識を活かす方法を思いついたのだ。


「それ、前にも言ってたよライト君。前は確か天命を受けて革新的な調味料を思いついたって言って、結果他の地方の郷土料理に同じやつあったよね。」

エマは、呆れ顔でつぶやいた。ライトが割といろいろはしゃいで行って上手くいったことは無かった。


(この世界にマヨネーズはないと思った。そして作り方を思い出したのだ。でも、それはこの世界の他の料理の作り方を見て思い出したのだから…………まあ名前は違ってもほぼほぼ同じ料理は存在していた。ああ、無常。)

ライトはそんなことを思いながら空を眺めた。


ライトは、今まで何度か前世の知識を使って何かを作ろうとしてみた。

食べ物は、無理だった。ライトには、そもそも食べ物の知識が乏しいことと、この世界も食べ物は発展して同じような料理は結構探せばあった。

学問はどうかというと、前世のライトは勉強は普通に出来た。天才ほどではなかったがある程度出来た。だから数学などは、この世界では上位に位置していた。ただ、それで生活が豊かになることはなかった。暇つぶしにしかならなかった。化学も物理も出来た。でも知識があるだけでそれを活用することは出来なかった。それ以外の学問も、知識はあっても活用することが出来なかった。

ならば、魔法を使って、前世の記憶にある便利なものを再現しようとした。それも、失敗した。正確に言えば実用的なものはもう、魔法道具としてこの世界にあり、それ以外のものを再現することが出来たが魔力をえぐいぐらい使う悪魔のような道具になったのだ。つまり、今のところ何かを作ることは出来なかった。


それでも、今回は違った。違うとライトは思っていた。

「魔力を作る道具を作ろうって思う。」

だからライトはそう声高らかに宣言した。


「??何を言っているのライト君。」

エマにはライトが言っている意味が分からなかった。ライトは電池とかそのようなものから、電気を魔法に置き換えることを考えていた。もちろん、ライトは発電機や電池を作ろうとして失敗していた。発電機は、モーターの作り方が分からずに挫折して、電池はいろいろあるが材料を集めるところで挫折していた。でも今回は違った、違うと思っていた。


「まあ、聞くんだよ、エマ。」

ライトはそう少しドヤ顔でつぶやいた。


「なんですか?」

エマは、優しく聞き返した。


「魔法って、魔力を他の火とか電気に変えているだろう。それの逆が出来るんじゃないかって」

ライトはエネルギー保存則をイメージしていた。もちろんざっくりとしか理解してないし魔力に適応されてるかは知らなかったが、それでも珍しく勢いで物事を始めていた。


「うん、それで私は何をすれば良いんですか?」

エマは、文句を言ったり呆れたりしていたが協力的ではあった。


「あっ、」

ライトは、目を数度パチパチさせた。


「どうしたのライト君」


「いや、テンションが上がって、エマを呼んだけど、まだエマに出来ることなかった。」

ライトは、勢いだけで物事を進めすぎていた。


「………ライト君。じゃあ、私は、家に帰って別のことしてくるからね。手伝いが必要な時に読んでね。」

エマは、呆れながらも笑って帰っていった。


エマが帰って行ってしばらくした時にライトを訪ねる人がいた。ライトは、少し驚いた。いきなり声をかけられたのだから当然だろう。


「こんにちは、あなたは、このような所で何をしているんですか?」

ライトが声の方向を見ると騎士の姿をした女性とそれを付き添うように25歳程度の騎士がいた。声の主は女性のほうで、男性の方は、少し慌てていた。


(帝国軍ね。)

ライトは、そんなことを思いながら、少し話に付き合うことにした。

「魔法道具を作ろう実験をしようとしているだけですけど。」


「私の兄も、まあ、あまり仲良くなかったですけど、魔法道具を作ろうと良くしてました、それを思い出しました。あなたも、厄災級の魔物討伐の作戦に参加されるのですよね。」

騎士の姿をした女性がそう返した。相変わらず男性の方は落ち着きが無かった。


「まあ、そのつもりですけど。ああ、それと、私にも仲が悪い兄弟がいましたけど、まあ妹のことは別に嫌いじゃなかったので、多分あなたのお兄さんには嫌われてないと思いますよ。」

ライトは、そう世間話で返した。


「それは、お気遣いいただきありがとうございます。」

騎士の姿をした女性がそう笑顔で返した。男性の方はやっと冷静さを取り戻していた。


「それで、何か用事ですか?」

ライトは、とりあえず、そう尋ねた。


「ただ通りすがっただけです。話しかけたのは気まぐれですから、気にしないでください。今日は寒いので早く帰ることを進めます。」

騎士の姿をした女性はそう笑顔で返して、男性の騎士を連れて何処かに去っていた。


「気まぐれね。まあ寒いし帰るか。」

ライトは、そうつぶやくとゆっくりと伸びをして、今日は自分の趣味のような魔法道具を作ることはやめて家に帰ることにした。


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