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09 入国


 魔族領への出入りは、『ゲート』と呼ばれる『転移門』を通ることになります。


 魔族領内には種族ごとの国が複数あって、それぞれ専用の『ゲート』からしか行き来出来ないのだそうです。


 タリシュネイア王国への『ゲート』のあるゼハリアの街まで、『システマ』で送ってもらいました。



「ヒメルミネアさんからの伝言ですよ」

「おみやげを忘れずに、必ず無事に帰ってきてくださいな、ですって」


 ありがとうございます、ミスキさん。


 おみやげ、期待してくださいね。



「もうひとつ、アランさんからも伝言ですよ」

「新婚旅行、頑張れサイリ君、ですって」


 ……ゼシカさんに、レベルCのお仕置きをお願いしてきてください。



「はい、承りました」

「ふたりとも、楽しんできてね」



「はい、行ってきます」×2



 ……



 受け付けにて、出入国手続きは完了。


 手続き上は、ここはすでにタリシュネイア王国なのです。


 でも、何で身分証が"夫婦"になってるんですか、ツァイシャ女王様っ。



「ご不満ですか、サイリさん」


 えーと、不満はありませんが不安だらけですよぅ。


「では、参りましょうか」



 いざという時は女性の方が強いって言うけど、本当でしたよ。


 でも、公式の身分証に虚偽の記載って……



 まあ、今さらですかね。


 不法入国も経験済みですし。



 それでは、いざ『ゲート』へ。



 ……



 ここがタリシュネイア王国の王都。


 直接、王都へ『転移』出来たのは、女王様お墨付きの身分証のおかげですね。



 タリシュネイア王都の街並みは、何と言いますか、荘厳?


 歴史を感じさせる建造物とゆとりを持って整備された街並み。


 人通りこそ多くはありませんが、


 行き交う人々は皆、威厳と風格のある方々ばかりなのです。



 場違いにも程があろうってな感じですよ、僕。


 引き返すなんてもってのほかですが、やることやったら即行で退散しましょう。



「王城はあちら、それでは参りましょうか」


 いつの間にやらガイドブックらしきものを手にしたプリナさんから、


 手を引かれるままにとぼとぼと歩きます。


 お姉さんモードのプリナさんは、とてもとても頼もしいですね……



 ……



 王城の表門から堂々と入城。


 身分証を見た衛兵さんの顔色が変わったのは、事前連絡が通達済みだったからかな。


 慌てて出てきたイリーシャさんの案内で城内へ。



 騎士さまの正装、とってもカッコ良いですよ、イリーシャさん。


「……随分と余裕なのだな、サイリ殿」


 ここまで来たらジタバタしてもしょうがないので。


 ただ、プリナさんの安全が脅かされるようなら、全力で抵抗しますからね。



「サイリ殿に手出しするような輩は、もうこの国には居るまい」

「出来れば穏便に事が為されることを望む」


 ひどいなあ、人を危険物みたいに。


 自慢じゃないけど誰よりも平和主義ですよ、僕。



「平和を脅かす者よりも、平和を守ろうとする者の方が危険なこともあるのだ」

「この首でよければいつでも差し出すので、穏やかな"仙人"としての振る舞いを……」


 それは、スーミャルシア様次第、です。




 いよいよ、謁見の間。


 眼鏡をずらさずに済みますように……



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