表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/17

07 新生活


 実家のような安心感、と言う言葉がありますが、新しい生活はそれ以上でした。


 落ち着くのはもちろん、素直に楽しいって感じかな。



 プリナさんは、メイドとしてのお仕事に日々一生懸命です。


 アヤさんみたいに完璧じゃないし、ササエさんみたいに余裕たっぷりでもありません。


 それでも、失敗しても前向きにがんばる姿は、なんと言いますか、一緒に暮らせることに感謝、なのです。



 姉さんみたいに世話焼きしてきたり、妹みたいにすねたり、


 家族のように接してくれるプリナさんですが、


 ここで距離感を勘違いしたら駄目だよ、僕。


 空気を読めないことでは定評のある僕ですが、今の穏やかな生活を壊さぬよう、慎重に……



 ……



 朝は、ちゃんと自分で起きてます。


 メイドさんから起こされるのはご主人様の特権、という願望が極一部の殿方に蔓延しているのは重々承知しておりますが、僕は自分で起きる派なのです。


 だって寝起き姿を見られるの恥ずかしいし。



 身支度したら、お庭で水やり。


 プリナさんのおねだりで小さな花壇を造りまして、ついでに家庭菜園も始めました。


 素人園芸ではありますが、ふたりで相談しながら草花野菜の成長を見守る、みたいな感じで。


 朝食の、採れたてプチトマト(っぽい何か)がとても美味しいのです。



 仕事の依頼がない日は、掃除も洗濯も分担してやります。


 これは、最初にプリナさんと決めた我が家のルール。


 家事も仕事も、分担出来るところは協力し合う。


 つまり、ひとりでがんばらないでどんどんお互いを頼っちゃおう。



 余程のことがない限り、10時のお茶はふたりで楽しみます。


 天気が良い日はお庭で、そうでない日は居間で。


 おしゃべりとかしなくても、静かな空間でぼーっとしながらお茶を楽しむのが、実に心地よいのです。


 プリナさんもにこにこしてますので、楽しんでくれていると思います。



 お昼までの時間は、来客のお相手をしたり、買い物に出かけたり。


 ですが、今はほとんど訪問客が訪れません。


 知り合いの皆さんが、僕たちの新生活は静かに見守りましょうと相談して、訪問を極力控えてくれているようなのです。


 どうやらクロ先生とササエさんのおかげ、みたいですね。


 おふたりに、感謝、です。


 ただ、花壇のお花が綺麗に咲いた時なんかは、皆さんもっと遊びに来てほしいな、なんて思ったりします。


 なんだか僕らしくない感情ですが、揺れる引きこもり心ってやつですかね。



 お昼は軽めに、サンドイッチやパスタで。


 最初は本を読みながら食事しようとしたのですが、プリナさんにめっちゃ叱られました。


 それからは、外で食事する際にも恥ずかしくない程度のマナーをおそわりながらの食事です。


 まあ、引きこもりうんぬん以前の問題でしたね。



 昼食後のお昼寝が習慣になっていたので、もちろん継続です。


 適当なところにハンモックを吊るして、ゆらりゆるりと。


 最初は抵抗があったようですが、今ではプリナさんもお昼寝ハンモックのトリコなのです。



 お昼寝から目覚めたら、自由時間です。


 僕は基本読書なのですが、プリナさんは身体を鍛えたりしております。


 シナギさんの奥さまミナモさんから教わったナギナタを、華麗に振り回していますね。


 とっても凛々しいのですが、あまりまじまじと見ていると修練のお相手をさせられちゃうので、チラ見する程度で。



 夕食は、すっごい豪勢なのです。


 どうやらプリナさんの目標は、僕に心の底から美味いと言わせることのようで、毎日の夕食が凄いことになっているのです。


 そのために知り合いの料理上手な方々からいろいろと教わっているみたいですね。


 とても美味しいですし、そのことはちゃんと口に出しているのですが、心の底からの言葉とは受け取ってもらえません。


 せっかく腕を振るっていただいているのに、何と言いますか、相手が僕なんかで申し訳ないのです。



 お風呂から上がったら、読書したり語り合ったり。


 お互いの子供の頃の思い出とか、いろいろと語り合うのですが、


 何せ引きこもりなもので、話題の引き出しが少ないのです。


 それでも楽しそうに僕の話しを聞いてくれているプリナさんを見ていると、


 人生もう少し何とかした方が良かったのかな、なんて、今さらですが少々後悔。



 そんな感じで、穏やかながらもいろいろなことがある日常を過ごして、眠りにつくのです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ