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04 願い


 少しだけ、静かな生活が戻ってきました。


 おふたりは、ちょっとだけ自重してくれるようになりました。


 僕も、溜め込む前に言いたいことを言えるようになった、かな。


 そんな感じで、ちょっと賑やかそこそこ穏やかな引きこもりライフ、再開なのです。



 ……



「こんにちは、サイリさん」


 こんにちは、けんちゃん、ご無沙汰しております。



「今日は、あのふたりは」


 えーと、仲良く休日デートにお出かけ、です。



「生活の方は、順調ですか」


 それなりに、ですね。


 僕に出来ることを自分のペースでやってるだけなので、"仙人"呼ばわりは勘弁してほしいです。



「でも、今のサイリさんの人間離れした無敵っぷりって、まさしく"仙人"ですよね」


 依頼を解決するたびに、お布施とかお供えとか用意されちゃって、困ってるんです。



「つまり、"仙人"から"神さま"に進化中、ですね」


 本当、勘弁してほしいですよぅ。



「すみません、本当は僕がもっとこの世界に干渉出来たら良いのだけど」

「モノカさんたちでは手に負えないことをサイリさんが解決してくれて、本当に助かってます」


 いえいえ、とんでもないです。


 クロ先生にも言われたけど、皆さんが修行したり猛勉強したりしてがんばっているのに、僕だけチートでなんとかしちゃうなんて、申し訳なくて……



「大事なのは、問題を解決しようと皆さんが同じ方向に向かって頑張っていることだと思います」

「決してサイリさんだけが無茶振りされてるわけじゃないですよね」


 そうですね、皆さん、僕のことをすごく気遣ってくれています。


 ただ、どんなにみんなで頑張っても、世の中から悪意が無くならないのがしんどいかなって。



「能力、使ってみます?」


 ?



「サイリさんが能力を全力全開で使えば、リヴァイス全土に影響を与えることが出来ると思います」


 ……絶対使いたくないです。


 僕はわがままだから、能力を使うのは目の前にいる僕が助けたい人にだけって決めてるんです。


 だからタリシュネイアの件みたいに、知り合いひとりを救うために知らない大勢を殺しちゃうこと、これからもあるかも知れません。


 だから、もし僕がヤリ過ぎたせいで世界がどうこうなっちゃいそうなら、止められるのはけんちゃんだけだと思うので、その時は躊躇せずに僕をヤッちゃってくださいね。



「……やっぱりサイリさんには、心から気を許せるらぶらぶなパートナーが必要みたいですね」

「あのふたりは、パートナーと言うよりお姉さんポジションになっちゃったようですし」


 えーと、心からのパートナーはありがたいですけど、らぶらぶは、その、まだ……


 それに、僕が迂闊に動くといきなりお姫さまとかと出会ったりしちゃうので、出しゃばらずに自然な出会いを待つ、みたいな感じでいきたいな、と。



「どなたか気になる人はいませんか、モノカさんのお知り合いで」

「そうだ、ルシェリさんは?」


 えーと、ごめんなさい、です。


 すっごく素敵なお嬢さんだとは思いますが、素敵過ぎて一緒にいると緊張しちゃって……


 どっかのやんちゃなヴァンパイア姫さまよりも、よっぽどお姫さましてるんですもん、ルシェリさんって。



「では、ミスキさん」


 ミスキさんは、なんと言いますか、お母さん的な感じなのです。


 僕と歳はそんなに違わないのですが。


 ちなみに、三人娘さんたちは妹みたいな感じですね。


 僕と歳はそんなに違わないのですが。



「そういえば、エルサニアの『七人の戦乙女』の皆さんから大人気、でしたよね」


 うわっ、勘弁してくださいっ。


 あの騎士さまたちって、めっちゃグイグイ来るんですよ。


 僕みたいな小僧なんかじゃ太刀打ち出来ませんって。



「えーと、もしかしてサイリさんって、ものすごく理想が高い人なのですか」


 違いますよぅ。


 僕みたいなヘタレが一緒にいても緊張しないくらいに穏やかで普通の人が、


 って、もしかして僕って理想が高すぎます?



「つまり、普通の人と普通に暮らしたいってことなんでしょうけど、サイリさんの状況的にすっごく難易度が高そうですね」


 ……どうしてこうなった、ですよ。



「では、この件は検討中ってことですね」

「それはそうと、今日はお願いがありまして」


 はい、何なりと。



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