14 対決
朝、いつもより少しだけ賑やかです。
お庭で楽しそうにお花に水やりしているスーミャ。
菜園のプチトマトもどきを美味しそうにつまみ食いしているイリーシャさん。
楽しそうでなによりですね。
『朝食、出来ましたよ』
はーい×3
……
さて、準備も整いましたし、エルサニア城に参りましょうか。
今日はミスキさんたちは配達のお仕事なので、僕たちは『ゲートルーム』で、まずは王城のすぐ側のカミス邸に。
はい。行きますよ、皆さん。
って、イリーシャさん、家宝の鎧フル装備ですか。
そんなに気負わなくても良いと思うのですが。
「私がタリシュネイア大使しなければならなくなったのは、誰のせいかな」
確か、可愛らしいちっちゃな騎士さまが嬉々として自主的に、
って、鞘で叩かないでくださいよぅ。
大使(仮)なんだから、もっとラフな格好でも良いじゃないですか。
「その国の顔となる大使という任務に、仮も正式も無かろう」
「そのまま寝ぼけて呑気しているようなら、鞘ではなく抜き身でバッサリ」
うわっ、抜刀しましたよ、
良いでしょう、受けて立ちますよ。
でも、素手のひょろ男を過剰戦力でどうこうするなんて、騎士さまの名折れでしょ。
ここはひとつ、平和的ながらも騎士さまの訓練にも役立つと言う、伝説の勝負方法で。
「?」
その名も"プチトマトもどきスライス対決"!
同じ大きさのプチトマトもどきを何枚スライス出来るかを競うと言う、刃物使いの鍛錬にもなる対決方法なのですっ。
「良かろう、受けて立つ!」
……
「あのふたりはいつの間にあんなに仲良しさんになったのでしょうね、スーミャ」
「イリーシャは奥手だと思っていたけど心配無用ね」
「でも、私たちは節度ある仲良しさんでいましょうね、プリナ」
えーと、あっちのふたりもすっかり仲良しさんですね。
良きかな。
もちろん対決は僕の勝ち、ですよ。
眼鏡ずらしとかのズルはしてませんとも。
あえて言うなら、生まれ持った真の実力ってヤツですかね。
「サイリが、すっごく得意げね」
「でも、もうすぐツァイシャ様とのお約束の時間だって気付いたら、どんなお顔をするのかしら」




