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10 謁見


 謁見の間、思っていたよりも人が少ないです。


 この場に居るメンツの大体の内訳は、先ほどイリーシャさんから教わりました。



 向かって左側の人たちは、いわゆる反対派。


 めっちゃ睨まれてます。



 そして右側には、穏健な中立派。


 すごく緊張した面持ちです。



 周りには、煌びやかな完全武装の騎士さまたち。


 迫力、半端ないです。


 同じ騎士さまでもイリーシャさんは可愛らしい童顔なので、迫力の方はイマイチなのです。


 あの盗賊イベントの"烈血団"の皆さんも、怖がるよりも舌なめずりしていましたし。



 正面には、スーミャルシア様。


 口元をムズムズさせちゃ駄目でしょ、姫さま。


 積もる話しは、この件が全部片付いてから、ですよ。



 ……



 皆さんのご挨拶、やっと終わりました。


 悪いけど、自己紹介されても覚えられないですよ。


 まあ、あんな嫌味ったらしいことをぐだぐだ言う人たちを覚える気なんてさらさら無いですけどね。



 ド平民だからお偉い方々への口の利き方なんてちんぷんかんぷんですよ(意訳)って、先制口撃しておきました。


 お偉そうな方々はすっごい渋い顔をなさってましたが、この会談はあなたたちの得意なマウント合戦じゃないって分かってもらわないとね。


 って言うか、この期に及んで何がしたいのかな、あの人たち。


 まあいいや、やることやらなきゃ、だね。



 ……



 僕が"呪い返し"の呪いを姫さまにかけたせいで国政もままならぬ、と言うのが、あの人たちの言い分。


 うん、大体合ってる。



 で、"ままならない"のはなぜなのですか。



 誰も答えられませんね。


 そりゃそうだ、誰だって"ままならぬ"の原因にはなりたくないよね。



 姫さまを守護している僕の能力は"悪意を跳ね返す"なんですけど、悪意を抱かなければ問題ないんじゃないですか。



 誰も答えられませんね。


 そりゃそうだ、"姫さまを都合良く操れないから恨んでる"なんて言えるわけないでしょ。



 誰も正直に話してくれないから言いますけど、要するにあなた方は姫さまと一緒に国政したくないのですね。



 皆さん、一斉にうつむきましたね。


 正直でよろしい。




 僕がここに来たのは、友達のスーミャルシア様が困っているからです。


 さっきも言った通り、姫さまにかけられた守護は、"悪意を返す"です。


 つまり、守護を失くしたら悪意がそのままスーミャルシア様に向けられてしまいます。


 友達がそんなひどい目に遭うのを、黙って見過ごすなんて出来ません。


 僕はこの国とは縁もゆかりも無い平民ですから、国の行く末に口出しすることも出来ません。


 ただひとつ言いたいことは、


 スーミャルシア様の人生はスーミャルシア様自身が決めるべきだってことだけです。


 ここまでの僕の言っていることに、異論のある方はいますか?



 -静寂-


 

 ……異論は、無いようですね。


 では、スーミャルシア様、決断してください。


 今すぐ僕の守護を解いて、この人たちの言いなりで国を治めたいですか。


 それとも、守護をかけたままで、この人たち抜きで国を治めますか。



「どちらも嫌です」



 では、ご決断を。



「はい」


「私、スーミャルシア・タリシュネイアは、


 タリシュネイア王家の継承者としての全てを放棄し、


 ただひとりのスーミャルシアとしての人生を歩むことを、


 ここにいるタリシュネイア王国民代表の方々と、


 エルサニア大森林の守護者"仙人"サイリ様と、


 サイリ様の伴侶であらせられるプリナ様、


 皆様の御名に懸けて誓います」



 異議のある方は、今すぐ挙手を。



 -静寂-



 ……異議無しのようなので、この会談はこれにて終了です。


 それでは、スーミャはこれからどうしますか。



「サイリのおうちに行きたいです!」


 はい、分かりました。


 それでは、お引越しの準備などを始めてください。


 イリーシャさんは諸々の手続きの方をお願いしますね。




 最後に、皆さんに言いたいことがあります。


 スーミャルシア様の姫さまとしての在り方を否定したのはあなた方タリシュネイア王国民だと言うことを忘れないでください。


 スーミャの友達として、今後、スーミャの人生に災いをもたらす者には、"仙人"としての全ての能力を全力で行使します。


 僕は、お引越しの準備が済むまではこの国におりますので、


 何か質問などございましたらお気軽にどうぞ。



 それでは、失礼します。



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